論文ID: cn-001404
症例は68歳女性.18ヶ月前から進行するめまい感,歩行困難,体重減少があり当科へ紹介となった.神経学的所見では意識清明,嚥下障害に加え著明な後方転倒傾向がみられた.電気眼振図では両側性前庭機能低下があり,聴力検査では右側の感音性難聴を示した.髄液検査では単核球の細胞増多,蛋白上昇を認めた.FDG-PET検査にて縦隔リンパ節に異常集積がみられた.同部位の生検により非乾酪性肉芽腫を認め神経サルコイドーシス(neurosarcoidosis; NS)による両側前庭蝸牛,舌咽,迷走神経麻痺と診断した.プレドニゾロン内服を開始し症状は改善傾向を示した.進行性の易転倒性,嚥下障害をみた場合,NSを考慮する必要がある.