論文ID: cn-001472
症例は75歳女性.腰痛後に下肢脱力,尿閉が急速に進行し第7病日に当院に搬送された.脊髄単純MRIでflow voidsが随伴する第8~11胸椎レベルのlongitudinally extensive spinal cord lesion,髄液中の多形核球優位の細胞数上昇と糖低下より脊髄炎が疑われ,免疫グロブリン大量静注療法が施行された.脊髄造影MRIと脊髄血管造影検査で脊髄硬膜動静脈瘻(spinal dural arteriovenous fistula; SDAVF)と診断され血管塞栓術で症状は改善した.SDAVFは脊髄炎と類似した症状を呈するが,免疫治療と腰椎穿刺は神経症状を増悪させるためSDAVFが除外できない症例では免疫治療と腰椎穿刺は控えるべきである.