論文ID: cn-001898
46歳男性.歩行時のふらつきを主訴に来院し,頭部MRIで多発脳梗塞を認め入院した.42歳頃に梅毒感染リスクを伴う行動歴があり,一過性に皮疹が出現するも医療機関未受診であった.入院時の血清,脳脊髄液の梅毒反応陽性より髄膜血管型神経梅毒と診断した.ペニシリンG大量療法後は再発なく症状も改善した.診断時のMRアンギオグラフィーでは責任血管の1本である右上小脳動脈の近位部に描出低下があり,造影MRIにて同部位の血管壁に造影増強効果を認めたが,治療後にはこの効果は消失した.血管炎が疑われる脳梗塞では神経梅毒を鑑別にあげる必要がある.また血管壁の造影増強効果の変化は血管炎の経過を反映している可能性がある.