論文ID: cn-001925
グリア線維性酸性蛋白(glial fibrillary acidic protein,以下GFAPと略記)抗体関連疾患は,近年新たに提唱された免疫介在性神経疾患である.病態機序は十分解明されていないが,病理学的に血管周囲を主体とするT細胞の浸潤が報告されており,抗原特異的T細胞の関与が推測されている.主に髄膜脳炎・髄膜脳脊髄炎をきたし,意識障害,排尿障害,運動異常症,髄膜刺激徴候,認知機能障害などを呈する.脳脊髄液検査では単核球優位の細胞増多を認め,cell-based assayによりGFAP抗体が検出され,抗体の確認が確定診断に必要である.頭部MRIでは約半数に線状血管周囲放射状造影病変を認め,脊髄MRIで連続する長大な脊髄病変を認めることがある.免疫療法が奏効し,主にステロイド治療が施行されるが,難治例や再発例も存在する.