成人型Krabbe病は,ガラクトセレブロシダーゼ(galactocerebrosidase,以下GALCと略記)遺伝子変異により発症し,通常は錐体路障害を伴う.今回,著明な筋萎縮を伴う末梢神経障害を呈し,錐体路障害に乏しい74歳男性例を経験した.運動ニューロン疾患やCharcot–Marie–Tooth病,慢性炎症性脱髄性多発神経炎が鑑別に挙がったが,遺伝子解析でGALC遺伝子に既知のミスセンス変異c.246A>G(p.I82M)を認め,Krabbe病と診断した.非典型例では診断が遅れる可能性があり,本疾患を念頭に置いた検査の実施が診断に有用と考えられた.