抄録
本研究は、自分および他者の課題遂行予測の正確性について検討した。女子大学生30人が、3人一組で実験に参加し、文章作成課題を行った。実験参加者は、文書作成中のお互いの様子を観察し、その後、別のレポート課題の遂行について自分に関する予測と他者に関する予測を行った。その結果、自分による予測と他者による予測に差は認められず、いずれの予測も実際よりも楽観的な予測を行っていた。また、自分のパーソナリティ評定は自分の予測に影響しなかったが、他者によるパーソナリティ評定は他者のパーソナリティ評定に影響していた。人は、自分に関する予測を行う際に、自分の内的情報を用いると考えられているが、自己概念を優先的に用いないようだ。その一方で、人は、他者に関する予測を行う際には、わずかな時間で推測した肯定的な特性を用いて予測し、状況による制約に注目しないかもしれない。