日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第6回大会
セッションID: P1-03
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ポスター発表1:記憶
遅延が手がかり再生課題における環境的文脈依存効果に与える影響
*山田 恭子中條 和光
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抄録
環境的文脈依存効果は,符号化時と検索時の環境的文脈が一致すると,不一致の場合よりも記憶成績がよくなる現象である。この現象は,記銘項目自体やその一部が再呈示されると観察されない(アウトシャイン仮説)とされている(Smith, 1988)。そこで,記銘項目のフラグマントを検索手がかりとして再呈示する手がかり再生課題において,環境的文脈依存効果の生起に及ぼす遅延期間の影響を検証した。視覚呈示した単語の音読を求める課題によって符号化を行わせた後,手がかり再生課題を行った。課題までの遅延期間は,実験1では約1週間,実験2では約10分間とした。環境的文脈はニオイによって操作し,文脈一致条件でのみ符号化時と検索時で同じニオイを呈示した。その結果,1週間の遅延でのみ,環境的文脈依存効果が生じた。長い遅延によって記銘項目の視覚的特徴の表象が減衰し,検索手がかりとしての環境的文脈の有効性が高まったと考えられる。
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© 2008 日本認知心理学会
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