抄録
シーン内の部分的な色彩の情報(例えば室内の家具やカーテンの色)は、シーン全体の印象を大きく変えうるが、これらはどのぐらい正確に記憶されているのであろうか。本研究では変化検出課題を用いて、シーン内の対象物および壁面の色の記憶について調査した。刺激はCG室内空間の二次元画像で、刺激シーン内の変化ターゲットの色相や鮮やかさ、面積などを組織的に変え、変化発見率との関連を見た。ターゲット色の変化は飽和度半減、飽和度0、反対色・飽和度半減、反対色の4条件あり、各変化ターゲットに対する印象評定の質問紙調査を行い、分析に追加した。傾向としては、飽和度が高く面積が大きい対象物(ソファ等の家具)の色の変化発見成績が高かった。ただしターゲットが壁面である場合は、面積が非常に大きいにもかかわらず変化発見が難しかった。また、ターゲットの飽和度が0になる変化の発見成績は,ターゲットの面積や元の飽和度に依存しなかった。