抄録
リストに含まれない項目を誤って再生および再認する現象は,DRMパラダイムなど多くの研究で再現されている。本研究では,日本語の顔文字(face mark)で構成される学習リストを利用し,DRMパラダイムによる未学習顔文字の虚再認について検討した。各リストの学習項目は,同一の感情表現を行う顔文字で構成され(例:(⌒ー⌒),(^○^)など),未学習関連(CL)項目はその感情カテゴリーの中で典型性の高い顔文字(例:(^^))とした。また,学習リストのみ提示するだけでなく,文脈情報をあわせて提示したときの虚再認率の変動についても検討した。結果から,CL項目の頑健な虚再認が認められ,談話文脈内での顔文字の虚偽記憶について考察した。