抄録
睡眠中における香りの接触が、香りに対する嗜好と印象に及ぼす影響について検討した。34人の大学生は、5日間に渡る実験に参加し、睡眠中に香り(ローズ・ジャスミン)に接触した。参加者は、1・3・5日目の起床時に「接触した香り」と「接触していない香り」に対する嗜好と感覚・感情印象について評価を行った。その結果、ジャスミン接触群におけるジャスミンに対する嗜好が上昇し、香りの単純接触効果が確認された。ローズ接触群に対する嗜好も上昇する傾向はあったが有意な上昇は確認されなかった。また、香りの接触により接触した香りの印象が変化し、ジャスミン接触群はストレス感、ローズ接触群は強さ・濃さの評定値が低減していた。これらの結果から、睡眠中に香りを呈示した場合も単純接触効果は生じるが、香りの種類により影響が異なることが示唆された。また、香りの接触による印象の変化が嗜好の上昇に影響を及ぼすことが示唆された。