日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
経皮的心肺補助法の緊急使用にて完全回復した偶発性低体温症による病院外心停止の1例
―心停止バイパスの概念の重要性―
望月 勝徳北村 真友菊池 忠関口 幸男岩下 具美堂籠 博今村 浩塩原 徹郎岡元 和文
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2009 年 12 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

経皮的心肺補助法(PCPS)の緊急使用によって救命し得た偶発性低体温症による心停止例を経験した。症例は66歳の女性で,川から救出直後に心肺停止に陥り,バイスタンダーCPRが開始された。救急隊は直近の病院を回避して常時PCPS使用が可能な当院ヘ直接搬送した。当院ではPCPSの迅速導入と復温を行い,心拍再開に至った。第9病日,患者はとくに後遺症なく退院した。トラウマバイパスと同じく,偶発性低体温症が心停上の原因である場合,若千の搬送時間の延長があっても,PCPSが使用可能な病院まで搬送することが救命率の向上に寄与するものと考える。本症例は病院外心停止バイパスの概念の重要性を示唆する。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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