抄録
Oura & Hatano(2004)は,日本民謡的なメロディのフレーズ区切りにおける音楽経験の影響を検討した。本研究ではその再検討を行い,フレーズ区切りと完全主義傾向および楽曲の印象との関連にも着目した。大学生34名を対象として実験を行ったところ,試行の反復によって区切り数は増加し,しかし区切り位置は試行間で安定するとはいえないことが示された。音楽経験の影響については,Oura & Hatano(2004)と同様の結果となった。完全主義傾向はフレーズ区切りとの関連をほとんど持たず,得られた判断がこのような内的要因のバイアスを受けていないことが示唆された。また,楽曲の印象がよいほうが,メロディをより細かいフレーズに区切る傾向が示された。