抄録
血縁関係すらもない集団における協力行動の発生は未だ謎である.本研究では,Nowak & Sigmund(1998)のギビング・ゲームパラダイムに類似した状況に置けるヒトの意思決定を検討する.コンピューター内の仮想集団において見返りのない一方的な協力または非協力を選択した被験者は,高い協力率を示しこのような状況に置ける間接互恵性の成立の可能性を示した.また,相手の過去の協力履歴に基づく評判値によって被験者の協力率が変化していたことから,Nowak & Sigmund(1998)が指摘する評判値に基づくイメージスコア型の意思決定方略の存在が示唆された.