抄録
本研究では,Navon課題(Navon, 1977)を日本語に適用し,ひらがなNavon課題を作成した。ひらがなの形態類似および音韻情報の一致により,GlobalおよびLocal反応課題の反応時間の差異について検討した。Global反応課題に関しては,文字同一条件に比べ,形態類似条件で反応時間の遅れが認められたが,母音同一条件,子音同一条件の反応時間は,文字同一条件と差異が認められなかった。Local反応課題に関しては,文字同一条件に比べ,形態類似条件,母音同一条件,子音同一条件のすべてで,反応時間の遅れがみられた。すなわち,無視すべき文字の音韻情報はGlobal反応を行う際には,影響を及ぼさないが,Local反応を行う際には,影響を及ぼすことが示された。これらの結果より,Global反応とLocal反応それぞれにおいて,音韻および視覚情報の処理の仕方が異なることが示唆された。