抄録
これまで、時間の予測についての研究としてはBuehler, et al.(1994)らによる「計画錯誤」(「課題の遂行が実際よりも早く行われる」と考える傾向)研究などが知られているが,人の予測プロセスを踏まえた検討は十分に行われてこなかった。本研究では,第1に人が予測を行うプロセスの初期段階と考えられる目標設定と時間予測の正確さの関連について、第2にこのようなプロセスを繰り返して行う「再予測」が最初の予測とはどのように異なるのかについて検討した。
目標の効果について,目標が高い方が課題遂行中の活動や意識することが多く,また活動や意識することが多いほど,予測が過大推定になるという,目標から活動や意識量を介した予測への影響が見られた。
再予測の効果については,遂行中の予測では遂行前よりも過大推定傾向が少なくなり,実際からのズレも減少していた。