感情研究の中でも、表情については多くの研究がなされているが音声に着目した研究は少ない。Belinら(2008)は感情音声の研究の素材になるようにMontreal Affective Voices(MAV)を作成した。MAVとは、怒り、恐れ、嫌悪、楽しみ、驚き、悲しみ、苦痛、心地よいの8感情(および中性)を含む、90個の非言語の感情バーストからなっている。本研究では、日本人評定者からMAVに対する感情評価を得ることにより、感情音声の認知について日本とカナダの間で比較を行うとともに、MAVの特性についても主成分分析等を用いて検討した。本研究ではBelinらのデータに比べ、表現された感情がより突出して認知されるのではなく、類似の感情を中心に他の複数の感情についてもある程度の強度で認知されやすい傾向にあった。心地よいの感情を表現した音声については、日本ではよりネガティブな感情音声として評価された。