抄録
先行研究では、単一のトイレマークの性別認知において、色情報がストループ様の干渉効果をもたらすことが指摘されている。本研究では、彩色されたトイレマークを男女ペアで提示し、選択反応にストループ様の干渉効果が生じるかを検討した。28名の女子大学生に、形2種類(抽象的図形・具象的シルエット)と色ペア2種類(黒赤・青ピンク)の4通りの組み合わせから構成されたトイレマークをペア提示し、色または形を手がかりとして指定された性別の刺激を選択する際に、形と色の情報が整合的なペアと不整合なペアとで、選択反応時間やエラー率に違いがないか調べた。形による判断おいて色情報が干渉効果を持っていただけでなく、色による判断においても形情報が干渉効果を持つことが明らかにされ、マークに使用された色や形の弁別性との関連が示唆された。2方向の干渉効果の質的な違いについても議論されている。