日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第10回大会
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口頭発表1(記憶①)
  • 山田 陽平, 月元 敬, Schilling Christopher, Storm Benjamin, 川口 潤
    セッションID: O1-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    We examined whether study practice can cause forgetting. Participants first studied a list of items and then, during study practice, were asked to restudy some of the previously studied pairs along with some new pairs. Participants were then given a category-plus-stem cued-recall test for all originally studied category–exemplar pairs. Although study practice strengthened the subset of items being restudied and facilitated their subsequent recall, it did not cause related unstudied items to be forgotten. We suggest that inhibition may have played a similar role in causing the recognition-based retrieval-induced forgetting. These findings have important implications for understanding recognition processes.
  • 関口 貴裕
    セッションID: O1-2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,デジャヴ体験が眼前の光景と典型的光景表象との類似により生起するというKusumi (1998)のモデルをもとに,Googleストリートビューで呈示した光景の典型性がそれに対するデジャヴ体験の生起率に与える影響を検討した。先行研究(関口・北村,2010)では,デジャヴの生起を1)未経験の自覚にも関わらず,2)ある光景を「見たことがある」と感じ,3)その根拠が不明確で,4)何らかのデジャヴ関連感情を感じている場合と定義し,典型性の高低によるデジャヴ生起率の違いを調べた。これに対し本研究では,より厳密な評価のため,更に5)参加者自身のデジャヴ報告を加え,全ての基準が満たされた場合にデジャヴが生起したと見なした。その結果,先行研究と同様,典型性の高い光景の方が低い光景に比べ,より頻繁にデジャヴを生起させることが示され,デジャヴ体験の生起に光景の典型性が影響することが明らかとなった。
  • 清河 幸子, 手塚 聡
    セッションID: O1-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,酢,醤油,砂糖から構成される調味料を材料として,言語的符号化が味の記憶に及ぼす影響を検討した。具体的には,32名の大学生に対して,ターゲットとなる調味料の味を記憶するよう求めた後,一方の群では,その調味料の味について言語的に記述することを求めた。もう一方の群では,味とは無関係なクロスワードパズルを解くよう求めた。その後,強制2肢選択型の再認課題を実施し,判断に対する確信度を7段階で回答するよう求めた。なお,ターゲットとディストラクタの類似度の影響を検討するために,砂糖の量を操作し,両者の類似度が高い条件と低い条件の2条件を設定した。結果として,ターゲットとディストラクタの類似度にかかわらず,正しい判断を行った場合の確信度が言語的符号化を行った群で有意に低くなることが示された。この結果は,味を言語的に捉えることがその記憶を妨害することを示唆するものとして解釈された。
  • 登録画像の選択に影響を及ぼす要因の検討
    高橋 知世, 北神 慎司, 宮代 こずゑ, 原田 悦子, 須藤 智
    セッションID: O1-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
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    画像認証とは,利用者が思い出の写真等を予め登録しておき,認証時にそれをディストラクタ画像の中から正しく選び出すことにより,容易かつ堅固な認証を実現する新しい本人認証システムである.しかし,システムの強度が登録画像の特性に大きく依存するにも関わらず,実際にどのような画像が登録されうるか,また,画像選択にどのような心理的要因が影響を及ぼすかは未だ明らかにされていない.そこで本研究では,実験参加者(大学生)に擬似的に認証画像の登録を求め,その後,個別の画像について登録の意思や自己評価を尋ねる質問紙調査を行った.その結果,画像を登録する意思には,登録画像の認証画像としての主観的な適切性,登録への抵抗感,画像への愛着,自分の登録画像であることの認識容易性といった要因が影響することが示された.画像認証システムの強度向上と普及には,登録への抵抗感の低減と,認証システムイメージの周知が必要だと考えられる.
  • 画像の種類及び再認のテスト反復効果
    宮代 こずゑ, 原田 悦子, 高橋 知世, 北神 慎司, 須藤 智
    セッションID: O1-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
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    画像の方が言葉よりも記憶に残り易いという現象は画像優位性効果と呼ばれる。これに関連し、近年、パスワード等を用いた従来の本人認証システムに代わるものとして、画像を用いた画像認証システムが提案されている。しかし、使用される画像種類による違いや,認証という反復テストの効果やダミー画像の反復呈示の影響に関しては未検討である。そこで本研究では、実験参加者が持参した自伝的記憶画(autobiographical picture; AB画像)及び実験者が用意した画像の中から参加者が選んだ自己選択記憶画像(self-selected picture; SS画像)という2種類の画像を使用し、長期の再認実験を実施した。3週間毎に2回の再認を実施した結果、AB画像のほうがSS画像と比べ再認成績が高かったが、いずれも3週間の遅延にもかかわらず再認2回目の方が再認成績は向上しており、テスト効果が示唆された。加えて、以前に見たダミー画像を再使用することにより再認成績が低下することが示された。
  • 豊田 弘司
    セッションID: O1-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
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    意図記憶における自己選択効果の大きさが選択規準によって異なるか否かを検討した。Toyota(2011)において快な出来事と不快な出来事を想起させる場合に自己選択効果の違いがあったので、選択規準によって自己選択効果の出現が規定されるか否かを検討した。参加者に対して、快語と不快語からなる単語対を呈示し、自己選択条件において2つの単語のうち、嫌な出来事が想起される語を選択させ、記銘させる場合と、良い出来事が想起される語を選択させ、記銘させる場合を設けた。強制選択条件においても同じように、嫌な出来事もしくは良い出来事を想起しながら、指示された語を記銘させる場合を設けた。嫌な出来事を想起された場合には自己選択効果(自己選択>強制選択)が認められたが、良い出来事を想起させた場合には自己選択効果は見られなかった。この結果は、選択規準(BadもしくはGood)によって自己選択効果が規定されることを示した。
口頭発表2(知覚・感性①/認知神経科学①)
  • 寺本 渉, 松浦 雄斗, 浅井 暢子
    セッションID: O2-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,社会的サイモン効果を指標として,バーチャル・リアリティ(VR)空間に提示される他者を身近に感じる程度,すなわち,臨(隣)人感を計測した。被験者は,別室にいる実験協力者とともに,ヘッドマウントディスプレイを通じて共通のVR空間を観察した。被験者の課題は,決められた色の球が画面の左手前または右奥に呈示された瞬間にできるだけ速く,反応キーを押すことであった。この課題中には画面右奥に他者(実験協力者)のアバターを表示した。実験では課題前にVR空間内で他者とコミュニケーションを取らせるとともに,他者の実際の頭部位置をアバターに反映させる条件と,コミュニケーションをせず,静止アバターを呈示する条件を設けた。その結果,他者の存在が十分に認識できたと考えられる,前者の条件でのみ,社会的サイモン効果が生じた。これは,VR空間内において,他者があたかも隣にいるように感じられていたことを示す。
  • 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O2-2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    物体の心的回転において,物体固有の参照枠あるいは環境中心の参照枠が重要な役割を果たすことが知られている.先行研究において我々は,最小回転を実現する物体固有軸と環境内の水平軸が競合するような曖昧な心的回転刺激を用いて,心的回転方向の決定に物体固有軸が多大な効果を持っているの対し,水平軸はほとんど寄与していないことを明らかにした.しかし,この研究で用いられた刺激では,最小回転軸と慣性モーメントが最小となる回転軸が一致しており,物体固有参照枠の寄与が運動学的なものであるのか動力学的なものであるのかが不明である.本研究では,運動学的および動力学的最小回転軸を独立に操作し,これらが心的回転方向の決定に及ぼす効果を検討した.
  • 松田 憲, 西井 茜, 杉森 絵里子, 楠見 孝
    セッションID: O2-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
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    本研究は,遅延が分散提示・集中提示された刺激への単純接触効果に対してどのような影響を及ぼすかを検討した。我々は,刺激として中庸な無意味図形を用い,提示方法(分散提示,集中提示)と提示回数(3回,6回,9回),遅延(学習5分後,学習1週間後)を操作した。55名の参加者に刺激を提示し,5分後と1週間後に刺激に対する好意度,親近性,新奇性,懐かしさ,再認の判断を求めた。実験の結果,好意度,親近性,懐かしさ評定において,分散提示条件では遅延の影響は無かったが,集中提示条件では1週間後の評定値が高くなった。
  • 松本 絵理子
    セッションID: O2-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    日常的活動においても、目的とする行動に関連しない情報により集中を阻害されることがある。目的とする課題の知覚的・認知的負荷を操作したときの課題非関連刺激の影響を検討した研究では、知覚的負荷が低い時に妨害効果が高く、逆にワーキングメモリ課題のような認知的負荷課題では、高負荷時に妨害効果が高いことが示されてきている(Lavie, 2004)。しかし、多くの研究は反応競合パラダイムを用いており、完全に課題と非関連の刺激がどのような影響を及ぼすかは不明な点が多い。本研究では、課題の認知的負荷の高低によって、課題と完全に関係の無い情報が認知的処理プロセスに及ぼす影響の違いを検討するために、n-back課題並びに非関連刺激として怒り、中立、笑顔の3種の表情刺激を用いた実験を行った。その結果、課題の認知負荷が高い場合には課題非関連刺激の影響が大きく、またその影響には表情による違いがあることが示された。
  • 片桐 正敏, 河西 哲子, 松井 三枝, 室橋 春光
    セッションID: O2-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究はアスペルガー障害のある人を対象に,同じ注意レベルへの持続的注意後の注意切り替えをレベル反復手続き用いて検討した。
    【方法】成人のアスペルガー障害群11名と年齢と性を統制した統制群11名が参加した。参加者は,局所か広域レベルのいずれか一方に連続して出てくる2か3の標的を弁別することが求められた。標的レベルは一定回数反復すると別のレベルに切り替わった。
    【結果】レベル反復試行では,反復回数の有意な主効果が認められた。切り替え試行では,群と切り替え方向との間の有意な交互作用が認められた。切り替えコストでは,切り替え方向と群との間に交互作用が認められた。
    【考察】本研究では両群で反復利得が得られた。切り替えコストの結果から,アスペルガー障害のある人は局所から広域への注意レベルの切り替えに困難を抱えていることが示された。局所の知覚処理の増強が,彼らの抑制処理に影響を与えていることが示唆された。
  • 水原 啓暁, 井上 卓, 笹岡 貴史, 鹿内 学
    セッションID: O2-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    音声コミュニケーションにおいて,話者の顔を見ることにより会話の理解が促進されることが報告されている.この音声コミュニケーションの促進は,話者の顔を見ることによるミラーニューロンシステムの活動による発話の運動系列予測により実現されているものと考え,音声聴取課題を実施中の脳波計測を実施した.本研究で用いた音声聴取課題では,顔の映像と音声の提示タイミングを操作するとともに,映像のモザイク条件を設定することで,ミラーニューロンシステムの寄与を検討可能な課題となっている.得られた結果は,顔映像により音声聴取成績が向上することを示すとともに,ミラーニューロンシステムの指標である脳波ミューリズムの減少がみとめられた.このことは,音声コミュニケーションにおいて,話者の表情を見ることにより発話の運動系列を予測することが,音声理解を促進しているとする我々の仮説を支持するものである.
口頭発表3(知覚・感性②/認知神経科学②/身体・比較)
  • 浅井 智久
    セッションID: O3-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    ラバーハンドイリュージョン(RHI)とは,目の前に置かれたゴムの手に対する触刺激を観察するのと同時に被験者自身の手に同様の触刺激を与え続けると,呈示されたゴム手がまるで自分自身の手のように感じ,自己手の位置感覚がゴム手の方へ移動する錯覚現象である。本研究では,スライダーの上に被験者の手を置きRHIの導入操作を行うと,「位置感覚」ではなく,「実際の手の位置」がゴム手に向かって移動することを示唆した。これは,視覚-触覚間の情報が一致する対象に自己身体像が帰属され,それに合うように自動的な身体位置の補正が行われた結果であると解釈される。
  • 鹿内 学, 水原 啓暁
    セッションID: O3-2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    脳の報酬系を担う領野は,原始的な報酬である食べ物と同様に,「ほめられる」といった刺激によっても活動する事が知られており,社会的刺激が報酬として知覚されることが示唆された.また,報酬系の活動は同じ刺激でも異なる活動を示す場合がある.この事は,報酬系の活動は,報酬の与えられる条件や文脈など比較的短い期間で変化する環境にも,適応的に変化することを示唆する.本研究では,ムカデゲーム(Centipede
    game,「囚人のジレンマ」の動的版)と呼ばれる2人で行うゲームを,実験参加者に行ってもらい,その時の脳活動をfMRI計測した.被験者は,ゲームの中で,相手の行動から協調性を推定した上で,自身の行動を適切に変更することが求められる.このfMRI脳活動を分析することによって,他者の協調性(もしくは非協調性)に関わる領野,報酬系の領野を明らかにし,協調性という社会的条件により報酬系が変調する事を調べた.
  • A near-infrared spectroscopy (NIRS) study using the animation narration task
    齋藤 洋典, 趙 文雋, 大井 京
    セッションID: O3-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    To examine the neural bases of co-speech gesture production and perception, using the animation narration task in a face-to-face condition, we examined the brain activity changes in the prefrontal cortex (PFC). The prefrontal activity was measured in 34 participant pairs of speaker and listener using NIRS. The speaker’s task was to watch an animation and to narrate the story to the listener. Based on the number of gestures produced by each speaker, 34 participant pairs were divided into two groups (high vs. low gesture groups). The results showed that the left prefrontal activity of speakers in the high-gesture group was significantly lower than that of speakers in the low-gesture group, while the bilateral prefrontal activity of listeners did not show any significant differences between the two groups. These findings suggest that production of gestures functions to reduce the cognitive load of memory retrieval and narrative framing in the left PFC.
  • 植野 徹, 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O3-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    物体を心の中で仮想的に回転させる認知機能は心的回転 (mental rotation)と呼ばれる.我々は心的回転を含むイメージ操作が,物体のある景観から次に見える景観を予測する機能を土台としていると考えている.本研究においては,ペーパークリップ状の物体の3次元空間における心的回転を想定した.ニューラルネットワーク(NN)の一種であるGRBF(Generalized Radial Basis Function)ネットワークに物体の景観を入力し,それを10°だけ回転した景観を出力するよう学習させ,学習したNNの中間層を調べることでどのような表現が獲得されるのかを検証した.
  • 小川 洋和, 布井 雅人, 吉川 左紀子
    セッションID: O3-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    視線手がかり課題において、視線方向がターゲット位置を予測する顔は、そうでない顔に対してより信頼できると判断される。本実験では、視線手がかり課題における顔刺激の呈示回数を操作し、顔に対する潜在的な選好がどのように形成されるのか、そのタイムコースを検討した。その結果、視線手がかり効果は1回のみ呈示された顔に対しては生じなかったが、2回以上の呈示では効果が認められ、その効果量は呈示回数に関わらず一定であった。一方、信頼性の判断は、1回のみに呈示された顔に対しては視線が有効な手がかりとなっている顔が無効手がかり顔よりも信頼できると判断されたが、この傾向は呈示回数が増えるにつれて減少した。また、被験者は顔と手がかりの有効性の関係を意識的に再認することは出来なかった。これらの結果は、視線手がかり課題における顔に対する印象の変化は潜在的であり、視線による注意誘導とは独立に生起していることを示唆している。
  • 笹岡 貴史, 乾 敏郎
    セッションID: O3-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    物体の未知の見えを推測する心的イメージ変換は,物体を心的に回転することでも,異なる視点に移動するイメージを作ること(視点変換)でも可能である.しかし,それらの神経基盤に違いがあるかは不明である.そこで,本研究では心的回転/視点変換課題中の実験協力者の脳活動をfMRIによって計測した.課題ではCGで作られた部屋に物体が置かれた画像に続いて,物体を見ながら自分自身が移動する,または物体が回転する動画が呈示された.途中で物体が消去されるが,その間も実験協力者は同じ速度で視点移動する,または物体が回転するイメージを作り,後に呈示された物体の見えと比較照合を行った.視点変換,心的回転中の脳活動を比較すると,前者で左楔部,小脳,後者で補足運動野に活動が見られた.この結果に基づき,視点変換・心的回転に関わる脳内基盤について視点変換と心的回転の二重乖離に関する神経心理学的知見と関連づけて議論を行う.
口頭発表4(社会・感情/人格・臨床/発達・教育・学習)
  • 本間 元康, 遠藤 信貴, 長田 佳久, 金 吉晴, 栗山 健一
    セッションID: O4-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    巨大地震は様々な心身の不調をもたらすが,特に繰り返す余震に関連してめまいの訴えが増加する.東北地方太平洋沖地震の際も本震から数か月後に,めまい患者の増加が報告されている.めまいの原因の多くは平衡感覚機能異常だが,心理的ストレスがめまいの原因となるケースも多い.本研究は東北地方太平洋沖地震発生約4カ月後に,余震を多く経験した集団(地震群)とほとんど経験しなかった集団(統制群)の平衡感覚機能と心理的ストレスを調査した.心理的ストレスに群間差はなかったが,地震群の平衡感覚は閉眼時に限り有意に悪化しており,心理的ストレスと平衡感覚に有意な正の相関が認められた.さらに平衡感覚のパワースペクトル解析では,内耳機能の障害を反映する低周波帯域のパワーが地震群で有意に増大していた.これらの結果は,繰り返す余震による物理的作用と,余震に関連付けられたストレス反応が内耳機能異常を惹き起こす可能性を示唆する.
  • 氏家 悠太, 浅井 智久, 田中 章浩, 浅川 香, 若林 明雄
    p. 20-
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    マガーク効果とは,特定の音節を発音する口の動きに,別の音声を重ねた映像を呈示した場合に,視覚情報・聴覚情報のどちらでもない第3の聞こえ方をする錯覚現象であり,私たちが音声知覚をする際に視覚情報の影響を受けることを示唆している.本研究では,定型発達者を対象に,自閉症傾向を指標として, マガーク効果の個人差を検討した.その結果, 自閉症傾向は視聴覚の統合過程に影響し, 課題の視覚依存性にかかわらず, マガーク効果の生起と関連することが示された。本研究から, 自閉症傾向が高い人は、視聴覚統合処理において媒介される運動情報の影響を受けにくい可能性が考えられる. 
  • 永井 聖剛, 本間 元康, 熊田 孝恒, 長田 佳久
    セッションID: O4-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では2者間における足踏み動作の同期の強さと自閉性傾向との関連について検討した。対面条件では2名の被験者が向かい合い,非対面条件では一方が他者の背中に向かった状態で,その場で足踏みを60秒間続けるように求められた。前半30秒間はカーテン幕で相手の姿が見えず,後半30秒では幕を取り除いた。実験の結果,自閉性レベル低群・中群のペアでは,対面条件において2者間の歩行周期長の差および足首が頂点に達するタイミングの差が前半に対して後半で減少し,足踏みの同期傾向がみられた。しかし,高群ではこのような傾向はみられず,また同期の強さは自閉性レベルと有意な相関を示した。したがって,社会性を排した状況における社会的に無意味な単純動作の同期が個人の社会特性に密接に関わるという,社会的スキルの成立に重要な示唆を与える知見を得た。
  • 田中 章浩, 高木 幸子, 平松 沙織
    セッションID: O4-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    表情認知の研究では、感情を表現する人物(実験刺激)と知覚する人物(被験者)が同じ文化的背景をもつ場合、異なる文化的背景をもつよりも正確に判断できることが報告されている(内集団優位性)。本研究では、内集団優位性について表情刺激と音声刺激で比較するとともに、日蘭被験者間で文化間比較をおこなった。実験に先立って、日蘭各8名のモデルによる感情表現をビデオ収録し、表情刺激(音声なし)および音声刺激(表情なし)を作成した。日蘭の大学生が実験に参加し、それぞれ日蘭双方の刺激に対して判断をおこなった。実験の結果、表情刺激と音声刺激のいずれにおいても内集団優位性が確認され、とくに音声刺激では内集団優位性が大きくなることが示された。また、とりわけオランダ人被験者にとっては、内集団(オランダ人刺激)と外集団(日本人刺激)での正答率に大きな差が見られ、内集団優位性には非対称性があることが示唆された。
  • 外山 紀子
    セッションID: O4-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    心因性の身体反応に関する因果的説明を検討した。実験1では,4・5・8・11歳児(n= 69)と大学生(n = 21)に,身体性の身体反応(「食べ過ぎによる嘔吐」など)と心因性の身体反応(「緊張による嘔吐」など)がなぜ生じるか説明を求めた。生気論的説明(活力による説明)は,幼児および小学生の間では,身体性の身体反応について多かったが,大学生になると,心因性の身体反応について多く認められるようになった。実験2では,5・8・11歳児(n = 96)と大学生 (n = 24)に,身体性・心因性の身体反応 と心理的行動(「緊張によって爪をかむ」など)の説明を求めた。実験 1同様,生気論的説明は年齢があがるほど,心因性の身体反応について多くなったが,心理的行動についてはどの年齢群でもほとんど認められなかった。以上に基づき,生気論的因果の質的変容と,それが心因性の身体反応の理解に果たす役割を議論した。
  • 松香 敏彦, 本田 秀仁
    セッションID: O4-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
口頭発表5(記憶②)
  • 川﨑 弥生, 厳島 行雄, 山 祐嗣
    セッションID: O5-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    自己選択効果とは、複数提示される記銘項目の候補の中から、実験参加者自身が選択した項目を記銘するほうが、あらかじめ実験者によって決定されている項目を記銘する場合に比べて記憶保持が優れる現象のことである。Kawasaki, Itsukushima and Yama (2011, ICOM5)では、リスト語については自己選択効果が見られたが、ルアー語については自己選択効果が見られなかった。本研究ではルアー語を連想する単語リストを用いて、自己選択効果と遅延時間とが虚記憶の生成に与える影響で検討した。実験参加者は4つの単語リストを、自己選択条件及び強制選択条件の2つの実験条件で学習し、直後と1週間後に再生テストを受けた。その結果、リスト語は遅延時間で再生率が減少したが、ルアー語は遅延時間で虚再生率が増加した。したがって,ファジートレース理論が支持された。
  • 小林 正法, 丹野 義彦
    セッションID: O5-2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    ある記憶の検索が他の記憶の忘却を導く現象として,検索誘導性忘却が知られている。検索誘導性忘却は,エピソード的な検索だけでなく,意味的な検索によっても起こることがわかっている。ネガティブ単語はニュートラル単語に比べて,記憶成績が高いという特徴を持つが,意味的検索がネガティブ記憶の忘却を導くかはいまだ不明なままである。そこで本研究は意味的検索によってネガティブ記憶が忘却されるかを検討した。はじめに,実験参加者にニュートラル,ネガティブな単語を学習させた(例. 苦痛-頭痛)。その後,学習した単語と意味的に関連する未学習の単語(例.苦痛-病気)を生成させた。最後に,学習した単語に対する語幹再生テストを行った。語幹再生テストの結果,学習したニュートラル,ネガティブ単語ともに忘却が確認された。本研究結果から,意味的な検索による忘却がネガティブ単語記憶にも適用可能であることが初めて明らかにされた。
  • ドーパミン調整仮説の検討
    北神 慎司, 村山 航
    セッションID: O5-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年,神経科学において,金銭的報酬が中脳ドーパミン系を活性化し,ドーパミンが海馬の活動を直接的に調整することで,記憶が固定されるという仮説が提出されている.この仮説に基づくと,金銭的報酬は,動機づけや注意を媒介しなくても記憶は促進されることになるが,この点を直接検証した研究はいまだ見当たらない.そこで本研究では,記銘刺激を呈示し,その後に全く異なる課題として金銭報酬を予期する手がかり刺激を呈示した.その結果,金銭的報酬の手がかりは,その直前に提示された無関係刺激の記憶を,遅延記憶課題においてのみ促進した.さらに,強化学習モデルを適用することで個人内の記憶の分散が,推定された試行ごとのドーパミン量と相関することが明らかになった.以上より,金銭的報酬が動機づけや注意とは独立に記憶の固定に影響を与え,そこにはドーパミンによる調整メカニズムが働いていることが示唆された.
  • 伊東 裕司, 三浦 大志, 中村 咲貴, 吉田 彩
    セッションID: O5-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    恐怖を喚起する材料の記憶について、想起時に言語教示によって恐怖感情を除去することが、想起にどう影響するかについて実験を行った。二つの実験から、恐怖感情の除去が想起成績を向上させること、この効果が記憶の符号化や定着に働いているのではなく、想起に働いていること、想起の枠組みが変わること、あるいは増えることによる効果ではなく、感情操作によるものと考えられることが、明らかになった。
  • 高濱 祥子, 齋木 潤
    セッションID: O5-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    物体が眼の前から消えた時、我々は、短期記憶として脳内に保持された物体の特徴に関する記憶表象と、眼前の物体の知覚表象を照合して物体の同一性を判断する。また我々は、眼の前に存在する物体を観察しながら別の物体を連想し、連想した物体の記憶表象と、眼の前の物体の知覚表象の関係性を判断することもある。本研究では、長期記憶に貯蔵された連想記憶に基づく変化同定課題を用いて、連想記憶の結び付け情報と関係性結び付け情報の相互作用を検討した。その結果、連想記憶の結び付け情報は頑健である一方、関係性結び付け情報は脆弱であることが示唆された。さらに、連想記憶の結び付け情報に基づく変化同定課題においてのみ、遅延期間中の保持情報による正答率の非対称性がみられた。従って、連想記憶の結び付けにおける想起方向の特殊性が示唆される。
  • 須藤 昇
    セッションID: O5-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    a複数の項目からなる視覚的シーンを被験者に学習させ、直後に項目の再認判断を求めた。学習セッションでは、シーン全体を観察する全体条件、個々の項目を観察する項目条件を設けた。再認テストでは、学習項目と未学習項目を提示するが、未学習項目は関連項目と無関連項目からなっていた。実験の結果、関連項目の虚再認率は、全体条件のほうが項目条件よりも高かった。テスト系列において、関連項目を学習項目の直後にテストすると、そうでない場合に比べ、虚再認率は低下した。
口頭発表6(思考・言語)
  • 荒井 翔真, 岩渕 俊樹, 水原 啓暁, 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O6-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、動作の実行と観測で同じように反応するミラーニューロンという神経細胞が 大脳の新皮質で発見され、動作の理解に重要な働きをすると考えられている。さら に最近の研究では言語の理解においてもこのミラーニューロンが深く関わっている ということが示唆されている。本研究の目的は、日本語単文を黙読する際の脳波を 測定し(1)動作動詞条件(2)抽象動詞条件(3)疑似動詞条件間での比較をすることで、 ミラーニューロンによる動詞の意味理解プロセスと文全体の意味理解プロセスが時 系列上でどのように関わっているかを明らかにすることである。また、ミラーニュ ーロンは動作主が自己か他者かによらず反応するという性質を持つため、文を正し く理解するためには動作主を特定する機構(who-system)も必要となってくる。 そこで本研究では上で述べた条件間比較に加えて主語が(1)自己か(2)他者かの条件 での比較も行う。
  • 認知的課題達成での年齢群比較による検討
    原田 悦子, 田中 昂平, 須藤 智
    セッションID: O6-2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年,家庭用機器にも3D映像技術が組み込まれつつあるが,その効能は迫力やリアリティ感など感性的側面に限られている.一方医療機器では3Dが理解を容易にする要素技術として用いられており,もし3D映像が視覚的情報処理を促進するのであれば,一般利用においてもそれを生かす可能性がある.そこで本実験では,家庭用3Dテレビ受像機を用い,複数の視覚的刺激提示を行う課題を大学生と高齢成人間で比較した.その結果,特にブロック組立過程の理解・記憶において,若年成人では3D提示では2D提示よりもエラーが少ないことが示された.しかしその効果は高齢者群では観察されず,逆に利用後の主観評価では,若年成人群にのみ「3Dは疲れやすく,使いたくない」ことが示された.これらは人の3D映像の効果的利用は自動的ではなく,認知的負荷が高いことを示しており,医療等業務利用において注意が必要であることが示唆された.
  • 問題解決における社会的影響
    有賀 敦紀
    セッションID: O6-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    日常の問題場面で,人間は経験に従って解を導くこともあるが,偶発的に解をひらめくこともある。本研究では,問題解決において偶発的に生じると考えられるひらめきが,社会的情報の影響を受けるのかを調べた。まず,統制条件の被験者は30分以内にできるだけ速くTパズルを完成させることが求められた。その結果,被験者の平均完成時間は約10分であった。次に別の被験者に「他の人は5分で解いたパズルである」と偽の情報を伝えて課題をさせたところ,30分以内のパズルの完成者数は統制条件よりも多かった。また別の被験者に「他の人は20分で解いたパズルである」と伝えて課題をさせたところ,パズルの完成者数は統制条件よりも少なかった。つまり,事前に与えられた他者の成績に依存して,ひらめきの生起が促進・抑制された。この結果は,問題解決において偶発的に生じると考えられるひらめきの生起が,他者の成績に対して同調することを示唆している。
  • 楠見  孝
    セッションID: O6-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    116名の大学生に対して,幸福の概念を明らかにするために,「幸福」「リスク」「幸福とリスク」に対して3語の連想語を求め,幸福概念の構造をリスクとの関連から明らかにした.さらに,批判的思考態度,自己制御における移行と評価の傾向性尺度,最大化追求尺度,後悔尺度,人生満足度尺度に関して,5段階評定を求め,人生満足度の規定要因を明らかにした.
  • 岩渕 俊樹, 乾 敏郎, 小川 健二
    セッションID: O6-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    階層的な構造を適切に処理する能力は,ヒトが持つ重要な認知的特徴のひとつである.こうした能力は言語における複文の産出や理解に寄与していると言われる.本研究はこのような構造を持つ複文理解が脳内でどのように実現されているかを検討するため,機能的核磁気共鳴画像法を用いて実験を行った.関係節を含む複文がオンラインで正しく理解されるには,入力された名詞節や動詞を統合する節(主節/従属節)が適切に切り替えられる必要がある.我々は動的因果モデリングと呼ばれる手法を利用して脳領域間の相互作用を調べ,文要素を統合すべき階層の切り替え処理を実現する脳内ネットワークについて検討を行った.その結果,複文理解中には左下前頭回から左後部背外側前頭前野に向かう結合が存在していることが明らかになった.さらに階層の切り替えが生じる際には,左後部背外側前頭前野が左下前頭回の活動を抑制するように働くことが示唆された.
  • Morishima Yasunori
    p. 36-
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    This study tested the hypothesis that while language comprehension processes such as structural analysis and initial semantic analysis are highly learned and automatic in first language (L1) while those processes are more controlled and therefore consume more cognitive resource in second language (L2). The reading time data showed that both L1 and L2 speakers took longer to read a more complex text than a simpler text. However, self-evaluation data suggest that the native speakers were not aware of the difference in text difficulty while the L2 learners clearly indicated that the more complex texts were harder to read. These results seem to suggest that whereas cognitive demand due to text difficulty leads to more controlled processing in L2 whereas in L1 the change of reading process due to text difficulty is subconscious rather than consciously controlled.
ポスター発表1(思考・言語/発達・教育・学習)
  • 川上 正浩, 西尾 麻佑, 小野 菜摘, 佐々木 美香
    セッションID: P1-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では文字サーチ課題を用いて,文字からの音韻情報抽出過程を検討した。実験参加者は先にカタカナで呈示される音韻を持つ文字がその後に呈示されるランダムに配置された8文字の文字セット内に存在するかどうかを判断するよう求められた。文字セットは漢字セット,仮名セットの2種類からなり,さらに,発音と漢字の対応から,当該発音から想起されうる漢字の種類の多寡によって,VH条件とVL条件とが設定された。実験の結果,仮名セットにおいてはVL条件,VH条件の反応時間に差異は認められないが,漢字セットにおいては,当該発音から想起されうる漢字種類が多いVH条件で反応時間が長いことが示された。これは,漢字の音韻情報抽出に形態表象と音韻表象との相互作用が重要な役割を担っていることを示していると解釈された。
  • 曖昧性の評定に影響を与える要因
    足立 邦子
    p. 38-
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,Ellsberg (1961)の2色問題のパラダイムにおける曖昧性 (Ambiguity)のみに焦点を当て,コントロール感 (自己選択か他者選択か)の違い,あるいはリスク性との比較の有無によって確率判断にどのような影響を与えるか検討した。曖昧性の評定は,黒赤の分布がわからない,30個:70個の分布ではそれが逆転する結果となった。また黒赤が10個:90個の分布ではコントロール感の効果が現れなかった。リスク性との比較がない場合における曖昧性の評定をベースラインと考えると,比較がある場合の方がそれよりも高い成功確率が期待されたことがわかる。これは比較無知仮説を支持しない証拠を提供するものと考えられる。
  • Hick-Hymanの法則再考
    上田 卓司, 宇根 優子, 宮脇 郁, 高橋 優, 西本 武彦
    セッションID: P1-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    線画命名課題における反応時間を規定する要因として単語の獲得年齢や出現頻度と並び有力な変数と目されているのが,命名における一致度つまり線画に対するラベルの多様性である。多様性の程度は情報量として表しうるが,情報量と反応時間の関係については,(平均)反応時間が刺激の伝達情報量の一次関数として表される事がHick-Hymanの法則として知られている。しかしキー押し反応を実行する課題ではなく,命名の場合にはこの法則が必ずしも当てはまらないという知見もある。本研究では,命名反応時間を情報量という観点から再検討した。スノッドグラス線画刺激拡張日本語版に対する線画命名課題データを使用し,刺激物体命名,刺激が属するカテゴリー名,刺激を代表する色名,について情報量を求め物体命名の反応時間との関係を検討した。その結果,命名反応時間は刺激物体名に関する情報量との間でのみ説明可能なことが示された。
  • 生駒 忍
    セッションID: P1-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    日本語オノマトペの表記においては、ひらがなを用いるかカタカナを用いるかという表記形態の選択においてある程度の自由が許容されている。一方、認知心理学的知見は、表記形態がオノマトペの認知過程に影響を及ぼすことを明らかにしている。そこで本研究では、触感を表すオノマトペについて、表記形態の主観的評定データの収集を行った。大学生30名に、19種のオノマトペを提示しそれぞれがひらがな・カタカナのどちらで書かれることが多いか、5件法で評定を求めた。その結果、一定のゆれがあることが認められた。そこで探索的因子分析を行ったところ、硬い触感と柔らかい触感との2因子に分かれ、後者のほうがひらがな表記されやすい傾向が示された。また、調査対象者を日常的な読書量の多寡で2群に分けて回答を比較したところ、評定値に有意差は認められず、主観的表記頻度は全般的な接触量に左右されるものではないことが示唆された。
  • 佐々木 康成, 坂東 敏博
    セッションID: P1-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    多面的な物事の見方ができたり,探求心や認知欲求に基づいた思考や態度ができたりするかどうかを評価するため,様々な心理尺度か構成されている.なかでも批判的思考態度に関わる評価は,人や社会に対して画一的になりがちな思考や態度に反省を与えるという視点から重要であると考えられる.しかしながら,多くの心理尺度と同様に,主に文章や質問項目への応答によって評価されることが多いことから,各項目の測度としての評価は,被検者に対して直接的あるいは明示的になりやすい傾向がある.本研究では,心理的な測定の内容が被検者にとってより間接的あるいは潜在的となるように,多義図形に対する読み取りの成績や応答を測度として用いた.分析では,多義図形の読み取りについての評価得点と従来の文章を用いた質問項目による評価との相関について検討し,批判的思考態度に関わる探求心や認知欲求と多義図形の読み取りにおける応答との関係について調べた.

  • 井上 雅勝
    セッションID: P1-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    井上 (2011) は、(1) 「警官が犯人を捕まえた男性を…」のような裸名詞句だけからなる単文/関係節構造的曖昧文の「男性を」でみられる再解釈のための読み時間の増加 (ガーデンパス (GP) 効果) が、(1) の主語・目的語・主語+目的語それぞれに「2人の」のような複数の数量詞を付加した3条件では小さくなることを見出した。この結果は、数量詞表現の意味的計算が文の処理を一時的に遅延させるメカニズムによって説明される (Kurafuji et al, 2007)。本研究では、「23人の警官が」のように個々の要素を一度に把握できない数量詞ついて同様のリーディング実験を行ったところ、井上 (2011) の結果が再現された。このことは、処理の遅延が数量表現そのものの意味的処理に由来する事を示唆している。
  • self-paced readingによる検討
    新国 佳祐, 邑本 俊亮
    セッションID: P1-7
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    両義文の聴覚処理においては,ポーズやピッチ変化等の韻律情報がその両義性の解消に寄与するが,読みにおいてもそれらの韻律情報がカンマによって内的に喚起され,文処理に影響することが指摘されている。本研究では,主に可能な2通りの解釈の選好性に関して意味的なバイアスを有する両義文に,そのような意味的バイアスと一致または不一致の位置に挿入されるカンマが,文の読み時間に与える影響を検討した。実験の結果から,意味的バイアスと一致する位置に挿入されるカンマによって,注目された領域における読み時間の減少が確認されたことから,文の両義性を解消するために十分な意味的情報が存在する場合でも,カンマによって喚起される潜在的な韻律情報が文処理に利用されていることが示唆された。
  • 井関 龍太, 楠見 孝
    セッションID: P1-8
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    動詞の意味によって,その後の文処理において選好される登場人物が違ってくる現象を潜在的因果性バイアスと呼ぶ。このバイアスが談話焦点に作用することに よって起こるのか否かという点について,長らく議論されてきた。この問題を解決するには,すべての潜在的因果性動詞について一律のメカニズムを想定するの ではなく,動詞の種類ごとに異なるメカニズムを想定することが有効であるかもしれない。本研究では,動詞を行為動詞と状態動詞に分け,文中の登場人物をそ れぞれ固有名と役割名で導入することによって,焦点状態の差を作り出した状況で文完成課題を行なった。実験の結果,行為動詞と状態動詞で焦点の影響が異 なった。行為動詞では,より焦点の当たる固有名の人物への選好が増したのに対し,状態動詞では,もともとのバイアス方向によって影響の仕方が異なった。そ こで,これら二種類の動詞では,焦点への作用の仕方が異なるものと考えられる。
  • 梶井 直親
    セッションID: P1-9
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    Magliano, Miller & Zwaan (2001)は状況的次元のうち時間次元と空間次元が映像視聴理解に影響を及ぼすことを示した。本研究では大学生を対象に,5つの状況的次元が映像視聴理解に及ぼす影響についてアニメ映像を用い検討した。アニメ映像はカットごとに区切った。参加者には1つのカットの映像刺激の再生が止まった時,キーを押して続きを見るように教示した。カットごとに再生が止まってからキーを押すまでの時間を反応時間とし,それについて重回帰分析を行い,状況的次元の連続性破綻がアニメ視聴理解に及ぼす影響を検討した。その結果,文章を読む時と同様に時間次元の連続性破綻が反応時間に一番影響を与えた。一方,アニメ視聴理解のみにBGMの終了も有意な影響を与えた。すなわち,文章から形成される状況モデルと映像からのそれに影響を与える次元には共通する次元と異なる次元が存在する可能性が示唆された。
  • 福田 由紀
    セッションID: P1-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    日本語独特のリズムである五七調が暗唱にどのような影響を与えるのかを大学生を用い検討した。10文からなる材料を聴覚提示する時に五七調で提示する五七調条件とそうでない非五七調条件を比較し,3回の口頭再生を課した。その結果,五七調条件のみに1回目から2,3回めの再生時に記憶高進現象が認められた。一方,非五七調条件では,2回目から3回目のみ記憶高進現象の傾向が認められた。記憶高進現象は記憶材料をチャンク化することより生じるため,この結果は五七調のリズムは参加者のチャンク化を促進する,つまり,暗唱しやすい材料といえる。一方,非五七調の条件でも,2回目3回目と再生を繰り返すにしたがって,実験参加者は自ら五七調に材料を切って暗唱を行っていた。そのため,記憶高進の傾向が認められたと考えられる。よって,日本語のリズムである五七調の材料の使用が暗唱を促進すると考えられる。
  • 丸山 真名美
    p. 47-
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    折り紙は、日本の伝統文化である。折り紙の特徴の1つは、平面から立体を構成することである。この一連の認知的活動はとても興味深い。しかしながら、この問題について取り上げた研究はほとんどない。本研究では、われわれが折り紙を折る際に関与する認知的要因を、折っている動作分析や、プロトコル分析を行い明らかにすることを目的とする。
  • 伊藤 朋子, 中垣 啓
    セッションID: P1-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,中学生34名と大学生61名を対象に,普通のサイコロをふったとき1の目~6の目までのいずれかの目が出る確率(P=1)を尋ねた(「P(いずれかの目)課題」)。本小問に正判断するためには,全事象の確率を考慮する必要があった。正判断率は,中学生44%,大学生84%で,中学生より大学生の方が,正判断率が有意に高かった。中学生に最も多く出現した誤判断タイプは,P=1/6と考える判断タイプであった。大学生に最も多く出現した誤判断タイプも,P=1/6と考える判断タイプであったが,中学生の出現率の約1/3で,本タイプは特に中学生に大きな割合で出現することが示された(中学生29%,大学生11%)。全事象確率を問う「P(いずれかの目)課題」は,特に中学生にとって難しい課題であることが明らかになった。今後の課題の一つとして,確率的推論と論理的推論の間の関係を明らかにしていくことが挙げられる。
  • SOAの影響(2)
    河原 哲雄
    セッションID: P1-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    山本・河原・大塚(2008)は、基礎レベルにおける継時的な画像-単語マッチング課題(SOAを1500ms、ISIを500msに固定)において、上位概念共有効果はプライムが単語でターゲットが画像の場合にのみ生じることを示した。本実験では、山本らと同じ画像及び単語刺激を用い、SOAを600ms、750ms、1000ms、1250msと参加者内で操作して、判断潜時への影響を検討した。その結果、(1)プライムが画像でターゲットが単語の場合は、上位概念共有効果は非有意でSOAの効果のみ有意、(2)プライムが単語でターゲットが画像の場合は、上位概念共有効果のみが有意でSOAの効果は非有意、(3)いずれの条件においても、上位概念共有効果とSOAの交互作用は見られなかった。
  • 身体座標系への情動概念のマッピングにおける異方性
    山田 祐樹, Marmolejo-Ramos Fernando, Elosúa de Juan María Ro ...
    セッションID: P1-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    身体特異性仮説は利き手によって情動概念が身体座標系における水平軸上に異なって配置されることを予測する。右利きの人は快概念を自分の右に,不快概念を左に配置し,左利きでは逆転する。本研究はこの身体特異的な空間−情動間連合が概念レベルでも生じるのかを垂直水平軸の比較も行いながら検討した。実験1では22カ国2153名の参加者に上下左右を示す単語の情動価を評定させたところ,母語によらず右利きでは上が下よりも,右が左よりも快と評定され,左利きでは上が下よりも,左が右よりも快と評定された。実験2では2カ国46名の参加者に快・不快単語を空間配置させたところ,母語によらず快単語は不快単語よりも上に配置されたが,水平軸上での配置に有意な差は見られなかった。これらの結果は垂直軸における空間−情動間連合が水平軸よりも顕著であること,並びに空間概念への情動評価においてより顕著な身体特異性が存在することを示唆する。
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