抄録
単語の連続提示後にその意味関連情報へのアクセスが低減する現象は意味飽和として知られる。本研究では,日本語オノマトペを用いてその効果について検討した。オノマトペを連続提示した後にカテゴリー判断と類似した手法の課題,オノマトペ‐動詞の間に修飾関係が成立するか否かを判断する課題が実施された。結果は,連続提示回数が多い条件で修飾関係が成立しない判断が有意に遅延したが,修飾関係のある判断速度は提示回数に関係なく一定となった。先行研究(例えばSmith, 1984)の結果と異なり,意味的関連性のない項目をリジェクトする反応にのみ意味飽和効果が認められた点から,オノマトペが持つ意味表象の特異性が示唆された。