抄録
本研究では実行機能質問紙(EFQ)の修正版を用いて、注意と行動の統制を必要とする簡易ビジランス課題(研究1)、切り替えを必要とするトレイルメーキング課題と優勢な反応の抑制を必要とするストループ課題(研究2)との関連を検討した。研究1の結果、ターゲット刺激を見つけて「反応する」には注意維持が必要であり、EFQの注意維持得点から成績の予測が可能であることが示された。また、ダミー刺激を見分けて「反応しない」には行動の抑制が必要であるが、EFQの下位尺度の有意な影響は見いだされなかった。研究2の結果、ストループ課題の反応時間と遂行効率と関連するEFQの効率得点が高いとストループ課題の反応時間が短い傾向が示されたが、明確な結論を得るにはサンプル数を増やし、相関分析以外で検討する必要があると考える。