日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第11回大会
選択された号の論文の163件中1~50を表示しています
口頭1 英語セッション(知覚・感性、注意、社会的認知)
  • 紀ノ定 保礼, 臼井 伸之介
    セッションID: O1-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    接近車両の到達時間(TTC)の予測には、交通環境に関する知覚情報に加えて、接近車両の行動変容の可能性を考慮する必要がある。自動車の運転経験のある参加者17名は、液晶シャッターゴーグルを装着した状態で、右方から接近する自動車を注視した。接近自動車が光電センサを通過するとゴーグルが遮蔽され、参加者は自動車が自身の正面に到達したと判断した時点でボタン押し反応をした。接近自動車が光電センサを通過した時点から、参加者がボタン押し反応を行うまでの時間をTTCと定義した。参加者が自転車利用者及び歩行者の条件では、ドライバーの条件よりも、TTCの評定値が長かった。先行研究により、自動車のドライバーは脆弱性の高い道路利用者を回避した運転をすることが示されていることから、運転経験保有者が接近車両よりも脆弱性な立場では、接近車両が減速してリスク回避行動をとると期待したと考えられる。
  • 小澤 良祐, 藤井 慶輔, 神﨑 素樹
    セッションID: O1-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    目的地への道を往復する際、帰路を短く感じる現象を「return trip effect」という。本研究ではこの現象を心理学的・生理学的に検討した。実験は歩行映像を2本見せ、それが往復になっている往復群(10名)と、往復ではない対照群(10名)の2群だった。課題はRP3課題と11件法を行った。心電図から平均心拍数とCVI(副交感神経指標)を算出した。RP3は群間で差がなく、11件法では往復群でのみ1本目を長く評価していた。後から評価する11件法で往復群においてのみこの現象が見られたことから、return trip effectのポストディクティブな側面が示唆される。平均心拍数とCVIは群間に差がなかったが、CVIの差分と11件法において有意な相関が対照群においてのみ見られた。時間知覚には副交感神経が関係するが、return trip effectではより認知的な負荷が働くことが示唆される。
  • Minseo Kim, Jeounghoon Kim
    セッションID: O1-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
  • 孟 爽, 齋藤 洋典, 大井 京, 劉 涛
    セッションID: O1-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    Previous studies have reported that imagining a motor movement from the first-person perspective (1PP) is more embodied than the third-person perspective (3PP). The motor imagery in 1PP is restricted by biomechanical constraints of actual movements. The present study investigated whether biomechanical constraints influence the motor imagery in 3PP using a hand-laterality judgment task. In the task, drawings of hands were presented on a monitor in three different orientations (0°, 90°, or 270°), and the participant was asked to judge whether a presented hand was his/her left or right hand (1PP group) or another person’s left or right hand (3PP group). In the 1PP group, participants showed different RTs in the 90° and the 270° for the left and the right hand, but not in the 3PP group. The result suggests that biomechanical constraints emerge in 1PP, but it is not clear in 3PP due to the difficulty of taking 3PP.
  • 上田 祥行, 吉川 左紀子
    セッションID: O1-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    2人の人物が向かい合った場面を見ると、我々はすぐにどちらの人物がより支配的か、有能であるか、信頼性が高そうかといったことを推測することができる。本研究では、こういった対面場面において、表情がその人物の支配性の知覚にどのような影響を与えるのかを検討した。実験1では、参加者はモニタに呈示された2人の対面する人物を観察し、どちらの人物がよりその場を支配していると思われるのかを判断した。実験2では、モニタに呈示された1人の人物の支配性がどのくらいであるのかを判断した。実験3では、2人の対面する人物のそれぞれの支配性がどのくらいであるのか判断した。その結果、笑顔の人物は、対面場面において最もその場を支配していると判断されたが、個別での、笑顔の人物は、対面場面において最もその場を支配していると判断されたが、個別での支、笑顔の人物は、対面場面において最もその場を支配していると判断されたが、個別での配性の知覚が、個々の表情が持つ支配性の単純な比較ではないことを示唆している。
  • 選択的注意事態での検討
    リン ポーロン, リン オリビア, マクラウド コリン, 原田 悦子
    セッションID: O1-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    日本人とカナダ人における大域/局所情報処理の相違を,階層的刺激を用いたターゲット探索であるNavon global-local paradigmを用いて検討した.文化的な注意バイアス(どちらを優先的に処理するか)を統制するために,階層的刺激のどちらのレベルに注意を向けるかを教示により明示化した。階層的刺激としてアルファベット(実験1)と図形(実験2)を用いた実験の結果,カナダ人の反応は文字の局所情報と形の大域情報において遅く,日本人ではそうした刺激による変化は見られなかった.その原因は不明であるが,日本人はカナダ人より注意の制御が自在に行われ,またカナダ人はより刺激におけるbottom-upな特徴に依存した処理を行っている可能性が検討された.
  • 劉 涛, 齋藤 洋典, 大井 京
    セッションID: O1-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    The present study examined the neural mechanisms underlying the inter-brain processing during cooperation in a two-person computer game. We simultaneously measured pairs of participants’ fronto-parietal activations during the game using near-infrared spectroscopy (NIRS). One participant’s task was to build a target pattern by placing disks on a monitor as a builder, while another helped (cooperation) or disrupted (competition) the builder’s process as a companion. The NIRS data demonstrated two findings: (1) The builder showed higher activation in the right inferior frontal gyrus (IFG) under the cooperation condition than under the competition condition, while the companion showed a reversed pattern. (2) The right IFG activations of the builder-companion pairs showed a positive inter-brain correlation under the cooperation condition. These results suggest that the leading player is actively engaged in achieving a goal regardless of task type, but the inter-brain synchronization emerges only during cooperation as their shared attention and/or empathic processing.
口頭2 英語セッション(記憶、思考・言語)
  • 樋口 洋子, 上田 祥行, 小川 洋和, 齋木 潤
    セッションID: O2-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    画面上の様々な位置に次々と現れる物体の中からターゲットを探すとき,同一の系列が繰り返し呈示されると,ターゲットの検出が促進される。本研究では,系列のどのような要素が学習されているのかを二つの課題を用いて検討した。実験では,ターゲットは異なるカテゴリに属する物体(実験1)か,教示された位置に呈示されなかった物体(実験2)として定義された。ターゲットが呈示される前には,物体の位置とアイデンティティがあらかじめ決められた学習系列が反復呈示され,その後,アイデンティティや位置を変化させたテスト系列が呈示された。その結果,実験1ではテスト系列の物体のアイデンティティが変化したときのみターゲット検出の促進が見られず,実験2ではテスト系列の物体の位置が変化したときのみターゲット検出の促進が見られなかった。これらの結果は,潜在学習であっても,課題に関連した特徴が選択的に学習されている可能性を示唆している。
  • 中山 真孝, 齊藤 智
    セッションID: O2-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    言語システムは少なくとも2種類の音韻知識を蓄え、系列情報処理に利用可能である。1つは要素間連合(e.g., どの音素がどの音素に続きやすいか)の知識であり、もう1つが文脈―要素連合(e.g., どの音素がどの位置にきやすいか)である。本研究ではこのような音韻知識を系列情報処理モデルの1つである単純再帰ネットワークがいかにして蓄え利用しているかを検討した。音韻性短期記憶課題への音韻知識の寄与を示す行動データのパタンをモデルはシミュレートした。モデルは2種類の音韻知識の相互作用を再現するとともに、要素間連合の効果はしかし文脈―要素連合から分離可能なことと、それが語内位置の後方で現れることを再現した。文脈―要素連合が語内位置の前方で効果を現わすという行動データは今後さらなるモデリングが必要であることがわかった。
  • 杉森 絵里子, ミッシェル カレン, レイ キャロル, グリーン エリック, ジョンソン マーシャ
    セッションID: O2-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    fMRIを用いて、聴覚情報のリアリティモニタリングについて検討した。まずはスキャナーの中で、他者の声で単語を聞かせるか、聞いているところを想像させた。その後スキャナーの外で、各単語について、見たか想像したか未学習の中から選択させた。①想像させた単語に関しては、左中前頭回(BA6)がより活性化した場合は「聞いた」と誤判断するよりも「想像した」と正判断することが、②想像させた場合にも聞かせた場合にも、左下前頭回(BA45,44)がより活性化した場合は「想像した」よりも「聞いた」と判断することが明らかになった。さらに、想像させた単語について「聞いた」と誤判断した単語について、幻聴様体験尺度のスコアと上側頭回(BA22)の活性化に正の相関がみられた。これらの脳活動により、ソースモニタリング時に認知操作情報(中前頭回)と知覚情報(左下前頭回、上側頭回)が使用されていることが示唆された。
  • 複合モダリティプライミングを用いた検討
    宮代 こずゑ, 原田 悦子
    セッションID: O2-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,単語の意味と表現型の印象一致度が潜在記憶に及ぼす影響を検討するため,視覚的単語完成課題を用いた一連の複合モダリティプライミング実験を実施した.学習時に単語が,文字および音声によって提示された.その際,実験1においては,学習時に同時提示された文字のタイポグラフィおよび音声の韻律が,単語の意味の印象と一致もしくは不一致になるように操作されていた.文字表記は漢字/ひらがなが参加者内で操作されていた.テストでは単語完成課題が,一律ひらがな表記で実施された.結果,先行研究にて確認されているような,単語の意味とタイポグラフィの印象一致による効果は認められなかった.しかし実験2において,学習時にニュートラルな音声を用いて再検討を行った結果,印象一致による効果が確認された.これらのことから,印象一致度を操作された音声情報は,文字情報よりも優先して処理される可能性が示唆された.
  • 大井 京, 齋藤 洋典
    セッションID: O2-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,二言語併用者による高熟達度の第一言語(L1)の意味処理に,低熟達度の第二言語(L2)が干渉するかの確認にあった。中国語と日本語の二言語併用者の課題は,視覚呈示された熟語と語釈の対をターゲット言語(日本語または中国語)として知っているか否か判断することであった。刺激対は,日本語または中国語の辞書への掲載の有無に従って4種類に分類された: 共通(S),日本語固有(J),中国語固有(C),無関連(U)。二言語併用者が,日本語(L2)条件において示したC刺激対の誤反応率は,Oi et al.(2010)において,単言語使用者よりも高い誤反応率を示した二言語併用者の値を再現した。日本語条件(L2)におけるC刺激対の誤反応率は,中国語条件におけるJ刺激対と等しい値を示した。これらの結果は,二言語併用者が,言語間の表記が類似する際には,L1とL2間の双方向的な干渉を示すことを示唆する。
  • Kwangoh Yi
    セッションID: O2-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
  • パラシオス ビクター, 齋藤 洋典, 大井 京
    セッションID: O2-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    Despite a detailed function of gestures, such as accelerating lexical access (e.g., Morrel-Samuels & Krauss, 1992) or aiding in conceptual planning (Alibali et al., 2000; Oi et al, 2013), researchers assume that gestures facilitate speech production. To test this assumption, we examined latencies for gesturing and speaking under three conditions: speaking-only (S), gesturing-only (G), and gesturing while speaking (GS). Participants were asked to produce a hand gesture and/or verbalized an action/motion to nine visually presented objects (all objects could be grasped with one hand i.e. a baseball). If gestures facilitate speech production, the GS group would show shorter latencies of speech than the S group. However, speech latencies of the GS group were not significantly faster than that of the S group. This may imply that gesture production fulfill a function of speech aids when utterance content needs ample consideration beyond the simple word level (such as story-telling or narration).
口頭3 社会連携セッション(感情・動機、社会的認知)
  • 松田 憲, 山中 恭平, 楠見 孝
    セッションID: O3-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    Jカーブ効果とは,不快情動を伴う広告の商品評価が遅延によって不快から快に転じる効果を指す.Matsuda & Kusumi (2007) は,Jカーブ効果生起には情動インパクトが重要であり,遅延によって情動の強度のみが持続し,商品と情動情報との連合が低下することで生じることを示した。先行研究では画像の情動価条件を操作して検討が行なわれていたが,本研究ではそこに商品カテゴリーとの調和度を要因に加えた。商品カテゴリーと調和している情動画像と商品には関連していない情動画像との比較を行うことで,商品カテゴリーと情動画像の関係性が両者の連合形成に及ぼす影響について検討した。実験の結果,広告のJカーブ効果は “情動情報と商品が調和していること”“遅延によって情動刺激と広告の連合が切れること” “商品自体の記憶は残っていること”の3つの要因により生起することが示唆された。
  • 川崎 真弘, 山口 陽子
    セッションID: O3-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    我々の日常生活における行動の多くは感情によって無意識に左右されるが、好みがどのように我々のパフォーマンスを変化させ、脳活動として変化しているかについては不明な点が多い。従来研究によって、注意や記憶などの認知機能は主に大脳皮質で処理されるのに対して、感情に関係する脳活動は内側の大脳辺縁系に多いことが報告されている。我々はこれまでに主観的好みや視覚的注意に関係する脳波リズムを特定してきた。しかし両者がどのように関係してパフォーマンスに変化を及ぼすかは分かっていない。そこで本研究は色の好み強制2択課題時の脳波測定を行い、主観的好みと視覚的注意に関係する脳波リズムの相互作用を分析した。その結果、後頭連合野シータ波が視覚的注意に関係すること、これは好みに影響されることを示した。さらにこれらが好みに関係する前頭連合野ベータ波と相互作用することで、視覚的注意のメカニズムが変化することが分かった。
  • 有賀 敦紀, 井上 淳子
    セッションID: O3-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    人間は希少なものに魅力を感じる。この希少性効果については,経済学の分野で記述的研究はあるものの,心理学およびマーケティング分野において実証的研究はほとんど行われていない。本研究では,希少性に対する人間の認知を探るべく心理実験を行い,希少性が消費者の選好に与える影響を明らかにした。実験では,希少性効果が減少した対象のカテゴリに基づいて生じるのか,それとも減少した対象の特徴に依存して選択的に生じるのかを調べた。白色と黒色の2種類のクッキーを用いて,減少する対象のカテゴリと特徴を独立に操作したところ,実験参加者は減少した対象と同じ色のクッキーを異なる色のクッキーよりも好ましいと評定した。したがって,対象の単なる減少ではなく,減少した対象の特徴に基づいて人間は希少性を認知していることがわかった。本研究の結果は,マーケティングにおける希少性効果の戦略的利用に対して新たな示唆を与えることになる。
  • 認知機能による個人差を加えての検討
    安達 悠子, 須藤 智, 原田 悦子
    セッションID: O3-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    年齢群および高齢者の中での認知機能の差が情報機器に対して抱く不安や回避といった否定的な態度にどのような影響を及ぼすか、またそうした態度と機器所有・利用頻度との関連性を検討した。若年成人22名、高認知機能高齢者22名、平均的認知機能高齢者17名を対象とし、情報機器への顕在的態度を生活雑貨との比較で調べたところ、顕在的態度においては、高齢者2群においてのみ不安・回避的態度と機器利用頻度とが関連していることが示された。Implicit Association Testにより潜在的態度を測定したところ、若年群にのみ情報機器への不安が示され、また高齢者では情報機器に対し接近的態度が示された。これらの結果の意味と妥当性について検討する。
  • 石川 敦雄, 西田 恵, 山川 義徳, 乾 敏郎, 渡部 幹
    セッションID: O3-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    私たちの対人行動は,容姿,声など他者から受け取る手がかりによって影響を受けることが知られている。また,私たちをとりまく物理的環境,たとえば音楽や香りなどが,気分やモチベーションに影響を及ぼすことで行動が変容すると考えられている.しかし,物理的環境が対人行動に直接的な影響を与えるかどうかは,これまで明らかにされていない.そこで本研究では,背景空間の操作によって対人印象が変化するかを、質問紙を用いて調べた。その結果,快適な印象を与える背景空間が魅力的な対人印象をもたらすだけでなく、物理的に広々した背景や明るい背景が、それぞれ善良な対人印象や温厚な(冷徹でない)対人印象をもたらすことが明らかになった.このように,対人印象は,空間の心理的な側面だけでなく,物理的な側面によっても直接影響を受けることが示された.このことは,物理的環境の操作によって対人行動をより良いものにできることを示唆している.
  • 田中 伸之輔, 原田 悦子
    セッションID: O3-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    加齢に伴い,さまざまな認知機能が低下・変化することが示されているが,認知的加齢変化と人工物の相互作用に関して十分な検討がなされていない(赤津・原田・三樹・小松原,2011).そこで本研究では「高齢者が人工物利用に対して抱く不安感」が利用学習に及ぼす影響について検討することを目的とした.情報機器に対する不安態度が強い高齢者,不安態度が弱い高齢者を抽出し,実際に情報機器(オフィス向け複合機)を利用している様子を若年者と比較するという認知的ユーザビリティテストを行った.結果,課題成績について加齢の影響がみられた.また,繰り返し同じ操作を行う課題において,高齢者不安低群は操作を繰り返すことで成績が向上するものの,高齢者不安高群はある一定のところで学習が伸び悩むことが明らかとなった.また,課題成績といくつかの認知課題との相関を見たところ,高齢者不安高群において高い相関関係がみられた.
口頭4 日本語セッション(知覚・感性)
  • 笹岡 貴史, 乾 敏郎
    セッションID: O4-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    笹岡と乾(2012)は心的回転と視点変換に関わる神経基盤の検討を行い,視点変換時に物-場所記憶を利用しつつ身体移動のイメージ化が行われていることを示唆する結果を得た.しかし,自己視点の抑制が不要なことが結果に影響している可能性があり,本研究ではこの点を検討する実験を行った.視点変換課題では,実験協力者はテーブル上を移動中のボールの位置まで視点移動したときのテーブル上の物体の見え方をイメージし,心的回転課題では移動中のボールの位置までテーブルを回転したときの物体の見え方をイメージした.視点変換課題で前帯状皮質が変換量に相関した活動を示し,変換量の大きい条件で視点変換課題より心的回転課題で左IPLに強い活動が見られた.左IPLは自己中心座標系でのイメージ生成への関与が知られており,視点変換時に前帯状皮質からの抑制性信号により左IPLで自己視点でのイメージ生成が抑制されていることが推測される.
  • 朝倉 暢彦, 植野 徹, 乾 敏郎
    セッションID: O4-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    物体認識や心的回転を遂行するためには,物体の既知の景観から未知の景観を予測するための回転変換を実現する必要がある.本研究では景観予測に必要な回転変換自体を学習するGRBFネットワークモデルを提案する.ペーパークリップ物体が鉛直軸回りに回転する際の動画像系列を用いて,物体のある時刻における景観と1つ前の時刻の景観を入力とし,1つ先の時刻の景観が出力されるようモデルを学習させた.この学習により,モデルは学習に用いられた物体だけでなく,未学習の物体に対しても回転後の景観が予測できるよう般化することを確認した.また,出力される景観予測を入力へフィードバックすることで,より大きな回転に伴う景観予測が可能であるかを検証したところ,50度程度の回転に対しては85%以上の正答率での予測が可能であった.さらに,回転角度の増加による予測精度の低下が,物体再認の心理実験の結果とうまく整合することが示された.
  • 知念 浩司, 朝倉 暢彦, 乾 敏郎, 笹岡 貴史
    セッションID: O4-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    人は物体認識の際に,刺激の固有軸を検出・使用していることが知られている.また,回転変換の軸が曖昧な刺激対に対する心的回転課題においても,物体固有軸が重要であることが示されている.以上のことより,心的回転課題においても刺激の物体固有軸が重要であることが予想される.本研究では,刺激の物体固有軸の曖昧性が心的回転課題の各処理過程にどのような影響を与えるのかを報告する.刺激として,物体固有軸の曖昧性が高い刺激と低い刺激を作成・使用し,刺激対を同時提示する心的回転課題を行った.その結果,固有軸の曖昧性の高低によりイメージの回転速度に有意な差はみられなかったが,反応時間としては固有軸の曖昧性が高い刺激の方が短かった.この結果は,イメージの回転処理には固有軸の曖昧性は大きな影響を与えないが,方位差の決定処理では刺激の物体固有軸が刺激対の方位差を決定する手がかりとして使用されていることを示唆している.
  • 浅井 智久
    セッションID: O4-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    私たちは,自分自身の運動に対する感覚フィードバックを通じて初めて,「自己」を認識できる可能性が議論されている。しかしながら,外的に入力されることになる刺激は基本的に発生源が未知で(例えば,自己由来vs環境由来),ノイズが含まれている場合も多い。本研究では,視覚誘導運動における視覚フィードバックの自他由来成分の操作によって,自他帰属の主観的・客観的指標に「妥当な」変化が見られることを示した。これは,感覚入力の自己帰属から利用へ至る過程を意味し,これがダイナミックに更新される自他表象の基盤になっている可能性について議論する。
  • 小鷹 研理, 石原 由貴
    セッションID: O4-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    目隠しをされた状態で, 一方の手でラバーハンドに触れると同時に, もう一方の手の対応部位が触覚刺激を受けることで, 「自らの手に触れている感覚」が生起することが知られている(somatic Rubber Hand Illusion). 一般に, 錯覚の強度は身体位置からラバーハンドへの身体イメージのドリフト量によって計測されるが, sRHIの場合「触れる手から触れられる手」と「触れられる手から触れる手」の, お互い引き合う関係にある2つのドリフトが関与する点に特徴がある. 本研究において,  左右の手の接地パターンを変えてsRHIを誘起させる実験を実施したところ, 接地によって, 錯覚の主観的強度・ドリフト量が低下する場合が存在することがわかった. 一方で, 接地の有無にかかわらず, 二種類のドリフトの量には強い非対称性(「触れる手から触れられる手」の優位)が見られることもわかった.
  • 小野島 隆之, 北城 圭一, 水原 啓暁
    セッションID: O4-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    人間の音声知覚において,聴覚野の周期的な脳活動が音声聴取時の知覚成績に影響を与えている.この周期的な脳活動には,知覚を促進させる最適な状態と阻害する非最適な状態が存在する可能性が指摘されている.また音声聴取時の脳波位相によって音の検出精度が変化する可能性も報告されている.これらのことから音声提示前の自発脳波により,音声聴取時の脳活動の最適・非最適状態が決定されるのではないかと考えた.本研究では,聞き取れるか聞き取れないかの音声を呈示することにより,その時の脳波位相によって聴取成績が変化することを実験により確かめた.この実験により,音声を呈示するよりも早い時点での脳波位相の状態が音声知覚の確信度に関係していることが明らかになった.
口頭5 社会連携セッション(知覚・感性、注意、思考・言語)
  • 身体運動と拡散的創造性との関係
    永井 聖剛, 山田 陽平
    セッションID: O5-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    創造性には,広範かつ新しい枠組みから物事を捉え新規かつ独創的なアイデアを産み出す「拡散的思考」,制約や状況に基づきアイデアを産出する「収束的思考」の2成分が存在する。創造性を促進する要因として“気分状態”は主要な研究対象であるが,本研究では,認知情報処理は身体の状態や動作に影響を受けるとする“身体性認知(Embodied Cognition)”の枠組みに基づき,「腕を大きく回す動きが(小さく回す動きよりも)広範で拡散的な思考を導き,拡散的思考が促進されるか否か」を検討した。「実在しないコメの名前」を考えるという創造性課題を課し,事前に「○○ヒカリ」という典型的回答を5例提示した。実験の結果,腕回し動作の大小は回答総数には影響を与えなかったが,大きく回す群では小さな群よりも典型例に縛られない非典型的なアイデアの回答比率が高く,拡散的思考が促進されることが明らかとなった。
  • 楠見 孝
    セッションID: O5-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    16-69歳の997名の全国の男女に対してインターネット調査をおこない,デジャビュと懐かしさ経験の頻度が加齢によって低下すること,両者の相関が高いことを明らかにした。デジャビュを年1回以上経験した人の比率を,男女で比較すると場所デジャビュ(79%, 84%),人デジャビュ(69%, 73%)であり,性差は小さかった。人と場所デジャビュ頻度と,性格特性との相関は全般に低く,ノスタルジア傾向は情緒不安定性と弱い相関があった。幸福度とは弱い負の相関であった。デジャビュ,ノスタルジア傾向と,保守性,批判的思考態度,空間能力自己評価,職業,学歴,居住地域,TV視聴時間,読書冊数との明確な関連は見いだせなかった。
  • 都築 誉史, 本間 元康, 千葉 元気, 菊地 学
    セッションID: O5-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    合理的な選好関係に違反した,文脈依存的な選択現象として,本研究では多属性意思決定課題における,妥協効果を取り上げた。10名の学部学生に,12問の2属性3肢選択課題(仮想的な購買課題)を解くように求め,課題遂行時の眼球運動を測定した。妥協効果が生起するメカニズムを探るため,妥協効果が生じた試行における3肢選択課題の眼球運動(サッカード)を,3フェーズに分けて時系列的に解析した。選択肢間サッカードの時系列解析によって,(a) フェーズ1では回数も少なく,相互に差のなかった3種類の2肢間サッカードが,(b) フェーズ2では一旦,3種類とも増加したあと,(c) フェーズ3では重要な選択肢間のサッカードが,重要でない選択肢間サッカードの約4倍の頻度に達し,情報の探索と取得が意思決定に向けて絞り込まれて行くダイナミックなプロセスが明らかになった。
  • 視線・表情を用いた検討
    布井 雅人, 吉川 左紀子
    セッションID: O5-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    我々の選好判断は,対象と共に呈示される他者の影響を受けている。中でも,他者の視線方向や表情は,視線が向けられた対象の評価を表すシグナルとして,観察者自身の選好判断に用いられている (Bayliss et al., 2007)。このような他者の影響は,複数の研究で検討されているが,それらでは,1人の他者からの影響のみに焦点が当てられてきた。そこで本研究では,他者が複数存在する場面において,その人数が選好判断に及ぼす影響について検討した。実験では,画面上に4人の顔写真を呈示し,その中でターゲットに視線を向ける人数 (0, 1, 2, 4人) とその表情 (喜び・嫌悪)を操作した。その結果,4人全員または1人が喜び表情で視線を向けたターゲットの好意度が上昇し,4人全員また1人が嫌悪表情で視線を向けたターゲットの好意度が低下した。これらの結果は,複数の他者が存在する場面においては,視線・表情に加え,他者の人数が選好判断に影響することを示すものである。
  • 本間 元康, 吉池 卓也, 金 吉晴, 栗山 健一
    セッションID: O5-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    仮想現実的な環境に適応する人間の能力において,どのような長期的学習メカニズムが関与しているのかよくわかっていない.本研究は,触感覚の錯覚が視覚的錯覚と連鎖的に生じるラバーハンド(RH)イリュージョン学習を3日間連続で行い,感覚間統合の錯覚学習における自己所有感と位置感覚の変容プロセスを検討した.その結果,全日において,学習後にRHへの自己所有感の増加および位置感覚のドリフトが認められ,従来のRHイリュージョンを再現する結果となったが,自己所有感のデフォルト(学習前)評定値は日毎に低下し,位置感覚のデフォルト評定値は日毎に増加した.連日の錯覚学習はRHに対する自己所有感の錯覚を低下させるが,位置感覚の錯覚を増強することが示唆された.矛盾した感覚を引き起こす仮想現実的な環境では,自己所有感と位置感覚の長期的学習メカニズムに異なる神経可塑性プロセスが関与していると考えられる.
  • 重度運動機能障がい者向け意思伝達支援への応用
    中村 美子, 長谷川 良平
    セッションID: O5-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    重度の運動機能障がい者の意思伝達支援を目的とした脳波BMI技術の実用化開発を目指し、眼球運動に依存しない刺激提示方法に基づいて脳波による意思伝達システムの開発を行った。8種類の絵カードを用いて8回ずつ刺激提示を行ったところ、5人の被験者平均において7~8回の刺激提示回数があれば95%以上の正答率が得られることがわかり、臨床応用に向けた本システムの有効性が確認された。
  • 勝原 摩耶, 井関 龍太, 上田 彩子, 熊田 孝恒
    セッションID: O5-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    高齢者における運動変更の困難さは,現在の運動の中止,新規な運動の開始それぞれの運動プランを並列的に処理することによって生じていると考えられる。本研究では,一方の手の運動(運動1)からもう一方の手の運動(運動2)に切り換えを必要とするAction change task(手の運動変更課題)を作成し,この問題について検討した。実験は,手の運動方向が運動1と2の間で異なるDifferent direction条件,動作の手のみが異なるSame direction 条件と運動1のみで終了する Single movement baseline 条件で構成された。主として運動1の終了から運動2の開始の間の時間的な関係を若年者と高齢者で比較した。
口頭6 日本語セッション(記憶、思考・言語)
  • 須藤 昇
    セッションID: O6-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、再認におけるラグ効果を検討した。再認系列において学習項目の再認がなされる場合、その直後の新奇項目に対して想起駆動型拒否が生じ、再認の感受性が高まり、項目間のラグが大きくなると感受性が低下すると考えられる。本研究は、その場合、学習項目と新規項目が意味的に関連する場合と無関連の場合に感受性に相違があるかどうかを検討した。実験の結果、学習項目と新規項目の意味的関係は感受性には影響しないことが示された。
  • 豊田 弘司
    セッションID: O6-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、情動制御(MR)の能力が高い参加者と低い参加者の偶発記憶の違いを検討した。 記銘語が2回提示され、参加者は提示ごとに記銘語から喚起される情動の快-不快を評定した。その後、偶発自由再生テストを受けた。分散提示された語に関しては、MRの高い者が快エピソードと結びついた語を不快エピソードと結びついた語よりも多く再生した。反対に、MRの低い者は、不快エピソードと結びついた語を快エピソードと結びついた語よりも多く再生した。これらの結果は、MRによってより強い不快情動が抑制されるために、その情動が検索手がかりとして利用されないが、弱い快情動は抑制されないということを示唆した。
  • 谷田 勇樹, 上野 泰治, Matthew A. Lambon Ralph, 齊藤 智
    セッションID: O6-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    音声は時系列情報であるため,語の認知には音韻情報を短期的に保持する必要がある.音韻の短期的保持には母語の音素配列構造に関する知識が寄与することが知られている.一方,音素系列に伴う韻律の影響を検討した研究は比較的少ない.そこで本研究では非単語を構成する音素系列の音素配列頻度とアクセントパタンを操作し,成人に3モーラ非単語の復唱課題を実施した.実験の結果,非単語が言語環境で生起頻度の低いアクセントパタンを付帯された場合に復唱エラーが多く,特にその効果は音素配列知識が十分に寄与しない低頻度な音素配列構造をした非単語で見られた.これは母語の韻律構造に関する知識が音素系列の短期的保持に寄与することを示す.一方,音素配列頻度効果は非単語が生起頻度の低いアクセントパタンを付帯された条件でのみ有意傾向を示した.以上より母語環境の音素配列知識と韻律構造知識が相補的に音韻性短期記憶に寄与することが示唆された.
  • 山田 陽平
    セッションID: O6-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,再認判断時のタイムプレッシャーを700msとし,回想性が使えない,すなわち熟知性のみに基づいて再認判断をしなければならない場合においても,検索誘導性忘却が生じるか否かを検討した。48名の実験参加者は,カテゴリと事例対のリストを学習後,700msのタイムプレッシャーの下で再認判断を行った。その後,学習したカテゴリと事例の手がかり再生テストが行われた。その結果,再認判断の時間が700ms,すなわち熟知性に基づく再認判断を行った場合にも,その後のテストで検索誘導性忘却が認められた。このことから,検索の初期段階である熟知性を生成する過程において,競合痕跡に対する抑制が働いていると考えられる。
  • EEG研究
    岩渕 俊樹, 荒井 翔真, 水原 啓暁, 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O6-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    語彙意味情報の脳内表現には分散的かつ広域的な皮質ネットワークが関与すると考えられている.複数の語から成る文を適切に理解するためには,これらの分散的な情報を統語分析に基づいて関係づけ,統合するという処理が不可欠であると考えられる.本研究は日本語の単文理解に関する実験を行い,課題遂行中の実験協力者の脳波(electroencephalography, EEG)を計測した.文としての意味的解釈が可能な条件と不可能な条件を比較したところ,解釈可能な条件では前頭-頭頂の電極間で有意な位相ロッキングがみられた.これがみられたのは時間的には他動詞が提示されてから約600から800msの区間であり,周波数では3から4Hzの帯域である.これは単文の意味理解に関する脳内の情報統合において,領域間の位相ロッキングが重要な役割を果たすことを示唆している.
  • 山村 祐介, 熊田 孝恒, 乾 敏郎
    セッションID: O6-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    行為文処理において、記述されている行為の運動情報が活性化することが示唆されている。その主張を裏付ける効果としてAction-sentence Compatibility Effect (ACE) が報告されている。ACEは文中に記述される行為と反応動作が同じ特徴を共有する場合に反応が促進されるという効果である。英文においては、音声の再生開始時に反応合図が提示される条件でのみACEが発生し、音声の再生終了後に反応合図が提示される条件ではACEは見られなかった。これは、動詞を処理する段階で文中に記述される行為の概略的な意味理解が行われ、行為の特徴が活性化するからだと考えられる。本研究では、日本語の行為文理解においてもACEが同様の条件で発生するかを計測した。その結果、日本語文では文の再生終了から1,000msec後に反応合図を提示されたときにACEの傾向が見られた。
  • 渡部 諭, 澁谷 泰秀
    セッションID: O6-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
     本研究は、振り込め詐欺に対する高齢者の脆弱性に関して、それが連続量であるのか、それとも離散量であるために高脆弱群と低脆弱群の2群に分類されるのかについてtaxometric分析によって検討を加えることを目的とする。健常高齢者332名と対照群として大学生246名を対象に、振り込め詐欺に対する脆弱性の調査を行った。独立行政法人国民生活センターのホームページに掲載されている「高齢者に多い相談」の中からシナリオを作成し脆弱性尺度を構成した。脆弱性尺度得点と年齢をindicatorとして、MAMBACとMAXLOPEの2つのtaxometric分析を行った結果、振り込め詐欺に対する脆弱性は若年者では連続量であるのに対して、高齢者では離散量であり高脆弱群と低脆弱群の2群に分類されることが明らかになった。したがって、振り込め詐欺対策は、高脆弱群に属する高齢者を主な対象に行うべきであることが示唆される。
ポスター1 記憶、思考・言語、人格・臨床、感情・動機
  • 神谷 俊次
    セッションID: P1-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    思い出そうとする意図なしに意識に上ってくる個人的経験である不随意記憶について,その生起頻度と日常記憶に関するメタ認知との関係を検討した。不随意記憶の生起手がかりをある程度統制し,かつ不随意記憶の生起を的確に把握することを意図したフィールドインタビュー法によって得られた不随意記憶の記録(神谷, 2011)の一部を分析対象とした。これらの不随意記憶を,自己機能,他者機能,方向づけ機能の3種類に分類した。不随意記憶数とメタ認知能力との間には有意な正の相関が認められた。つまり,日常的な記憶行動に問題があると認知しているほど不随意記憶の生起頻度が高かった。この関係は,不随意記憶を機能別に分析した場合にも当てはまった。不随意記憶が自動的に引き出されることにより,日常の記憶行動を補っていると考えることができる。
  • 山根 嵩史, 中條 和光
    セッションID: P1-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,記銘段階のメタ記憶モニタリングである学習容易性判断(EOL判断)について,Koriat(1997)の手がかり利用仮説による説明が可能であるかどうか検討した。偶発学習課題事態において,項目のEOL判断を行う条件と,音韻処理判断を行う条件,新密度や具象性などの判断を行う記銘方略条件の記憶成績を比較した。実験の結果,EOL判断を行う条件において,記銘方略条件と同等の記銘成績が確認され,EOL判断の内的メカニズムとして項目の親密度や具象性等の手がかりを利用していることが示唆された。このことから,EOL判断からJOLまでのメタ記憶モニタリングについて,一貫して手がかり利用仮説を適用できる可能性が考えられる。
  • 三浦 大志, 伊東 裕司
    セッションID: P1-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    リベレーション効果は、アナグラムなどの認知的課題を行った直後に再認判断を求めると「old (学習フェイズで見た)」と判断されやすいという効果である。多くの先行研究が再認テスト時のリベレーション効果を確認しているが、再生テストを行った場合でも本効果が生起するかどうかはこれまでのところ明らかにされていない。そこで本研究では、手がかり再生テストを用いてリベレーション効果が生起するかどうかを検討した。20名が参加した実験の結果、統計的に有意なリベレーション効果は見られなかった。しかし、直前にアナグラム課題を行った試行の方が数値的に正再生率および誤再生率が高く、再生テスト時でもリベレーション効果が生起する可能性が示された。テストの回答率や正再生率を上昇させる可能性のあるリベレーション効果の、教育場面への応用が今後期待される。
  • RIFパラダイムを用いた検討
    伊藤 友一, 川口 潤
    セッションID: P1-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    人間は未来の出来事を実際に体験しているかのようにイメージすることが出来る。そのような能力は,エピソード的未来思考 (以下,未来思考) と呼ばれる。未来思考は,エピソード記憶想起と同じ記憶システムに依存していることが知られており,エピソード記憶情報の検索と統合により未来の出来事のイメージが構築されると考えられている。したがって,未来思考とエピソード記憶想起における検索過程も同様のプロセスならば,エピソード記憶想起時に生じる現象は未来思考時にも生じるはずである。しかし,先行研究で,記憶想起時に生じるRIF(検索誘導性忘却)が,未来思考時には生じないことが示されている。ただし,その先行研究では遠い未来の出来事をイメージする場合しか検討していなかった。そこで, 我々は近い未来の出来事のイメージによってRIFが生じるかを検討した。その結果,時間的距離に関わらず,RIFは生じないことが示された。
  • 中山 友則
    セッションID: P1-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
     本研究は,意図・偶発学習パラダイムとDRMパラダイムを組み合わせ虚再認について検討を行った。このパラダイムでは,単語を対呈示し,一方を意図的に学習し,もう一方を偶発的に学習することで,相対的により意識的な処理と,より自動的な処理を参加者内で同時に検討することが可能となる。この結果,意識的な処理によって虚再認が高くなることが示された。その一方で,自動的な処理も影響していることが示された。さらに,本研究では,参加者に対して,学習時の単語に関する属性について思い出すように求めた。その結果,意図学習を行った単語と関連する虚再認の対象となる単語については,本来は学習時の属性がないにもかかわらず,属性を思い出せると報告した。このことは,参加者が学習時に虚再認の対象となる単語のみを作り出しているのではなく,他の単語の持つ属性情報まで含み虚記憶を形成していることを示唆する。
  • 玉木 賢太郎, 内藤 佳津雄
    セッションID: P1-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では検索経験パラダイムにおける抑制処理への競合項目数の影響を検討した。検索経験パラダイムではターゲット項目(Rp+)を検索することで,ターゲットと共有する競合項目(Rp-)の検索が統制条件(Nrp)と比べて困難となる現象が観察される。この現象は競合項目が抑制されることにより生起すると考えられている。本研究の目的は抑制と検索が処理資源を共有しているかを検討することであった。検索に要する処理資源を操作するため,手がかりあたりの学習項目数が2項目群と10項目群の2条件を設定した。実験の結果,Rp-の再認反応時間がNrp, Rp+より遅く抑制が観察された。また,2項目群の方が10項目群より反応時間が速かった。加えて,2項目群と10項目群の間に抑制効果量の差は認められなかった。これらのことから抑制は検索に要する処理資源から独立している可能性が指摘できる。
  • 大塚 一徳, 宮谷 真人
    セッションID: P1-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では高齢者におけるワーキングメモリの処理時間(processing time),処理の正確性(processing accuracy),記憶容量(storage accuracy)という3つの構成要素について,3つの領域(言語的,数的,空間的)のワーキングメモリスパン課題(Complex working memory span tasks)によって測定し,加齢に伴うワーキングメモリの処理成分と記憶成分の機能低下について検討した。実験参加者を60代前半(n = 30),60代後半(n = 45),70代以上(n = 35)の3群に分け,ワーキングメモリの処理成分と記憶成分について分析した結果,言語的,数的,視空間的という異なる処理領域からなる3種類のワーキングメモリスパン課題において,加齢によってより多くの処理時間が必要となったことが示された。この結果は,認知的加齢によってワーキングメモリの機能のうち処理スピードが影響を受けることを示唆する結果である。
  • 森井 康幸, 吉野 奈々子, 漁田 俊子, 漁田 武雄
    セッションID: P1-8
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    Smith & Manzano(2010)が自由再生における非常に大きなビデオ文脈依存効果を報告して以来,いくつかの研究がその効果を確認している。本研究は,ビデオ文脈の動的視覚情報と聴覚情報といった構成要素のいずれがこの効果の大きさを規定しているのかを検討することを目的とした。ビデオ要素(音あり vs. 音なし vs. 静止画像;参加者間)×文脈の同異(同文脈 vs. 異文脈;参加者内)の2要因混合計画を用い,大学生を20名ずつ3群に割り当てた。28単語を,単語とは無関連な28個のビデオクリップ(または静止画象)を文脈として,1項目5秒ずつ提示し意図学習を行い,30秒後に口頭自由再生を求めた。その結果,文脈の同異の主効果のみが有意となり,実験前に予想していた交互作用は有意ではなかった。この原因として,本実験の手続きが非常に文脈依存効果を生じやすいものであったことが示唆される。
  • 吉野 さやか
    セッションID: P1-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,4歳から6歳までの幼児115名を対象として,目撃直後に自発的に情報を意味づけることが,遅延後の想起にどのような影響を与えるのかを検討した。幼児の日常場面を描いた絵を用い,絵の提示時に自発的に意味づけさせる群,絵を描写した物語を聞かせる群,および統制群を設け,直後および1週間後に,再生・再認課題を実施した。その結果,見た場面を直後に自発的に意味づけた場合,1週間後もより正確に場面を想起できることが示された。また,発話プロトコルを分析したところ,年長児は自発的に意味づけた場合に,年中児は意味づけを促した場合に,時間を経ると意味に焦点化して想起することが示された。従って,大人と同様に幼児であっても,減衰していく記憶に対して,意味を見出そうと働きかけているのではないかと示唆された。
  • 向居 暁
    セッションID: P1-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/05
    会議録・要旨集 フリー
    学習者が学習活動に自信や期待を持つことは、記憶に対してどのような影響を与えるのだろうか。本研究は、記憶成績を向上させるという名目で実施された脳トレ課題が、カテゴリーリストの記憶再生テスト成績に与える影響を検討した。その結果、脳トレ課題実施によって、プラシーボ効果のような記憶成績の向上は認められなかったが、脳トレ効果への期待が、虚記憶に対する確信度を上昇させる可能性が示唆された。
feedback
Top