抄録
本研究では,再認判断時のタイムプレッシャーを700msとし,回想性が使えない,すなわち熟知性のみに基づいて再認判断をしなければならない場合においても,検索誘導性忘却が生じるか否かを検討した。48名の実験参加者は,カテゴリと事例対のリストを学習後,700msのタイムプレッシャーの下で再認判断を行った。その後,学習したカテゴリと事例の手がかり再生テストが行われた。その結果,再認判断の時間が700ms,すなわち熟知性に基づく再認判断を行った場合にも,その後のテストで検索誘導性忘却が認められた。このことから,検索の初期段階である熟知性を生成する過程において,競合痕跡に対する抑制が働いていると考えられる。