抄録
2つの実験により項目リストの学習中に背景色文脈が切り替わった場合,背景色を手がかりに切り替えの前後を異なるエピソードとして弁別されるか否か,および加齢の影響としてその効果が変化するか否かを検証した。実験1は大学生(N=20)を対象とした学習リスト中のターゲットの干渉とリスト中の前後半部での背景色文脈の異同を要因とした2要因参加者内計画とし,実験2は高齢者(N=34)を対象に,実験1に演算スパンを加えた3要因混合計画とした。実験参加者は8項目からなる学習リストとフィラーリスト(各30試行)を意図学習した。項目リストの提示ごとに再認手がかりを提示し,直近の4項目の中に同じカテゴリーの名詞が含まれていたか否かを判断させた。結果,高齢者においてはリスト学習中に背景色文脈が切り替わることで,再認判断の正確さ,早さを促進すること,若齢者においては正確さを促進しないが反応速度は促進することを見出した。