日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第12回大会
セッションID: O4-2-2
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口頭発表4-2 日本語セッション(知覚・感性2)
視覚と運動のタイミングが幻肢の運動感覚へ及ぼす影響
1症例における検討
*今泉 修浅井 智久金山 範明河村 満小山 慎一
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抄録

運動に対する視覚フィードバックが遅延すると自己主体感(自己が行為を起こしている実感)が減少する。他方で,切断後にその存在を感じる幻肢においては,運動と視覚フィードバックのタイミングと幻肢の運動感覚(自己主体感)との関連は検討されていない。本研究では左腕切断患者1名の協力を得て,遅延視覚フィードバックが幻肢の運動感覚に及ぼす影響を調べた。実験では,健常側の右手の開閉運動を撮影して左右反転させてモニタに映し,左腕前方へ呈示した。遅延0, 250, 500ミリ秒のいずれかの映像を観察した後,幻肢の運動感覚の強さを評価した。結果,遅延250, 500ミリ秒条件では運動感覚が減少したが,幻肢の開閉運動の位相を遅延500ミリ秒映像のそれに合わせるよう教示すると,運動感覚が増大した。遅延視覚フィードバックが幻肢の運動感覚を減少させること,トップダウン情報も幻肢の運動感覚に影響することが示唆された。

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© 2014 日本認知心理学会
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