インターネットへの依存傾向が高い人は,ストループ課題などの抑制機能が必要な課題で,反応を抑制することは可能ではあるが,より強い抑制努力が必要なため,課題と無関連な情報を抑制することは容易でないことが示された (Dong et al., 2009;2012)。よって,制御を必要とする認知課題に影響を及ぼす個人差として考慮していく必要があると考えられる。また,インターネット依存とされた患者は気分障害などを併発していることが報告されており (Shapira et al., 2000),インターネット依存は独立した症状なのではなく,気分障害など別の疾患の症状の1つだとする批判も存在している。そこで,気分障害を統制しても制御能力とインターネット依存の間に関連性があるか調査を行った。その結果,BDI-I得点の影響を制御した場合も制御能力とIAT得点に相関関係が認められたため,少なくともうつ病がインターネットの過剰使用の原因ではないため症状の一部ではないといえる。