抄録
流暢な読みには,文字列の早く自動的な処理が必要であると考えられる。この自動性の観点を検討するため,Okumura et al. (2014)は,高速提示された課題非関連な文字列(単語,非語)および記号列に対する事象関連電位を測定し,刺激呈示後160-220 msに文字列に対して両側の後側頭部で陰性に増大する両側N170を見出した。しかしこの実験では文字列と非文字列の提示確率が異なりそれが交絡した可能性がある。そこで本研究はこれを改善した類似の実験を行ったが,結果はかなり異なるものとなった。まず後側頭部において80-120 msの単語特異的な陽性電位の増強,続く150-200 msでは左半球優勢に分布する典型的な文字列特異的N170,さらに頭頂部で非語に対して増大する陰性電位を観察した。これらの結果は,刺激文脈によって駆動される,複数の早い文字列処理過程が存在することを示唆する。