抄録
子どもの動詞などの内容語学習において, 言語情報がインプット中に頻繁に出現する言語では言語情報が利用され, 頻繁に出現しない言語では学習に利用されないことがわかっている (Arunachalam, Song & Waxman, 2013) . 本研究では, 今まで検討が至っていなかった機能語である日本語の格助詞学習において, 言語情報が利用されるのか否かについて, 人工格助詞を用いた実験を行った. 5歳児に動作主-被動者を標示する格助詞ポ, ビを, 言語情報が豊富な文 (SOV) と豊富でない文 (SV/OV) で学習させた. 結果, ポの理解で学習による差はなく, ビの理解ではSV/OVで学習した子どもが, 理解が容易であった. ここから, 格助詞, とくに被動者を標示する格助詞の学習では, 言語情報はさほど利用されていない可能性が示唆された.