日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第14回大会
セッションID: P3-17
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ポスターセッション3
間接的発話の理解における個人差
階層ベイズモデルによる検討
*平川 真
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抄録
我々の日常生活において、例えば「この部屋暑いね」と言うことで「窓を開けて」という要求を伝えようとするように、発話のことば通りの意味と話し手が伝えたい意味とが一致しないことは多い。本研究では、質問紙調査を行い、間接的発話の理解における個人差を階層ベイズモデルにより推定した。その結果、間接的発話の理解における個人差が大きいことが示された。また、その個人差を予測する変数について検討したところ、理論的に関連が予測される自閉スペクトラム傾向は、間接的発話の理解の個人差をほとんど説明しなかった。一方で、他者からの評価についての予測が影響しており、「相手が意図した間接的意味を自分が理解しないことは、他者から悪く評価される」という信念を持つ人ほど、間接的意味を妥当だと判断しやすいことが示された。しかし、説明率は10~30%と十分ではなく、今後、個人差を十分に予測する変数を検討する必要があるだろう。
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© 2016 日本認知心理学会
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