抄録
学習者が試験に対して抱く思考は,試験に関連する感情経験などに影響を及ぼすことが想定される。本研究では,大学生が,様々な試験に対して抱いている思考スタイルを明らかにした。対象は大学生65名であった。質問紙では,3つの試験(これまで受けた中で最も重要だと感じた試験,高校定期試験,大学定期試験)のそれぞれに対し,4期間(無関係な期間,試験の準備開始から試験前日,試験当日から試験終了,試験終了から結果を知るまで)においてどのような思考を抱いていたかについて,各1項目の自由記述を求める形式を用いた。その結果,いずれの試験においても期間ごとに同様の思考がみられ,各期間において代表的な記述カテゴリは,無関係期間(試験への準備,余裕),準備期間(試験への準備,試験形式・内容)試験当日から終了(時間配分,結果),終了から結果を知るまで(成績への自信・不安,無関心)であった。