日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第15回大会
セッションID: P4-25
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ポスター4 《記憶》
忘れたものは後で見えづらくなるのか?:
指示忘却の潜在記憶テストへの影響
多賀 禎川口 潤
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抄録

指示忘却とは,学習内容の忘却を求めるとその後の記憶成績が低下する現象である。代表的な忘却パラダイムのthink/no-thinkを用いた研究では,忘却が視覚の知覚表象の活性化レベルに影響を与えることが示されている。そこで,本研究では他の代表的な忘却パラダイムである指示忘却課題(項目法)を用いて,忘却教示の潜在記憶テスト成績への影響を検討した。まず学習段階では,学習画像(顔画像)を単独呈示した直後にそれが学習項目か忘却項目かを示す教示を与えた。学習教示では直前に呈示した顔画像を覚えること,忘却教示では忘れることを求めた。干渉課題の後,潜在記憶テストとして顔画像の正立倒立判断課題,顕在記憶テストとして再認課題を行った。実験の結果,指示忘却効果は顔画像再認ではみられたが,正立倒立判断ではみられなかった。これらのことから,指示忘却は視覚の知覚表象の活性化レベルには影響を与えない可能性が示唆された。

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© 2017 日本認知心理学会
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