日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第15回大会
選択された号の論文の146件中1~50を表示しています
口頭英語
  • Yu Liang, Eriko Sugimori
    セッションID: E-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    It has been revealed that external stimulated manipulation of physical activity has moderating effects on people’s emotional experiences and the decision-making procedures. (Strack & Stepper, 1988). On the other hand, in the domain of memory study, memorytends to be different when retrieved in different moodstates. (Congruence Hypothesis, Risking, 1983). In study 1, subjects were holding a pen in their mouths to evoke either positive or negative emotion state; in study 2,subjects used a tear drop glasses (with without tear dropping process) when trying to retrieve memory from their past, and the difference will be discussed according to the memory retrieved in those two situations. As a result, in both cases, no matter when subjects held a pen in mouth or experienced a manipulated tear, it showed that people’s memory could be influenced when associated with an external stimulated manipulation of physical activity.
  • A Near-infrared Spectroscopy (NIRS) Study of Inter-brain Coupling Using a Feedback Task
    H Saito, C. Lin, G. Saito, G. Gyoba, Y. Itukushima
    セッションID: E-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    対面する虚偽報告者(Liar)と虚偽検出者(Detector)の脳活動の同期(coupling)現象を、近赤外分光法(NIRS)を用いて検討した。Liarは、単独で視覚呈示された単文を「音読」するか、あるいは単文内容を右手の「動作」で表現することを求められ、次に実施行動(音読、動作)の再認検査を受けた。最後にLiarは対面状況下で、各単文に付与される命令語(真実・虚偽)に応じた実施行動をキー押し判断し、直後に口頭で「音読」または「動作」しましたと報告した。例えば、ある単文に「動作」を行い、「虚偽」命令を受けると、Liarは「音読しました」と虚偽を報告した。DetectorはLiarの報告に対する真偽判断の直後に各判断の正誤を知らされた。Detectorの虚偽検出(正答)率は約50%であった。両者のNIRSデータは、Detectorの正答反応試行でのみ、右IFGで正の脳間相関を示した。
  • June-Seek Choi, Ji-Hye Lee, Sunwhi Kim, Jungsoo Han
    セッションID: E-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    We have developed a novel stress model with high ecological validity using a chasing robot. To emulate predatory threat, rats were repeatedly chased by a fast-approaching robot in an inescapable, donut-shaped circular maze. In Exp. 1, validity of the chasing stress model was tested by measuring the plasma corticosterone(CORT) level and freezing and ultrasonic vocalization (USV). In Exp. 2, rats were tested for the memory of the chasing stress and sensitivity to another aversive situation, three weeks later. The results demonstrated that a distinctive pattern of stress responses and long-term sensitization of defensive response in subsequent aversive events could emerge following chasing stress by a fast-approaching artificial object that emulates an attacking predator. The new stress paradigm would open up a new possibility to investigate how an evolutionarily preserved defensive system mediates stress response and related psychopathology.
  • A Near-Infrared Spectroscopy Study
    Shuang Meng, Misato Oi, Godai Saito, Hirofumi Saito
    セッションID: E-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    手の左右判断課題(HLJ)において1人称視点(1PP)を用いた先行研究は、その左右判断が手の回転への生体力学的制約を受けること(BC効果)を示す。我々は、三人称視点(3PP)からの手の左右判断もBC効果を示すことを検討するために、近赤外分光法(NIRS)を用いて前頭前皮質(PFC)の賦活を計測した。右利きの参加者は、回転された手の図が自分のあるいは他人の左手か右手かを判断した(1PP vs.3PP群)。参加者の誤答率に基づき、両群は誤答下位群(EsG)と非誤答(正答)下位群とに分けられた。3PP群のEsGに対するNIRS分析結果は左PFCで手の左右判断と回転角度とに交互作用を示した。特に1PP群と3PP群間でEsGの左PFCの賦活は左手図形に対して、有意な交互作用を示した。これらの実験の結果は、生体力学的制約が自己視点1PPからと同様に他者視点3PPからHLJに影響することを示す。
  • Sangyub Kim, Soohyun Ryu, Kichun Nam
    セッションID: E-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    The purpose of this visual half-field study is to investigate the effect of ambiguity advantage effect and frequency effect on hemispheric functions that affect the semantic processing of an ambiguous eojeol, which is the basic unit of Korean sentences. As a result of the experiment, the ambiguity advantage effect and frequency effect appeared when the ambiguous eojeols was presented in the left visual field(right hemisphere). It is suggested that the activation of subordinate semantics of the ambiguous eojeol appears in the right hemisphere and the process of selecting appropriate meaning among the subordinate semantics of the ambiguous eojeol appear in the left hemisphere.
  • Shin Asakawa
    セッションID: E-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    The NTT Kanji database (Aman and Kondo, 1999) is one of the most popular kanji datasets. However, it has been long ever since it published. The word2vec (Mikolov, et al., 2013) was proposed based on large vocabulary dataset. In spite of their popularity, any comparisons have not been tried so far. We tried to figure out differences between them in terms of several ways.
  • Kaichi Yanaoka, Satoru Saito
    セッションID: E-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    日常生活で繰り返される出来事の行動系列に関する知識のことをスクリプト (Schank & Abelson, 1977) と呼ぶ。現実の生活では, 子どもたちは様々な妨害に対して, スクリプトを柔軟に実行する必要がある。しかし, 先行研究ではこうしたスクリプトの柔軟な実行がどのようなプロセスでなされるのか明らかにされていない。そこで, 本研究ではスクリプト実行中の階層的目標表象の保持能力の発達と実行機能との関連を検討することを目的とした。こうした目的を, 幼児80名を対象に, 人形を幼稚園に行くための服に着替えさせる人形課題を用いて検討した。結果, スクリプトの柔軟な実行は, 階層的目標表象の保持能力の発達に依拠していることが示唆された。また, スクリプトの柔軟な実行と抑制能力が関連することも示された。
口頭1 《知覚・感性1》
  • 尾田 政臣
    セッションID: O1-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    顔の美しさや魅力の評定に対称性が影響することが知られている。しかし、顔写真を用いた実験では、知覚的な条件以外に認知的な要因も加味された評定になっている可能性がある。このような影響を極力排除し、物理的な特徴が美的評価に及ぼす影響を見るため線画の顔画像を用いた。左右対称な線画の顔の右目の大きさを拡大すること、および右目の水平位置を輪郭方向へずらすことで非対称性を統制し、その時の顔の美しさを評定させた。目の大きさはオリジナルの目の面積に対する比率を用い、目の位置は顔の中心から目の中心までの長さに対する比率を採用した。実験の結果、目の大きさについては、男女平均で34%の拡大、目の位置では13%の増加が美しさ評定値の低下をまねく閾値となることが明らかになった。特に目の大きさについては閾値を境に急激に評価が落ちており、バーラインの覚醒水準モデルの釣鐘型にはなっていない。
  • 中村 航洋, 上崎 聖子, 太田 安里, 前田 真理子, 川畑 秀明
    セッションID: O1-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    人は他者の顔を見ると,自動的にその顔に対する多様な印象を評価する。本研究では,他者の印象を表現する際に用いられる日常的な評価項目を用いて,日本人女性の顔に対する印象構造と,それを規定する顔形態特徴を明らかにすることを目的とした。実験では,25名の女性がおよそ100名の女性顔について「きれいな」「いきいきした」等,日常的に使用される顔印象の記述語について評価し,これらの印象項目の得点に対し主成分分析を行った。その結果,第1主成分として,顔印象の情動価(positive/negative)の評価次元が得られ,全体の評価の変動の約70%を説明可能であることが示された。さらに,顔形態の分析により,情動価の印象と共変する顔形態が特定された。こうした結果は,日本人女性の顔に対して知覚される多様な印象は情動価から派生する部分が大きく,情動価の印象は顔形態によって規定されていることが明らかになった。
  • Ultra-rapid detection taskによる検討
    立花 良, 新国 佳祐
    セッションID: O1-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    人間や霊長類は自然画像のような複雑な外界から、非常に速く物体の情報を抽出できる。動物などの有生物は乗り物などの無生物に比べ、呈示時間が20msでさえ、非常に正確に認識される。本研究では、物体としての人が自然画像内でどう検出されるかをultra-rapid detection taskを用いて検討した。実験1の自然画像評定課題で作成した画像を用い、実験2では、正面、横、後向きの人と乗り物を検出するultra-rapid detection taskを行い、検出にどのような差があるかを検討した。結果から、自然画像内において横から見た人が、最も正確に検出されると明らかになった。これにより、有生物の優位性および異なる視点による物体認識の差を支持するとともに、横から見た人は、たとえ自然画像という複雑な状況下かつ低次視覚処理においても、より「人間らしい」情報を喚起し速い検出を可能にすることがわかった。
  • 表情分類課題による検討
    木原 健, 武田 裕司
    セッションID: O1-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、怒りを隠した作り笑いなど、本当の感情とは異なる偽りの表情を認識できる。表情認識には空間周波数情報が重要であることから、それが偽り表情の認識に関与している可能性がある。これを検討した先行研究では、低・高空間周波数(LSF・HSF)情報で構成された顔画像を変化させて教示された表情を作成する課題をおこない、偽りの笑顔はLSFとHSFで笑顔の強度が異なることを示した。この結果が課題に依存しないことを確認するため、本研究では、LSFとHSFの表情強度がランダムに組み合わされた表情を、本当の笑顔、本当の怒り顔、怒りを偽った笑顔、笑いを偽った怒り顔の4種類に分類する課題を実施した。その結果、LSFとHSFの笑顔の強度が異なる表情は偽りの笑顔と分類されやすいことが示された。これは、表情作成課題の結果と一致する。したがって、我々はLSFとHSFの表情の違いから偽りの笑顔を認識していると考えられる。
  • 高山 博司, 小川 洋和
    セッションID: O1-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、無意識的な嫌悪情動が道徳的判断に与える影響が個人特性である嫌悪感受性と特性不安によってどのように変化するかを明らかにすることであった。実験は性別判断課題とサイコロ課題から構成された。性別判断課題では、参加者に顔刺激の性別を判断させたが、その際表情顔刺激を瞬間呈示することで情動プライミングを行った。サイコロ課題では、参加者は出目によって報酬が増減すると教示された上でサイコロを振り、虚偽の報告を行える状況下で出目を自身で記録した。その結果、嫌悪プライミングを受けた場合、特性不安高群は特性不安低群よりも不正行動の生起頻度が高くなり、嫌悪感受性高群では、嫌悪感受性低群よりもその傾向が強かった。一方、質問紙による顕在的な嫌悪情動の上昇は見られなかった。これらの結果から、嫌悪感受性および特性不安は相加的に嫌悪情動の強度に変化させ、その結果として道徳的判断に影響を与えることが示唆された。
  • 多田 美香里
    セッションID: O1-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    日常生活用品の把持については、物品によって握りやすいと感じる配置に違いがあると考えられる。また、観察者にとって通常は見かけることのない配置である場合よりも、通常よく使う配置である場合のほうが、判断は促進されると言われている。日常生活で接する機会の多い対象では、把持到達運動を繰り返し行った過去の経験から、その使用に応じた把持到達表象が生じるものと考えられる。そこで本研究では、日常生活における把持の経験が多く、どの部分をどのように把持すれば良いか熟知している物品と、把持の経験が少なく、どのように把持すれば良いかを十分に理解していない物品に対する把持の正確さについて、観察者と物品の位置関係および把持のしやすさについて検討した。その結果、把持に対する誤反応については、把持の経験による影響が大きいことが示された。
口頭2 《記憶》
  • 高城 雅裕, 杉森 絵里子
    セッションID: O2-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    行為文の記銘時、実演して学習した場合は実演しなかった場合と比較して行為文の記憶成績が高まることが明らかになっている(実演効果:Cohen, 1981)。本研究では、自己アバタにも実演効果が見られるか否かについて検討を行った。実験1では、自己アバタと他者アバタを登場させ、「自己」という単語と行為文が呈示された場合には、実験参加者がキー押しをすることで自己アバタがその行為をスタートし、一方「他者」という単語と行為文が呈示された場合には、他者アバタが勝手に行為を実行した。その結果、自己アバタが行為した文をより多く再生した。実験2では自己アバタのみが登場し、実験参加者のペースでキー押しをし、そのタイミングで自己アバタが行為をスタートする場合と、遅延して行為をスタートする場合を作った。その結果、実験参加者のキー押しと自己アバタの行為スタートが同時だった場合の行為文をより再生した。
  • 組立課題における動画優位性の検討
    原田 悦子, 遠藤 祐輝
    セッションID: O2-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    近年,マニュアルの動画配信が普及しつつあるが,動画が人の学習メディアとして真に有益か否か,先行研究では明らかではない.本研究では,特に説明対象が「モノや手をどう動かすか」という手続き操作性の高い場合に動画が有効になるのではないかとの仮説を持ち,またその際,情報に「必然的に含まれる」手や身体の効果を独立して検討するために,3種の組立パズルを用いた実験を行った.その結果,特に3D課題において静止画に比べ動画マニュアルの支援効果が高いこと,しかし二次元的な,「直感的ではない動き」の学習については動画優位性は見られないこと,また一度マニュアルを見ながら課題実施した後に,マニュアルなしでテストを行う偶発学習事態では静止画の方が優位性を示す場合があること,手の情報の効果は,手続き操作性の高低とは独立に,いずれの場合も有効であることが示された.動画マニュアルの有効性を規定する要因について議論を行う.
  • ―主観的幸福感の向上およびその持続―
    平子 真里絵, 川口 潤
    セッションID: O2-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    なつかしい出来事を想起すると,主観的幸福感が高まるなど心理的に良い効果が生じることが報告されている。しかし,一定期間なつかしい出来事を反復想起した場合の心理的効果を調べた研究はない。そこで本研究では,一週間毎日なつかしい出来事を想起することによる主観的幸福感の向上およびその持続について,実験的に検討した。具体的には,参加者を「なつかしい出来事想起群(なつかしさ群)」と「日常の出来事想起群(統制群)」に分け,なつかしいあるいは日常の出来事を想起し記述する課題に毎日取り組んでもらい,出来事の想起前や一度の想起後,一週間の反復想起後,時間をおいた二週間後に,主観的幸福感などを測る質問紙への回答を求めた。その結果,なつかしさ群で,出来事の想起前より一週間の反復想起後や二週間後のほうが,主観的幸福感が高かった。このことから,なつかしい出来事の反復想起がもたらす心理的効果やその持続性が示された。
  • 林 美都子, 坂 知美
    セッションID: O2-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    日誌法により若年層の匂い記憶の特徴を明らかにした先行研究(山本,2008)を踏まえ、本研究では面接法を用いて、高齢者層との相違を明らかとすることを目指した。若年者34名(平均年齢20.26歳)と高齢者51名(平均年齢75.54歳)を対象としたところ、主に、以下のような相違が明らかとなった。1点目として、若年者のうち3名、高齢者では19名が匂いを手掛かりとしたエピソード記憶が報告されず、直接確率計算の結果、高齢者は若者ほど匂いを手がかりとしていないことが示された。次に、生まれた年齢を0、想起時の年齢を100として、自伝的記憶の生起時期を求めたところ、若年層では平均73.5の時点、高齢層では36.0の時点での生起が最も多く、χ二乗検定の結果、高齢者の方が相対的に人生において古いエピソードを思い出すことが示された。最後に、両層ともに“家族”に関するエピソードが多く報告されたことが共通していた。
  • 堀内 孝
    セッションID: O2-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、堀内(2016)に引き続いて、エピソード的未来思考が顔の再認記憶に及ぼす効果について検討することである。実験参加者は女性36名であり、実験室で個別に実施された。実験は処理水準理論に準拠して計画され、意味処理課題(顔写真の女性が活動的な性格か否かを判断)と形態処理課題(顔写真の女性の目が大きいか否かを判断)に加えて、新たに未来思考課題(顔写真の女性と友達になった場合、うまくお付き合いできそうか否かを判断)が設定された。各条件のAプライム値に関して分析した結果、意味処理優位性効果が確認された。これは本実験が適切に実施されたことを示す傍証の一つである。本研究の主眼である未来思考課題の記憶成績(Aプライム)であるが、意味処理課題と同程度であり、形態処理課題よりは有意に高いことが明らかとなった。以上の結果に関して、エピソード的未来思考の符号化処理という観点から議論された。
口頭3 《感情・動機》
  • 山添 貴志, 前川 亮, 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O3-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    他者感情推定のモデルとして,観察者が他者と同様な生理状態になることで感情を推定するという体現的シミュレーション仮説が提唱されているが,他者の感情表出率の影響については十分に明らかにされていなかった。そこで本研究は,物理的な表情の変化量であるモーフィング率と観察者の生理反応の関連を検討した。実験では,中性表情からモーフィングされた幸福または怒り表情が表出している感情価と覚醒度を参加者に推定させ,課題中の生理反応を測定した。各表情画像の平均的な生理的変化を説明変数,各表情画像の平均感情価推定値を目的変数とした重回帰分析の結果,皺眉筋活動,大頬骨筋活動,および心拍変動は感情価推定値を有意に予測した。以上より,すべてのモーフィング率の感情価推定値を観察者の生理的変化が予測する傾向がみられたので,体現的シミュレーションによる自己の生理的変化は他者の感情表出率に対応する可能性が示唆された。
  • 前川 亮, 成山 雄也, 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O3-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    他者感情の推定時に自分の中に相手と同じ感情を生じ、感情を共有することで行う感情推定を共感的な感情理解という。この共感感情の生起を、ミラーニューロンの働きによって生じる身体状態の模倣によって説明する試みがなされているが、まだ十分な証拠は得られていない。本研究では特に共感性の個人差に着目し、共感性の高低が模倣的な身体状態の変化に及ぼす影響を検討した。実験参加者は感情推定課題を行い、その際の表情筋活動・心拍・発汗・皮膚温を記録した。さらに質問紙によって共感性を評価し、身体状態の変化と比較した。その結果、共感性の高い群では模倣的な身体状態の変化がほとんど見られなかったのに対し、共感性の低い群では感情推定値と身体状態の間に相関関係がみられた。この結果は、ミラーニューロンの働きが社会的文脈によって抑制されるという知見と一貫しており、共感性の高い参加者はより抑制制御に優れていると考えられる。
  • 難波 修史, 松田 聖顕, 宮谷 真人, 中尾 敬
    セッションID: O3-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    他者の内的状態を正確に推量する能力を共感正確性という (Ickes, 2001)。本研究では,対話している人物の情動的な内的状態を推量する課題と認知的な内的状態を推量する課題の2種類の課題で測定される共感正確性と自己報告型の共感性との関連を検討した。いずれの共感正確性課題においても,登場人物に自分を置き換えて想像する能力が相手の内的状態を正しく推量するのに重要であることが示唆された。さらに,思考のようなより認知的な状態を推量する課題は自己との体験を切り離して相手の立場に自身を置く,ということが正確性と関連する可能性が示され,より情動的な状態を推量する課題では相手の情動体験を模倣し共有してしまう情動伝染的なメカ二ズムが重要である可能性が示された。今後の研究では,異なる推量対象に対する共感正確性と自己報告型の共感性との関連を検討することで本結果の頑健性について検討していく必要があると考えられる。
  • 朝倉 暢彦, 乾 敏郎
    セッションID: O3-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    意思決定の神経心理学的検査に用いられているアイオア・ギャンブル課題に対して,健常者が必ずしも最適な選択行動をとらないことが近年報告されている.本研究では,この課題の公開データベースに対してモデルベースのクラスタ分析を行い,健常者の特徴的な選択パターンを同定することを試みた.405名の実験参加者の課題終盤の選択パターンに対して混合多項分布を用いたクラスタ分析を行い,周辺完全尤度を用いた情報量基準で最適なクラスタ数を決定したところ,12個の選択パターンが同定された.その中で選択肢のもつ長期的な利益に基づいた選択パターンを示すのは全体の25%程度に過ぎず,半数以上が損失の頻度の低い選択肢を選好する選択パターンであった.さらに,その後者の選択パターンは,期待効用の最大化による合理的決定方略ではなく,各選択肢から得られる報酬確率に基づいた確率マッチングの方略に対応するものであることが明らかとなった.
  • 市村 賢士郎, 長谷部 育恵, 市村 晴香, 西澤 園子, 宮一 愛美, 後藤 崇志, 楠見 孝
    セッションID: O3-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    動機づけには,期待や価値のような質的側面だけでなく,エネルギー性を持って動的に変化する量的側面がある。量的側面は一般に課題の持続性や反応時間から推側されるが,これらの方法は課題中の動的変化を十分に捉えられていない。本研究は量的側面の動的変化をより直接的に測定する実験パラダイムを考案し,報酬を用いた実験操作の効果を検討した。この課題では,実験操作前に両手で1試行ずつ,実験操作後に両手交互に3試行ずつ30秒間握力を発揮する。実験操作の前後のパフォーマンス変化を95%信頼区間の重なりから比較することで,量的側面の動的変化を推測する。今回の実験では50名の参加者に言語報酬または金銭報酬を提示する操作を施した。結果,言語報酬は30秒間全体の握力を持続的に向上させ,金銭報酬は報酬確定後からの握力を一時的に向上させる傾向がみられた。実験結果を踏まえ,本実験パラダイムの動機づけ研究への寄与について論じる。
  • 楠見 孝, 米田 英嗣
    セッションID: O3-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    日本全国の18歳から79歳の800人に対象にweb調査で、作品舞台を旅する「聖地巡礼」行動における作品世界への没入感を検討した.質問項目としては、物語理解における没頭尺度,移入尺度を旅行行動に対応するように改良し、あわせて、懐かしさ傾向、旅行行動などを測定した.その結果、アニメの作品舞台の旅行者は、小説舞台の旅行者に比べて,場面既知感が高いこと,場面既知感と作品世界への没入は相関が高いことが明らかになった。
口頭4 《社会的認知》
  • 徐 ?哲, 川端 良子, 松香 敏彦
    セッションID: O4-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、観察者の性格特性が顔の印象評定と観察行動に与える影響について検討することを目的とし、二つの分析を行った。分析1では、行動実験で得られた眼球運動と性格特性のデータをもとに、複数のモデルを比較し説明力の高い階層的ベイズモデルを選出した。その結果、観察行動は(a)観察者の性格特性と(b)観察者と被観察者の性別を含むモデルが適切であることが示された。一方、顔への印象評定は性別情報を含まないモデルがより適切であることが示された。具体的には、外向性と協調性は性格特性のみ、向上心、神経質と好奇心は観察行動のみを含むモデルが高い説明力を持つことが示された。分析2では、選出されたモデルを用いて詳細な検証を行った。その結果、目、口、眉への観察行動は観察者の性格特性と性別情報に強く関係することが示された。印象評定項目では向上心、神経質と好奇心には口や眉の観察行動が影響していることが示された。
  • 発達性協調運動障害の成人を対象にした検討
    米田 英嗣, ヒル エリザベス
    セッションID: O4-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であるという神経発達障害であり(American Psychiatric Association, 2013)、自閉スペクトラム症との併発が多いことが知られている。本研究では、運動巧緻性と共感性が、時間産出の正確さを予測すると考え、発達性運動障害の成人21名、定型発達の成人21名を対象に実験を行った。時間産出課題の成績を目的変数とした重回帰分析を行った結果、運動巧緻性の低さと情動的共感の低さが時間産出の不正確さと関連することがわかった。また、自閉スペクトラム症得点を共変量とした共分散分析を行った結果、自閉症傾向が高いほど、時間産出が不正確であることがわかり、時間産出が不正確な原因は、発達性協調運動障害の特性自体よりも、併存する自閉スペクトラム症の特性が関連していることが明らかになった。
  • 今泉 修, 丹野 義彦
    セッションID: O4-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    行為の自己帰属感 (主体感) は,行為とそれが予測する感覚結果との一致から生じる。主体感の顕在指標として主観評定が用いられ,潜在指標として行為と結果の時間間隔が実際より短く推定されるIntentional bindingの量が用いられてきた。本研究は,行為と感覚結果の時間的一致性によって主体感を操作した際の顕在・潜在指標の関連を調べた。参加者は,キー押下後に数種の遅延をともなって呈示される音を聴き,自らが音を鳴らしたと感じた程度を評定し,キー押下と音の時間間隔を推定した。結果,遅延が増すと評定値とIntentional binding量はともに減った。音の遅延量を独立変数とした評定値とIntentional binding量それぞれの線形回帰の傾きは,正の相関を示した。これらの結果は,顕在・潜在的な主体感が行為と結果の時間的一致性に共通基盤をもつことを示唆する。
  • 有賀 敦紀
    セッションID: O4-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    商品選択肢が多くなるほど,消費者の購買率や満足度は低下することが報告されている。この現象は「選択のオーバーロード現象」と呼ばれ,過剰な選択肢が消費者の認知負荷を高め,その結果として購買行動を阻害することを示している。しかし,この現象の再現性については疑問視されているのが現状である。本研究は,参加者の認知負荷を実験的に操作して,この現象の再現を試みた。まず参加者は,空間的に配置された選択肢の中から好みの選択肢ベスト3を決めるという順位づけ課題を行った。その結果,選択肢の多寡は順位づけに対する満足度に影響を与えなかった(実験1)。しかし,選択肢を逐次的に呈示して参加者の認知負荷を高めたところ,選択肢が多い条件において順位づけに対する満足度は低下し,選択のオーバーロード現象が生じた(実験2)。以上の結果は,選択のオーバーロード現象が認知負荷の高い状況において再現可能であることを示している。
  • ―裁判の証言ための検証実験
    山 祐嗣, 秋田 真志, 川﨑 拓也
    セッションID: O4-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    3名の幼稚園教諭が園児を川べりに連れて行ったら射流洪水が起き、1名の園児が死亡した。焦点は、この被告らが射流洪水を予測できたかどうかである。本実験は人々がこの裁判事例で後知恵バイアスを受けるかどうかである。大学生が射流洪水の前に実際に撮られた写真を提示され、水の濁りを7件法で評定し、その後に射流洪水が起きる確率を推定した。結果条件の参加者は、実際に射流洪水が起きて犠牲者があったことが告げられた。結果条件の参加者は、統制条件の参加者よりも、水がより濁っていると評定し、確率も高く判断した。人々は、この知覚判断と確率判断で後知恵バイアスを受けやすいと結論づけられる。
  • - シートポジションと向社会的行動の関係 -
    谷郷 力丸, 永井 聖剛, 西崎 友規子
    セッションID: O4-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    運転行動は,歩行者や他車両とのインタラクションなど社会的な情報処理が必要であり,日常生活において他者に対する共感性が低いドライバは,運転時においても他者/他車両へ配慮する割合が低いことが明らかになっている(西崎ら,2012).本研究では身体化された認知(Embodied Cognition)の概念を用い,運転姿勢を変えることにより,信号のない横断歩道上の走行など社会的な配慮を要する運転場面において,運転行動に変化が見られるか否かドライビングシミュレータを用いた実験によって検討した.また,共感性の個人差が姿勢に及ぼす影響についても検討を加えた.その結果,社会的な行動を要する運転場面のうち,近くに歩行者や他車両が存在する運転場面において,拡張姿勢が収縮姿勢よりも速度が高くなるなど,他者への配慮が低下した運転となることが分かった.しかし,共感性の個人差による差異についてはさらなる検討が必要である.
  • 久保 克弘, 村田 義人, 山本 景子, 西崎 友規子
    セッションID: O4-07
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    全自動運転走行システムの現実的な到達点として,システムが指示した場合にのみドライバが手動に切り替えて運転するという準自動走行システムが想定できる.ドライバがシステムからの切替案内にスムーズに応じるか否かは,他者受容性や機械への信頼感等,複数の特性によって異なることが考えられる.

    そこで,普通免許を所持する大学生40人を対象にドライビングシミュレータを用いた実験を行った.自動運転開始と同時に,参加者は運転とは異なる課題(計算課題)に集中することが求められた.一定時間経過後に,音声によって切替案内が提示され,その反応時間と切替後の運転安全性の変化を分析した.

    その結果,他者受容性が高いドライバは受容性が低いドライバに比べて,切替後の運転安全性が有意に低くなった.切替案内に従順に従うことによって,ドライバ自身で安全走行を確認しにくくなった可能性が考えられる.
口頭5 《知覚・感性2》
  • 加藤 昂希, 杉森 絵里子
    セッションID: O5-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    Karremans,Claus,&Storoebe(2006)が行った実験によると,パソコン課題をしている被験者の画面に「LiptonIce」という文字を意識下では知覚できない程の短い時間繰り返し提示したところ,喉が渇いている被験者においてのみリプトンアイスティーを飲む人の割合が増えたという。この実験を受け,私は視覚的なサブリミナル効果だけでなく,聴覚的なサブリミナル効果でも同じ様に結果が出せるか否かを検証する事とした。具体的には,喉が渇いている被験者に,サブリミナル音声を忍ばせた音源を聞いてもらい,その後の選択行動に影響があるかどうかを検証した。結果として,サブリミナル効果は出なかったものの,音源をリラックスして聞いてもらった後に直感を頼りに選択してもらう場合において,サブリミナル効果が出やすくなる事が明らかになった。
  • -同一モダリティと異種モダリティの知覚課題の比較から-
    本山 宏希, 菱谷 晋介
    セッションID: O5-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    本山・菱谷(2015)は,視覚刺激を観察している間と比較して,視覚イメージを想起している間は,外界の視覚刺激の検出が低下することを示した。彼らは,視覚イメージの想起を促進させるため,同一モダリティの知覚刺激の検出を抑制する何らかの機序が作動したと考えた。刺激観察とイメージに要する認知資源に差がなければ,この解釈は妥当である。しかし,後者の方が前者よりも多くの認知資源を要するため,前述のような結果が得られた可能性もある。そこで,視覚観察と視覚イメージの間で,使用する認知資源量に違いがあるか否かを明らかにするため,両条件間で聴覚課題の成績に差異が生じるか否かを検討した。その結果,聴覚課題成績に違いは見られなかった。すなわち,本山・菱谷(2015)の結果は,条件間で要する認知資源量に違いがあったためではなく,視覚イメージ想起中に視知覚処理が抑制されたために生じたと考えられる。
  • 松田 憲, 内田 岳人, 興梠 盛剛, 楠見 孝
    セッションID: O5-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    Gillebaart et al.(2012)は,赤色ないし青色のスクリーンを呈示するというPower操作を行うことで親近性選好あるいは新奇性選好を促し,後続刺激への好意度を操作できることを示した。本研究では刺激自体の色を操作することよって単純接触効果に与える影響を検討した。先行研究に基づいて,赤色の刺激には親近性選好,青色の刺激には新奇性選好が生じると予測した。28名の参加者には,赤や青,グレーの刺激を複数回呈示し,刺激への評定を求めた。実験の結果,すべての刺激に親近性選好が生じた。青色の刺激に新奇性選好が生じなかった理由として,青色によって新奇性選好を促された結果、刺激そのもののへ親近性も下がってしまい,それが呈示刺激の少ない刺激への好意度の上昇に結び付かなかった可能性が考えられた。一方で,事前に接触していない新奇刺激への好意度は青色の刺激が他の2色の刺激と比較して高いことが分かった。
  • ? 視覚刺激が示唆する温かさと反応手の温かさとの適合性 ?
    金谷 英俊, 西崎 友規子, 永井 聖剛
    セッションID: O5-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    視覚的に示される温かさと,実験参加者の反応手に対する物理的な温度との間の関係性について,刺激反応適合性パラダイムを用いて検討した.実験1では,参加者は片方の手を温かい湯に,もう片方の手を冷たい水に浸したうえで,火や熱等の温かさを示す写真刺激(温刺激)もしくは雪や氷等の冷たさを示す写真刺激(冷刺激)のいずれかへの反応課題を行った.課題は,温刺激には温かい手で,冷刺激には冷たい手で反応する(適合条件),もしくは,温刺激には冷たい手で,冷刺激には温かい手で反応する(不適合条件)ことであった.その結果,温刺激と冷刺激の両方で,不適合条件と比べて適合条件にて反応時間が短くなった.続いて実験2で,心理的な温冷を示唆する喜びもしくは悲しみ表情の顔刺激に対しても同様の傾向が認められた.以上の結果は,視覚入力と運動出力システムとの間で,温冷に関する概念的レベルでの情報が共有されていることを示唆する.
  • ──視点・反応一致性効果のメカニズムの検討──
    武藤 拓之, 松下 戦具, 森川 和則
    セッションID: O5-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    空間的視点取得とは,自分とは異なる視点から見た物体の空間的位置関係を把握する認知過程である。武藤・松下・森川 (2015) は,円卓の風景刺激を用いた空間的視点取得課題の際に,取得する視点の位置と同じ側の足を前に出して反応すると,反対側の足で反応した時よりも反応時間が短くなること(視点・反応一致性効果)を発見した。この視点・反応一致性効果のメカニズムを明らかにするために,本研究は風景刺激の提示位置(左または右)を操作して同様の実験を行った。実験の結果,反応に使う足と同じ側に刺激が提示された時には視点・反応一致性効果は認められなかったが,反応に使う足の反対側に刺激が提示された時には視点・反応一致性効果が認められた。この結果は,視点・反応一致性効果が刺激反応適合性や感覚運動干渉では説明できないことを示しており,空間的視点取得の際に全身移動のシミュレーションが行われるという仮説を支持している。
  • 篠原 由美子, 西崎 友規子
    セッションID: O5-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,視覚認知特性の個人差を反映した運転支援システムの実現を目指し,視覚的な物体認識の判断スタイルにおける個人差を検討することを目的とした。これまで視覚刺激のサイズを判断する際,西洋人は対象物体に焦点をあてた絶対的な判断を行う傾向があり,東洋人は対象物体と周辺領域の双方の情報を用いた相対的な判断を行う傾向にあることがフレームラインテスト等によって示されている.しかし,絶対・相対判断傾向の個人差は文化にのみ依存するのではなく,同じ東洋人であっても絶対判断傾向を有する人も存在すると考えられる。そこで,運転免許を有する47人を対象に,絶対・相対判断傾向の個人差と模擬運転中の視線行動の関係を調べた.視線行動を分析した結果,絶対判断傾向群は進行方向を注視し,相対判断傾向群は進行方向以外の情報を観察することが示され,視覚認知特性に応じた運転支援システムの必要性が示唆された.
口頭6 《記憶,注意,発達・教育・学習》
  • 羽生 奈央, 小野 史典
    セッションID: O6-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    Dehaene et al.(1993)は呈示された数字の偶奇判断を左右のキー押しにより行う際,小さい数が呈示された場合右よりも左キーでの反応が速くなり,大きい数が呈示された場合その逆になる効果をSNARC効果と呼んだ。これは左から右へ文字を読んでいく読みの習慣が原因であるとされている。日本では左から右への横読みの習慣に加え縦読みの習慣が存在しておりこれは読字方向に物理的な制限がかかる”ふきだし”内の文で顕著であると考えられる。本研究ではふきだしの形状(横長・縦長)がSNARC効果に与える影響を検討した。実験の結果横長ふきだし時には通常のSNARC効果がみられたが縦長ふきだし時にはSNARC効果はみられなかった。この結果はふきだしの形状が誘発する読み方向によりSNARC効果が影響を受けることを示しSNARC効果の原因が読みの習慣であるとするDehaene et al.(1993)の見解を支持する。
  • 有効視野課題を用いた検討
    中島 亮一
    セッションID: O6-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    ある位置を注視していたとしても、頭部方向正面で見るか、横目で見るかによって、視覚処理が変容する。具体的には、頭部正面方向における視覚処理が促進される。本研究では、横目で注視点を見ている時の、視覚的注意の空間的な広がりについて検討した。実験では、注視点位置に呈示されるTの文字の向き判断と、周辺視野に呈示されるドットの検出を同時に行う、二重課題の有効視野課題を行った。また、注視点に対する頭部(と身体)方向を、正面・左右と操作した。注視点の左または右にドットが出てきた場合の検出率の差分を左バイアスという指標とし、頭部方向条件間で比較した。その結果、左バイアスは、頭部方向が左、正面、右の順に大きかった。同様に下バイアスも比較したが、頭部方向条件間に違いは見られなかった。よって、横目観察時には、水平方向において、有効視野が頭部正面側に偏って広がっていることが示唆される。
  • 小澤 郁美, 湯澤 正通
    セッションID: O6-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    言語的短期記憶や言語性ワーキングメモリに負荷をかける二重課題が,外部情報のソースモニタリングに及ぼす影響を検討した。43名の大学生・大学院生が実験に参加した。参加者を言語的短期記憶の二重課題を実施するSTM負荷群と,言語性ワーキングメモリの二重課題を実施するWM負荷群に二分した。ワーキングメモリ課題とソースモニタリング課題を実施し,ソースモニタリング課題では,異なる2人の発話者によって音声提示された単語刺激についてのソース判断を求めた。この際,音声提示時に二重課題を行う条件(記銘負荷)とソース判断時に二重課題を行う条件(想起負荷)と二重課題を行わない条件(統制)を設けた。ワーキングメモリ容量の個人差に関わらず,ソースモニタリング記銘時の言語的短期記憶に負荷をかけると課題の成績が低下することや,記銘時及び再認時の言語性ワーキングメモリに負荷をかけると成績が低下することが示された。
  • ――概念的示差性仮説の検証――
    吉本 晏都子, 山祐 嗣
    セッションID: O6-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    再認における画像優位性効果(以下PSE)の研究を行った。本研究の目的はPSEがコレクトリジェクション、つまり虚記憶生起の抑制に対して影響を与えるかどうかを検証すると共に、概念的示差性仮説の検証を行うことである。実験を行うにあたり「野菜」「動物」「虫」の3つのカテゴリから成る30項目のリストを作成した。項目は画像もしくは単語で一つずつ提示され、それぞれ参加者間群ごとに1つずつ提示された。さらに、実験参加者は刺激に対して命名もしくはカテゴライズし、声に出して読み記憶するように教示された。実験の結果、PSEと命名の効果がコレクトリジェクションにおいて認められた。コレクトリジェクションの成績は命名条件において高かった。よって、概念的示差性仮説は命名の効果を説明することができた。しかし、この結果がPSEを説明できるかどうかは不明確である。
  • 岩木 信喜, 田中 紗枝子
    セッションID: O6-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    問題に対する回答に与えられる正答フィードバック(FB)を遅延させると、回答直後に与える場合よりも正答の記憶が定着すると言われてきた(e.g., Kulhavy, 1977)。しかし、手続き上の問題が指摘され、正答FBを与えてから再テストまでの時間(lag-to-test, Metcalfe et al., 2009)を直後FB条件と遅延FB条件の間で統制すると効果が消失したという報告がある。これについては、そのように統制してもなお効果を認めた研究(Mullet et al., 2014)もあり、結果が一致していない。本研究では、漢字熟語の読み課題を使って追試し、効果の有無を検討した。その結果、lag-to-testを統制した場合、遅延FBの学習促進効果は認められなかった。
口頭7 《思考・言語》
  • 眞嶋 良全
    セッションID: O7-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    超常現象や疑似科学等の実証的根拠を欠いた事物の信奉 (empirically suspect beliefs; ESB) に関する先行研究では,ESB は分析的で熟慮的な内省的思考により抑制されること,分析的認知スタイルの持ち主はESBを持ちにくいことが指摘されてきた。しかしながら,日本人参加者を用いた先行研究では,直観的認知スタイルの方が信念をより良く説明すること,さらに分析的認知スタイルは,むしろESBを高めることが示されている。本研究では,日本および西洋文化圏の参加者を対象に,論理的推論やニュメラシー等の認知能力指標,直観および分析的認知スタイル,その他の人格・思考特性がESBをどの程度予測するかを検討した。その結果,認知能力および分析的スタイルではなく,直観的スタイルが信念とより強く関連していることが示された。また,ESBに対する媒介変数の影響は文化によって異なることが示された。
  • familiarityの類似性に基づく選択
    白砂 大, 本田 秀仁, 松香 敏彦, 植田 一博
    セッションID: O7-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    二者択一課題において,人間はしばしばrecognition heuristicやfamiliarity heuristic,fluency heuristicといった単純なヒューリスティックを用いて選択肢を選ぶことが,先行研究で示されている。本研究では,「問題文で提示された対象がfamiliar (unfamiliar)であると,よりfamiliar (unfamiliar)な選択肢が選ばれやすい」とする新たなヒューリスティック,「familiarity-matching」を提唱する。我々は行動実験を通じて,familiarity-matchingにおける推論プロセスを検証した。結果として,実験参加者が実際にfamiliarity-matchingを用いる傾向にあること,また彼らが特に難しい問題を解いているときにしばしばfamiliarity-matchingを用いていることが示された。
  • -「自信満々な方向音痴」の経路探索-
    杉本 匡史, 楠見 孝
    セッションID: O7-03
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    自己評定に基づく方向感覚は、これまで多くの研究が用いてきた指標であり、また実際の探索成績や訓練効率の予測にも成功してきた。しかし自己評定は、必ずしも実際の能力を正確に反映しているわけではなく、評定者の能力が低い場合には能力の過大評価が起こるという問題が知られている。そこで本研究では、方向感覚の自己評価と実際の能力の乖離に注目し、空間認知におけるメタ認知の影響を明らかにした。1000名の参加者を対象に、方向感覚の自己評定、経路記述のわかりやすさ評定、経路探索成績の3つの指標を測定し、これらの関連性を検討した。クラスター分析の結果、これまでの研究が想定してきた「方向音痴」と「方向感覚に優れた人」の2つに加え、方向感覚の自己評定は高いが実際の成績は低い「自信満々な方向音痴」の存在を明らかにした。このことは、一部の人の方向感覚のメタ認知と実際の能力に、乖離があることを示している。
  • 藤崎 樹, 本田 秀仁, 植田 一博
    セッションID: O7-04
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    近年、集合知を個人内で擬似的に生み出す手法が提案されている。ある問題に対し、同じ人物に複数回異なる推定を促し、値を平均化することで正確な推定を獲得するというのがその手法である。しかし、先行研究で提案された手法は、必ずしも簡便なものとは言いがたい。そこで本研究では、「視点の切り替え」に基づく簡便な手法を代替案として提唱する。二つの実験を通じて以下の三点が明らかになった。まず、本研究の手法は、先行研究の手法以上に正確な推定を生むものであった。次に、より重要な点として、先行研究の手法を与えた群に比べ、本研究の手法を実施した群では、参加者はより素早く推定を行ったことから、認知的に容易なものであることが示唆された。さらに、本研究の手法は、推定に対する自信がもたらす悪影響を軽減するものであることが分かった。以上から、本研究の手法は、効率的かつ効果的に個人内で集合知を生み出す手法であることが示された。
  • -時相の運動シミュレーション-
    粟津 俊二, 鈴木 明夫
    セッションID: O7-05
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    身体性認知科学では、言葉は、その言葉が意味する内容を実体験するときと同じ知覚運動表象を用いたシミュレーションが発生することによって理解される、と考える。本実験では、日本人英語学習者を対象に、英語文の理解時に時相がシミュレーションされているか検討した。PC画面に英語文を提示し、文が自然なものかどうかを判断してボタン押しで答えさせ、反応時間を測定した。実験デザインは、提示する文の時相(継続相または完了相)×文の身体性(手を使った行為を表す文、または身体動作を伴わない文)とした。分散分析では2要因の交互作用が有意だった。下位検定では、手行為文は進行相文の方が完了相文よりも反応時間が有意に短く、非行為文では有意差がなかった。この結果は、1)外国語文の理解時にも知覚運動表象を用いたシミュレーションが発生すること、2)行為の進行・完了という時相もシミュレーションされることを示唆している。
  • 本田 秀仁, 白砂 大, 松香 敏彦, 植田 一博
    セッションID: O7-06
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    グラス内の水量(500ml中250ml入っている)を表現する際(半分空/一杯)、水量の変化(例:0mlから250mlになる)が影響を与えることが知られている。本研究では水量の変化に基づいたフレーム選択が意図的に行われているのかを検討した。
    本研究では、500ml中250mlの水が入っているグラスを「半分一杯」、「半分空」、どちらのフレームがより自然かを選択させる課題と選択理由を記述させる課題を実施した。結果としてカバーストーリーで水量の変化を提示すると水量の変化を選択理由で述べる人が多く存在した(実験1)。一方、プライミング課題(グラス内の水量を回答)を実施後にフレーム選択を行うと、プライミング課題はフレーム選択に影響を与える一方で、選択理由にプラミング課題時の刺激について言及する人は皆無であった(実験2)。以上、フレーム選択は意図と同時に潜在的処理の影響を受けている可能性が示された。
ポスター1 《注意, 発達・教育・学習》
  • 八木 佑都, 入戸 野宏, 篠原 一光
    セッションID: P1-01
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    数字の大小と空間位置には対応があることが知られている。小さい数字は空間の左側や下側と,大きい数字は空間の右側や上側と対応することが多い。本研究は,画面上の変化(ターゲット)を検出する課題を用い,暗算中の空間的注意の分布について検討した。大学生20名に,画面中央に呈示される1桁同士の足し算または引き算を暗算で行うように求めた。計算の途中に,画面周辺の8つの場所に提示されたXがひとつだけNに変化した。変化に気づいたら即座にボタンを押し,最後に計算の答えを口頭で報告してもらった。実験の結果,足し算遂行時には,ターゲットが画面上部に提示されたときの方が,画面下部に提示されたときよりも検出時間が短かった。引き算ではそのような傾向はなかった。ターゲット位置の左右は,足し算,引き算ともに検出時間に影響しなかった。以上より,加算するという心的操作は上方向に空間的注意を誘導することが示唆された。
  • ――高齢者を対象として――
    加藤 公子, 吉崎 一人
    セッションID: P1-02
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/16
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は高齢者における視空間注意と注意の焦点化との関連性を検討した。65歳以上の21名の右手利き高齢者を対象に視覚手がかり法と注意機能検査(D-CAT)を行った。視覚手がかり法において,各試行では左あるいは右に視線を向けた顔線画が画面中央に呈示され,続いてターゲットが左右いずれかの視野に呈示された。参加者はターゲットが呈示された位置をボタン押しにより報告するよう要求された。D-CATでは指定された数字をできるだけ速く正確に斜線で消すことが要求された。視覚手がかり法で観察されるCue効果およびIOR効果と,D-CAT作業量との相関関係をみると,作業量が多いほどSOA700 msのCue効果は小さく,IOR効果は大きくなることが示された。本研究結果は,高齢者における視空間注意制御は注意の焦点化が基礎となっている可能性を示唆する。
feedback
Top