抄録
3名の幼稚園教諭が園児を川べりに連れて行ったら射流洪水が起き、1名の園児が死亡した。焦点は、この被告らが射流洪水を予測できたかどうかである。本実験は人々がこの裁判事例で後知恵バイアスを受けるかどうかである。大学生が射流洪水の前に実際に撮られた写真を提示され、水の濁りを7件法で評定し、その後に射流洪水が起きる確率を推定した。結果条件の参加者は、実際に射流洪水が起きて犠牲者があったことが告げられた。結果条件の参加者は、統制条件の参加者よりも、水がより濁っていると評定し、確率も高く判断した。人々は、この知覚判断と確率判断で後知恵バイアスを受けやすいと結論づけられる。