近年Stormら(2012)の研究は、抑制が自伝的記憶のポジティブ優位性効果を維持し促進することに重要な役割を分担する可能性があることを提起した。しかしながら、抑制に基づく検索誘導性忘却の生起状況と想起された自伝的記憶内容の感情価の間には関連性があるか否かが明らかにされない。一方、この先行研究では、参加者に指定された感情価の自伝的記憶を想起させ、この適度的な感情価の自伝的記憶の想起割合を分析した。そこで、本研究は検索誘導性忘却のパラダイムと自伝的記憶の自由想起課題を用いて、忘却状況が異なる個体の想起された自伝的記憶の出来事の感情価がどのように異なるのかを調査した。研究結果では、検索誘導性忘却が生起しやすい参加者はよりポジティブな自伝的記憶の内容を想起しやすいことと明らかにされた。