日本認知心理学会発表論文集
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口頭発表1:知覚・感性 (1)
  • 小野 史典
    セッションID: O1-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    我々は2つの物体の衝突を観察した際,物体の動きだけでなく,どの物体が他の物体を動かしたか等の因果関係も知覚する。本研究では,こうした因果関係の知覚が時間知覚に与える影響を調べた。実験では,2つの標的刺激を短い時間間隔で異なる位置に瞬間呈示することで,見かけの運動が知覚されるようにした。さらに,標的刺激呈示の直前(もしくは直後)に,標的刺激に衝突する(もしくは標的刺激が衝突する)ように知覚される手がかり刺激を呈示した。その際,手がかり刺激の移動距離を変化させることで,知覚される衝突の激しさを操作した。その結果,物理的には同じ時間間隔であるにもかかわらず,手がかり刺激の移動距離が長い方が,短い時よりも標的刺激の時間間隔を短く知覚していた。この結果は,知覚された衝突の激しさによって,見かけの運動の知覚された時間が影響を受けることを示している。

  • 武藤 拓之, 水原 啓太, 入戸野 宏
    セッションID: O1-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    複数の選択肢の中から1つを素早く自由に選択する課題において,自分がどれを選択したかについての意識体験が後付け的に決定されるという現象が知られている。このポストディクション現象は,視覚情報が無意識的に処理されてから意識に上るまでの時間差に起因すると考えられてきた。しかし,従来のモデルは現象の言語的な記述に留まっており,数理的妥当性の検証は不十分であった。そこで本研究は,先行研究の理論的考察を踏まえた仮定から,自由選択の認知過程を表現するシンプルな確率モデルを導出し,このモデルでポストディクション現象が説明できるか否かを検証した。水原・武藤・入戸野 (2019) の2つの実験課題から得られたデータにモデルを適用した結果,全てのデータをこのモデルでよく説明できることが確認された。また,無意識的な処理が意識に上るまでの時間差や選択に要する時間の分布といった有意味な情報を推定できることも示された。

  • 中山 友瑛, 片山 正純
    セッションID: O1-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    身体意識の成立には,意図した運動,運動指令の遠心性コピーから予測した運動,感覚情報のそれぞれの比較が重要である.この観点から,身体所有感の成立に必要となる最小限の身体の視覚情報を明らかにするために,仮想空間内に手の指先・関節位置に点を表示する光点提示および骨格提示に対する身体意識(運動主体感と身体所有感)を調査した.各提示条件において手指の運動課題を3セット繰り返し,セット毎に身体意識のアンケート調査を行った.この結果,運動主体感は両条件における全てのセットで高い評定値となった.一方,身体所有感を評定値の高いグループと低いグループに分けて評価した結果,高いグループにおいて骨格条件では全てのセットで高い評定値となった.しかし,光点条件ではセット毎に評定値が徐々に高くなり,第3セット後には骨格条件と同程度に高くなった.以上より,手の光点提示に対しても身体所有感が成立することを明らかにした.

  • 鈴木 健斗, 福井 隆雄
    セッションID: O1-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    本研究では、「物理的な刺激がないにも関わらず触覚を経験する」現象である擬似触覚(pseudo-haptics)に着目し、VR空間上でも生成可能か検討し、擬似触覚の主観的評価値と個人特性(この場合、自閉症スペクトラム指数)との関連についても調べた。実験では、ヘッドマウントディスプレイを装着し、右手を台の上に置き、VR空間内に提示されるモデルの手腕に自分の手腕を重ねる姿勢をとり、モデルの手腕が触れている白いチューブ上を左から右へと手腕に向かって流れてくる灰色の円筒がモデルの手腕に触れる瞬間に、当初の速度(5.7deg/秒)から0.1~0.9倍に減速する、あるいは速度変化がない条件を設定した。その結果、減速の割合が大きいほど、実験参加者は強い擬似触覚を経験した。さらに、自閉傾向が高いほど擬似触覚を経験する可能性が示唆された。

  • 中島 亮一
    セッションID: O1-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    オブジェクトを思い通りに操作していると、それの動く方向に注意がひきつけられる。Nakashima (in press)は、実験参加者に画面内の円刺激をキー押しにより一方向に動かすよう教示したが、実際には円が90%(高主体感)、50%(低主体感)の確率で操作方向へ動くブロックを設けた。また、ブロック中、円が動かず、画面内にTとLの文字が呈示され、Tの向き判断を行う視覚課題試行を混ぜた。実験の結果、高主体感条件でのみ、円を動かそうとした位置での視覚課題成績が高かった。本研究では、主体感が生じにくい場合、視覚処理の偏りが全くないのかを検討するため、この実験データをブロックの前・後半に分けて分析した。その結果、低主体感条件であっても、ブロック前半では高主体感条件と同様の視覚処理の偏りが見られた。つまり、思い通りに動かないオブジェクトの操作時には、最初は動かそうと意図した位置への注意の移動が起こるが、徐々にそれが消失していくと考えられる。

  • 竹島 康博
    セッションID: O1-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    1回の視覚刺激の提示に2回の聴覚刺激を付随させることで,視覚刺激の提示回数も2回に知覚される場合がある。このような現象は分裂錯覚と呼ばれ,視覚刺激のもつ特性によって生起頻度が変化することが報告されている。本研究では,視覚刺激のもつ感情価が分裂錯覚の生起過程に与える影響について,信号検出理論による弁別感度と判断基準を指標として検討を行った。実験1では表情刺激を用いて検討を行ったところ,分裂錯覚が生じる事態において感情価をもつ怒り顔および幸福顔は中性顔よりも判断基準にバイアスがかかることが示された。実験2では幾何学図形を用いて検討を行ったところ,感情価をもつ逆三角形および円形では中性刺激である三角形よりも弁別感度が低下し,分裂錯覚が生起しやすくなることが示された。2つの実験より,視覚刺激の感情価は刺激によって分裂錯覚の生起過程の異なる処理段階に影響を与えることが示唆された。

口頭発表2:社会的認知
  • 黒木 麻由美, 福井 隆雄
    セッションID: O2-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    本研究では、手画像の自他同定において顕在的な場合(提示画像が自己の手か、他者の手かを判断する課題)と潜在的な場合(提示画像が左手か右手か判断する課題)で違いが認められるか、また、各課題のパフォーマンスと自閉傾向(AQスコア)及びポジティブボディイメージ(BAS-2スコア)との関連を検討した。その結果、自他判断課題においてのみ、他人手画像への反応時間が自己手画像に比べて長い参加者ほど、AQの下位尺度である「注意の切り替え」スコアが高いことが示され、さらに、自己身体にポジティブな印象を持つ(BAS-2スコアが高い)参加者ほど課題の反応時間が早くなる傾向が認められた。

  • 中村 航洋, 渡邊 克巳
    セッションID: O2-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    顔の魅力は多様な顔特徴を手がかりとして知覚されるが,特に男性と女性の顔特徴の違い (性的二型性)が魅力印象に影響することが知られている。日本人を対象とした先行研究では,男性顔・女性顔ともに女性的な顔特徴を強調したフェミニンな顔が魅力的と評価されやすいことが報告されている。本研究では,データ駆動処理により顔魅力印象と性的二型性の相互関係を明らかにすることを目的とした。実験では,データ駆動処理により魅力印象を定量的に操作した顔画像,性的二型性を統制した上で魅力印象を操作した顔画像を生成し,それらの顔に対して魅力評価を求める課題を実施した。その結果,顔性別に関わらず,性的二型性が統制された顔画像に対しても魅力印象が大きく変化することが明らかになり,顔魅力印象は単に性的二型性によって規定されるのではなく,それ以外の顔特徴が魅力の手がかりとして大きく寄与している可能性が示唆された。

  • 方 文筱, 福井 隆雄
    セッションID: O2-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    本研究では、顔認知過程において親密性が及ぼす影響を日本人女性・中国人女性を対象に検討した。親しい友人ペア2人組で実験に参加してもらい、実験前に写真撮影を行った。実験では、参加者自身と親友の画像(親友条件)及び参加者自身と未知女性の画像(未知女性条件)を15段階の割合を設けてモーフィングした画像を用いて自他判断課題を行った。その結果、未知女性条件の場合は、親友条件に比べて自己が含まれる割合がより高くないと自己と回答しなかった。この結果から、自他の顔認知は相手との関係性に応じて調節されていることが示唆された。

  • 藤崎 樹, 本田 秀仁, 植田 一博
    セッションID: O2-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    情報技術の台頭により,私たちは他人の意見を手軽に参照できるようになった.先行研究 (藤崎・本田・植田, 2018)ではレイティングサイトを題材に,商品の購入対象(自分/他人)によって,この他人の意見の捉え方が変化することを明らかにした.実験は,商品選択の対象を教示した上で,2つの評価分布(平均値は近いが一方は高分散,もう一方は低分散)を呈示し,購入したい方を選択させるものである.この研究では,複数の問題をまとめて分析していた.そこで本研究では,この行動データを用いて,問題が評価分布の選択に与える影響について分析した.結果,問題の効果が観察されるケースがあった.具体的には,参加者は高分散の平均値に応じて選択傾向を変えた.これは,低分散に対し,高分散の方が問題間の分布の形の変化を視覚的に認識しやすかったためであると推測される.最後に,本研究が現実のレビューサイトにもたらす影響について議論する.

  • 菊地 史倫, 山内 香奈
    セッションID: O2-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    鉄道事業者には旅客から鉄道従事員の良い業務実践に対してお褒めの言葉を寄せられることがあり、該当者は表彰を受けることで業務に対する動機づけの向上などが期待されている。また、鉄道事業者は良い業務実践を他の従事員にも展開することで全体の業務水準を向上させたいと考えている。ただし、鉄道従事員は旅客からお褒めの言葉を寄せられた行動以外にも多くの業務を実践しており、その行動が業務全体の中でどのように位置づけらるかを考慮しないと、他の従事員に対する良い業務実践の展開がうまくいかないことがある。そこで、本研究では車掌の案内放送に対する旅客からのお褒めの言葉に着目し、旅客の顕在的なお褒めと、車掌が営業線で実際に行っている案内放送の特徴を検討した。その結果、鉄道旅客からお褒めの言葉を多く得る車掌の案内放送は聞き取りやすく、通常の案内放送よりも丁寧であり、実施するタイミングが適切であることが示唆された。

口頭発表3:思考・言語
  • 眞嶋 良全, 中村 紘子
    セッションID: O3-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    認知的内省性検査 (CRT) によって測定される内省的思考は,直観-分析的思考の成績を予測することが知られている。しかし,近年の研究 (Gervais ら, 2018) によると,その一例である宗教的(非)信念との関係性は,宗教心の強い文化圏では見られるが弱い文化圏では見られないこと,内省的思考が文化によって規定される規範への懐疑性と関連する可能性が指摘されている。本研究では,規範が文化によって異なると想定される課題と,規範が文化を越えて共有されている課題への回答と CRT との関連を検討した。ベイズ階層モデル分析の結果,全般的に CRT と直観反応の間には負の関連があり,また文化普遍的な規範が想定される三段論法課題では関連性についての文化差がないことが示された。一方で,同様に規範の普遍性を仮定した分母無視バイアスでは CRTの効果に文化差が見られ,規範の文化固有性が想定された超常信奉では CRT の効果に差が無いなど,予測に反する結果も得られた。

  • Jinwon Kang, Jeahong Kim, Kichun Nam
    セッションID: O3-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    The purpose of this study was to investigate the time-course of morphological processing using event-related potentials(ERPs) in Sino- Korean prefix derivational word. We conducted a lexical priming decision task comparing time-course of a morphological, a semantic, and an orthographic condition. The behavioral data showed significant positivity priming effect in a morphological and semantic priming condition. The ERP data revealed only significant morphological and semantic priming at N250(200-300ms). Also, a reduction of the N400(300-500ms) in the semantic condition. Also, increase of negativity amplitude of semantic priming in P600(550-750ms) observed. This result shows that the morpheme is mainly influenced by the semantic factor but not the orthographic factor from the onset to offset of the recognition of Sino-Korean prefix derivational word.

  • 顧 元琪, 本田 秀仁, 植田 一博
    セッションID: O3-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    言語確率(言葉を用いた確率表現)の「方向性」は、確率の主観的な数値解釈とは関係なしに意思決定に影響することが明らかにされてきた。一方で、言語確率は、人の認知や意思決定に大きな影響を及ぼす感情、特に直感的なものに訴える可能性がある。しかし、言語確率と感情の関係に関する知見は少なく、言語確率が意思決定に与える影響のメカニズムを感情の面から検討した研究はほとんどない。そこで本研究は、言語確率と感情の関係を明らかにすることを目指し、Implicit Associated Test(IAT)を用いて潜在レベルにおける言語確率(ポジティブ語、ネガティブ語)と感情価(良い、悪い)の連合の強さを調べた。その結果、ポジティブ語の方がネガティブ語よりも良い感情価との結びつきが強いことがわかった。これより、言語確率の方向性による影響は感情価を介している可能性が考えられる。

  • 本田 秀仁, 藤崎 樹, 松香 敏彦, 植田 一博
    セッションID: O3-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    私たちは記憶の主観的な経験に基づく単純なヒューリスティック(e.g., recognition heuristic, familiarity heuristic, fluency heuristic)によってかなり正確な推論ができることを先行研究は示している.本研究では,単純なヒューリスティックの適応的な性質について,集団意思決定の文脈で検証を行なった.具体的には,「集団メンバーの記憶が多様であれば,集団意思決定はより正確になる」という仮説を,行動実験とそのデータを用いた計算機シミュレーションを実施して,理論的な視点から検証を行なった.行動実験と計算機シミュレーションの結果はこの予測を支持するものであった.このことから,集団のグループメンバーが持つ記憶の多様性は,集団意思決定の正確性に影響を与え,パフォーマンスの向上につながる可能性が示された.

  • Hiroshi Yama
    セッションID: O3-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    Yama et al. (2017) reported hindsight bias in perceptions of the muddiness and the predictability of a flash flood in a river, as part of the author’s expert testimony in a court trial. The defendants had taken children to the river to play when a flash flood occurred that led to the drowning of one child. The core question was if the defendants could have predicted the flood using a visible cue: the muddiness of the river. Participants who knew the outcome of flash flood estimated the river muddier. The instruction on causality between the muddiness and the flush flood was manipulated in this current study. Participants were grouped into two conditions: the control condition and the outcome condition. The hindsight bias was confirmed and participants judged the river as muddier when the causality was instructed. These data give practical indications for legal judgments in a court.

  • 原田 悦子, 王 紫嫣
    セッションID: O3-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    人の生活の中で,カテゴリーは認知的糊の役割を担い,新奇事態への対応を正しくかつ効率的に実施する大きな支援となる.しかしカテゴリーの獲得においては加齢による成績低下が観察され,その原因や補償方法は明らかではない.本実験ではRabi(2016)のカテゴリー学習前の刺激言語化するカテゴリー学習促進を検討し,併せて判断過程を検討するためのマウス軌跡分析を行った.大学生と健康な高齢者にShepard, Hovland, & Jenkins’ (1961)の1,2,4型のカテゴリー学習を行った処,1)特に2型の学習において高齢者の学習が困難であること,2)言語化は両年齢群において負の効果を示し,大学生では2型の学習を特異的に抑制すること,3)マウス軌跡分析から2型においてもっとも抑制的な過程が発生すること,を示した.カテゴリー学習における2型の特異性,ならびにそこでの加齢現象について考察する

口頭発表4:記憶
  • 高城 雅裕, 杉森 絵里子
    セッションID: O4-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    自分の実行したことと実行していないことの区別をする認知過程を,アウトプットモニタリングという(Koriat & Ben-Zur, 1988)。本研究では,意図の抑制とアウトプットモニタリングの関連を検討した。実験1では,単語記憶課題を実施し,単語再生中に課題を「中断」もしくは「完了」した。その後アウトプットモニタリングを行った。その結果,時間が経過すると反復エラー数が減少し,メモなし学習条件では脱落エラー数が多くなった。実験2では,「中断」と「完了」を被験者内要因とし再検討した。その結果,「完了」することで反復エラー数が多くなり,意図の抑制がアウトプットモニタリングに影響を与えることが示唆された。一方,「中断」・メモなし学習・1週間後テストの条件下において,脱落エラー数が最も多くなり,「記憶痕跡が強い」というメタ記憶がエラーの原因であることが示唆された。個人特性との関連も併せて検討した。

  • 楠見 孝
    セッションID: O4-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    日常生活におけるデジャビュ(既視感)とジャメビュ(未視感)経験の出現頻度に及ぼす、過去の類似事象の想起、類似性への敏感性の影響を明らかにするために、全国の16-88歳の1001人の市民を対象としたインターネット調査をおこなった。その結果、デジャビュはジャメビュよりも経験頻度が高く、その頻度は過去の類似事象の想起、類似性への敏感性の影響を受けていた。また、両経験とも類似性への敏感さとの相関は高い。一方、いずれも神経症傾向を含むビックVの性格特性との相関はなかった。

  • 橋本 淳也, 小林 亮太, 柏原 志保, 平本 亮介, 原口 優輔, 石田 紀香, 岡崎 彩香, 岸本 和美, 中野 歩菜見, 堀之内 滉, ...
    セッションID: O4-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    ポジティブな自伝的記憶を自ら意図的に想起することは不快な気分の改善をもたらすが,抑うつ者においては気分の改善が生じず,むしろ気分の悪化にすらつながることが知られている。記憶の想起には,意図的な想起だけでなく,思い出そうという意図なく記憶の想起が生じる無意図的想起と呼ばれる想起形態もある。この無意図的想起に関しては,ポジティブ画像を無意図的に想起した場合には抑うつ者は気分の改善が生じることが示唆されている。しかし,ポジティブな自伝的記憶の無意図的想起が抑うつ者の気分改善につながるかは明らかとなっていない。そこで本研究では,抑うつ傾向者において,ポジティブな自伝的記憶を意図的または無意図的に想起した場合に,気分改善への影響が異なることを実験的に明らかにすることを目的とした。実験の結果,抑うつ傾向者は無意図的想起によってのみ気分の改善につながることが明らかとなった。

  • 上田 祥行, 黃 從仁, 申 子欣, 坂田 千文, 葉 素玲, 齊藤 智
    セッションID: O4-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    同じ情報に繰り返し接することによって、そこにある規則性が獲得され、効率的な情報処理が可能となる。こうした学習は、言語の直後系列再生課題においてはHebb反復効果によって確認されており、そこでは、どのような項目がともに出現するかという規則性と、どの位置にどのアイテムが出現するかという規則性の少なくとも2つが同時に学習されていることが知られている。Hebb反復効果自体は、視覚領域と聴覚・言語領域の両方で見られるが、そこに領域一般的な1つのメカニズムが存在しているのか、あるいは似たアルゴリズムを持つ複数のメカニズムが共存しているのかについては明らかではない。本研究の結果、視覚領域と聴覚・言語領域では2つの規則性に異なる重み付けをしていること、また、反復学習効果が生じるためには、項目は継時処理されなければならないことが示された。これらは規則性の学習メカニズムにおける重要な要素であることが示唆される。

  • 林 美都子
    セッションID: O4-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    近年、艦隊や刀、細胞などさまざまなモノが擬人化され人気を博しているが、記銘語を擬人化することにより、記憶は改善されるのであろうか。大学生30名を対象に、漢字2文字の36単語を用いて実験を行った。記銘語の読み方を説明する「読み方説明文」条件、記銘語を本来の意味で用いて短い物語を作成する「物語作文」条件、記銘語を擬人化して短い物語を作成する「擬人化作文」条件を設け、それぞれに12単語ずつ割り振った。練習試行の後、1単語20秒で作文を求め、ディストラクター課題を実施した後、約5分間の自由再生テストを実施した。その結果、擬人化作文の再生数が最も多く、次いで物語作文であり、読み方説明文条件は最も少なかった(F(2,58)=45.41, p<.05; Mse=2.55, p<.05)。記憶の精緻化方略の一種として記銘語を用いて物語を作成する物語法により記憶成績が改善することはよく知られているが、本研究の結果、擬人化方略はこの物語法を上回る効果をもたらすことが示された。

口頭発表5:感情・動機づけ
  • 前川 亮, 片渕 一徳, 乾 敏郎
    セッションID: O5-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    意思決定課題の1つとして知られるアイオワ・ギャンブル課題において,内受容感覚の個人差が課題成績に影響を与えることが報告されている。本研究では,改変したアイオワ・ギャンブル課題を用いて内受容感覚と意思決定の関係を調べた。通常のアイオワ・ギャンブル課題では,参加者は4つの山の期待値を学習し,最も期待利益の大きい山を選択することで獲得金額が最大化される。本研究では,課題途中で山の内容を切り替えることで,参加者が山の変化に気づいて再学習を行うことができるかどうかを調べた。結果,山の切り替え直後の成績と内受容精度の間に正の相関がみられ,また,山の切り替えに気づくまでの試行数と内受容精度の間にも正の相関がみられた。これらの結果は,内受容感覚が直観的な意思決定を補佐していることを示唆する。

  • 今井 俊輔, 中山 真孝, 前浦 菜央, 内田 由紀子, 大野 優美子, 有本 聡, 是永 継博
    セッションID: O5-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    科学技術の進展により、人間の認知システムが対象とする環境世界が変わりつつある。その一つの変化として、高精細ディスプレイ技術により直接体験していない物事を超高解像度で視ることが可能となった。画像解像度の向上は認知にどのような影響を与えるのだろうか?本研究では、視覚的解像度の向上で感情の解像度も向上し、混合感情が生じにくくなるという仮説を検討した。2つの実験で呈示動画の解像度を操作し、動画中の感情について複数の正負感情項目への評定を求めた。正感情項目と負感情項目の個人内相関を混合感情の指標とした。結果として、高解像度条件では、正負感情の相関がより負の方向に変化し、視覚的解像度向上で混合感情が経験されにくくなることが示された。本研究が例証したように、認知心理学の理論と方法論は、科学技術で環境世界が変化するとき、どのように認知が変わりうるのか、明らかにするのに有用であろう。

  • 松田 憲, 橋口 綾乃, 藤野 実由, 楠見 孝
    セッションID: O5-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    単純接触効果における倦怠効果とは,刺激への過度の接触によって飽きが生じ,好意度が低下する現象をさす。我々の先行研究では,刺激呈示ごとに背景を変化させることによる新奇性付加によって,刺激への反復接触による飽きの生起が抑制されることが示されている。そこで本研究では,呈示する刺激そのものの一部分を変化させて新奇性を付加することで,単純接触効果が向上するのかを検討した。具体的には,女性アバター顔の化粧を変化させることで,新奇性の操作を行った。実験の結果,女性参加者の場合のみで,元々好意度の高いアバターの化粧を変化させることにより単純接触効果が生起した。一方で,男性参加者にはそのような効果は見られなかった。女性は普段から身近である化粧の変化に対して敏感に反応し,好感度評定値を上昇させたと考えられる。

  • 北神 慎司, 村山 航, 坂口 結香, 武野 全恵, 井関 紗代
    セッションID: O5-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    メタ動機づけに関する先行研究において,金銭的報酬などの外発的動機づけを伴わない課題を行った後の内発的動機づけの自己評価に比べて,課題を行う前の予測的な自己評価が一貫して低いことがさまざまな実験によって示されている。すなわち,内発的動機づけは過小評価される傾向があることが明らかとなっており,これはメタ認知が概して不正確である知見と一致するものである。本研究では,課題前の内発的動機づけの予測的な自己評価を行う前に,「内発的動機づけが過小評価されやすい」ことを事前警告として教示することによって,過小評価が修正されうるかどうかを検討することを目的として実験を行った。その結果,事前警告の効果は現れず,課題に対する自己評価だけでなく課題成績においても内発的動機づけは過小評価されることが示された。つまり,先行研究の知見とあわせると,このような現象は極めて頑健であると考えられる。

  • 井関 紗代, 北神 慎司
    セッションID: O5-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    私たちは,周囲の環境と相互作用しながら,コントロールしたいという欲求を持っており,その欲求を満たそうと生得的に動機づけられている。そして,このコントロール欲求の強さには個人差がある。本研究では,「コントロール欲求がもともと高い人は,カスタマイズ商品に対して支払意思額が高くなるのか」という点について検討することを目的とした。結果として,コントロール欲求の高い人は,低い人に比べ,カスタマイズ商品に対して,支払意思額が高くなることが明らかになった。このように,コントロール欲求の個人差により,カスタマイズ商品への支払意思額が異なることを明らかにした本研究は,カスタマイズ商品市場のセグメンテーションにおいて,十分な示唆を与えると考えられる。すなわち,マーケターに対し,カスタマイズ商品は,コントロール欲求の高い人に訴求することが効果的である,という提案をすることが可能となるだろう。

  • Shirong Sun, Takashi Kusumi
    セッションID: O5-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    There is one emotion called “pleasure-in-others’-misfortune”, which is known as schadenfreude. Previous studies showed connections between schadenfreude and negative emotions, and especially they focused on the schadenfreude that was triggered by their enemies, but little was mentioned about the schadenfreude that was triggered by their friends. The purpose of this study is to explore the factors those would trigger schadenfreude both in friendship and hostile relationship. Four scenarios were prepared for two hundred and two participants (118 females, 84 males) asking about their feeling of schadenfreude and sympathy towards a close friend, an acquaintance, and an enemy. The importance of the scenarios and their personality as self-esteem, narcissism, and inferiority complex were also being questioned. Results showed that males tended to feel more schadenfreude than females especially with friends, and the importance of the misfortune was negatively correlated with people’s schadenfreude in friendship.

口頭発表6:知覚・感性 (2)
  • 作田 由衣子
    セッションID: O6-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    人は顔を見ると自動的かつ瞬時に「いい人そう」「知的」など、様々な印象を知覚する。社会の中で生きる上で、目の前の人物が自分にとって敵か味方かを即座に検出する能力は重要であり、現在盛んに研究が行われているが、こうした印象知覚の発達についてはあまり研究が進んでいない。本研究では、印象知覚の普遍性及び文化差について発達的観点から検証するため、日本人幼児と成人を対象とし、CGの顔画像に対する印象判断についてアメリカ人のデータとの比較を行った。その結果、幼児では、信頼感と支配性は年齢が上がるにつれて判断が安定しアメリカ人の判断に近づくが、成人では支配性はアメリカ人の判断と一致するが信頼感は一致しないという結果であった。このように、顔からの印象判断には文化や年齢を問わず普遍的である部分もあるが、印象の種類によっては文化差がみられることが示唆された。

  • 多田 美香里
    セッションID: O6-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    手が届く範囲の近い空間と手が届かない範囲の狭い空間とでは異なる認識がなされると考えられる。本研究では、観察距離を変化させた場合、手の大きさの見積もりがどのように変化するかを検討した。実験では、観察距離を手の届く距離、手を伸ばすと届く距離、手を伸ばしても届かない距離と変化させ、変化のたびに、自分の手を狭い隙間に通すことが可能かどうかを判断させた。その結果、観察距離が遠い場合には、通過可能な空間は過大視されることが示された。

  • 尾田 政臣, 佐藤 敬子
    セッションID: O6-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
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    音楽のテンポの選好に関するこれまでの検討では、曲の既知性との関係、心拍数との関係、テンポそのものの速さの影響などが調べられている。しかし、曲の内容との関係についての検討は少ない。本報告では、楽譜上のテンポの指定が異なる3種の曲に対して、各々オリジナルテンポに対して85,90,95,100,105,110,115%に変化させた刺激曲を用意し、楽曲に対するテンポの良さを評定させた。その結果、遅い曲(Lento ma non troppo)に対しては、テンポの増減の影響はなく、中程度の曲(Allegretto)に対しては5%程度の増加が最大値となり、速い曲(presto)に対してはオリジナル曲の速度以上が好まれ、それ以下は評価が低いステップ上の評価結果になった。これ等の結果から、曲の内容によってテンポの良さの評価に及ぼす影響が異なることが明らかになった。

  • Kazuma Shimokawa, Eriko Sugimori
    セッションID: O6-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    Previous studies have suggested that experiences in VR can replace the experiences in real life. However, it is possible that the experience in real may affect the "presence" of experience in VR. Previous studies have shown that time evaluation does not differ between VR and reality. The purpose of this study was to examine whether there was a difference in the time evaluation when experiencing bungee jump in VR depending on whether bungee jump was experienced.

    Participants were asked to put on a Head-Mounted Display to enjoy the bungee jump in VR and to measure the time until they rebound in bungee jump in VR.

    As a result, it has been found that those who have ever experienced bungee jump evaluate time longer in bungee jump in VR than those who have not. We further discuss the result from the viewpoint of time estimation.

  • 宮崎 由樹, 神山 龍一, 三宅 大輔, 河原 純一郎
    セッションID: O6-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,ウェットティッシュの取り出しやすさか゛,当該製品の印象に及ぼす影響を調べることであった。実験の参加者は,ウェットティッシュの取り出し性の高い製品と低い製品による清掃課題を行った。清掃後,各製品の取り出しやすさ,拭き取りやすさ,使用の楽しさ等について評価した。実験の結果,取り出し性の低い製品に比へ゛,高い製品の方か゛,取り出し性か゛高く評価されるた゛けて゛はなく, 使用の楽しさも高く評価されることか゛示された。なお,興味深いことに,中身のシート素材は両製品で同一であったにも関わらず,取り出し性の低い製品に比へ゛,取り出し性の高い製品の方か゛,取り出しやすいと感し゛た参加者ほと゛,取り出し性の高い製品の拭き取りやすさを高く評価することも分かった。これらの結果は,ウェットティッシュの取り出し性の上昇という触運動的な知覚的流暢性の高まりを,製品評価に帰属させたことに由来すると考えられる。

  • Ahn joohee, Nam kichun
    セッションID: O6-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    文字の視覚的認知過程を調べるため東アジア(日本、韓国、中国)で使われている文字(漢字、仮名、ハングル)を用いて、左右視覚場のどちらかに提示された時の反応を比較する実験を行った。そしてそれぞれの視覚場で単語提示角度を0.5度〜1.5度ずらして提示して単語を判断する時の差があるかどうか検討した。タスクは画面に提示される単語か存在する単語か、存在しない非単語かをなるべく早く判断するタスクであった。被験者は日本人、韓国人、中国人でそれぞれの母語でのタスクを実行した。その結果、全てのグルップで右視覚場での判断が早くて正確であることと、各視覚場内で角度をずらした条件では有意味な差はなっかったこと、そいて日本語ひらがなの判断が漢字とハングルに比べて遅いことが判明された。これらの結果を通じて、東アジアの文字判断も右視覚場での判断がするれている英語の研究と同じであうることと、漢字と仮名を混用する日本人にはひらがなだけで書いてある単語を判断するためには時間がかかることがわっかった。今後、もっと現実の文字生活に近い実験材料を使って実験する必要があると思われた。

口頭発表7:注意
  • 下村 智斉, 横山 寛, 箆伊 智充
    セッションID: O7-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,カフェインとGABAを蒸気化して吸引することによる認知機能の影響を検証した。実験では,主成分がそれら2種類である実験条件に加えて,主成分を水とするプラセボ統制条件を設定した。24名の被験者はいずれかの条件に二重盲検法の手続きに従って参加した。成分は液体を加熱し蒸気化させて口腔鼻腔より吸引された。一つのセッションは3つの課題と気分尺度(POMS2)から構成され,カード整列課題,文章の誤字検出課題,時間的注意課題でそれぞれ,4分,3分,6.5分(45試行),POMS2で2.5分の16分とした。吸引前にベースラインのセッションを実施した後,吸引後に2回のセッションを実施した。その結果,カード整列課題,誤字検出課題,POMS2に条件間での違いは認められなかったが,その一方で時間的注意課題においては,カフェインとGABAで異なる時間的注意課題の成績の向上が認められた。

  • 小林 穂波, 小川 洋和
    セッションID: O7-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    視覚的注意が低次の要因だけではなく、高次の要因によっても影響を受けることはよく知られている。近年、社会的な役割や関係性についての考え方の変化が視覚的注意の空間特性に影響を及ぼす可能性が徐々に明らかにされてきた。本研究の目的は、他者との関係性に基づく自己観の変化が、視覚的注意の焦点の範囲を変化させるかを明らかにすることであった。自己観を操作する課題の前後にフランカー課題を実施し、課題非関連刺激からの認知的干渉の変化を測定した。さらに課題標的と課題非関連刺激との空間的距離を操作して、自己観の操作によって視覚的注意の焦点の大きさがどのように変化するかを検討した。その結果、相互協調的自己観を活性化された参加者は、相互独立的自己観を活性化された参加者に比べて標的に近接する課題非関連刺激からの認知的干渉が大きくなった。この結果は、自己観の変化によって視覚的注意の焦点の大きさが調節されることを示唆している。

  • 有賀 敦紀, 齋藤 詩織
    セッションID: O7-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    ピッチの高い音に対して空間的に高い位置にあるキーで反応すると,低いキーで反応する時よりも反応が速い。この現象はSpatial-Musical Association of Response Codes (SMARC)効果と呼ばれ,音の表象は空間的であることを示していると考えられてきた。しかし,人間はピッチの高い音に対して空間的に高い位置にその音源を自動的に定位する傾向(音源定位の錯覚)があるため,SMARC効果が(a)音源定位の錯覚と反応の対応によって生じているのか,あるいは(b)音の空間的表象と反応の対応によって生じているのか,を切り分けることができなかった。そこで本研究は,聴覚刺激の代わりに音の高さを表す単語(ド,レ,ミなど)を視覚的に呈示して,SMARC効果が生じるのかを調べた。実験の結果,聴覚入力がなくてもSMARC効果は生じることがわかった。この結果は,SMARC効果が音源定位の錯覚ではなく,音の空間的表象に基づいていることを示している。つまり,音は空間的に符号化されていると考えられる。

  • 石松 一真, 根師 由佳里
    セッションID: O7-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    2年目看護師37名を対象に、注意範囲のメタ認知(メタ注意)とメタ注意に関する記憶の正確さを検討した。参加者は、医療4場面、交通2場面について自分が同時に注意を配ることができると思う範囲(メタ注意領域)を、「現在自分がその場にいた場合」、「新人の頃の自分を想像して」、「看護師として3年の経験をつんだ自分を想像して」の3条件で描出した。結果、医療場面では、新人の頃、現在、3年の経験を積んだと仮定した条件の順に、メタ注意領域が広くなった(ps < .05)。また参加者が新人の頃を想像して描出したメタ注意領域と入職時に描出したメタ注意領域との間に有意差はみられなかった。一方、交通場面では、入職時に比べ、新人の頃を想像して描出したメタ注意領域が広かった。以上より、参加者は、患者を含む医療場面については新人の頃に描出したメタ注意領域を1年後もある程度正確に再現できることが明らかとなった。

  • 堀井 まりこ, 箱田 裕司
    セッションID: O7-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    Bolte , Goschke, & Kuhil (2003)は気分(ポジティブ・ネガティブ)の喚起がSemantic Coherence Task(以下、SCT)の判断に影響を及ぼしたことを明らかにした。気分の喚起が認知的処理モードを変化させ、その結果SCTの判断が変わったと述べている。気分の喚起が認知的処理モードを変化しうることはGasper & Colre(2002)が、Level-of-Focus仮説で明らかにしている。そこで、本研究は気分の喚起ではなく、直接、認知的処理モードの操作によってSCTの判断が変化しうるのではないかと考え検討することにした。本研究の認知的処理モードの操作は、Navon課題を用いたグローバル処理・ローカル処理を用いて行った。実験の結果、グローバル処理促進群はローカル処理促進群よりSCTの判断成績が有意に高かったことが示された。グローバル・ローカルの認知的処理が顔再認のような知覚的処理に影響を及ぼす(Macrae & Lewis, 2002)ことは明らかになっているが、本研究においてSCTのような文脈を発見する課題にも影響を及ぼすことが明らかになった。

口頭発表8:応用認知
  • 山岸 未沙子, 青木 宏文
    セッションID: O8-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    自己の運転習慣に関する知識は自己報告によって調査されてきたが,実際の運転記録とは必ずしも一致しない.活動量や運転習慣に関する研究は,活動や運転の頻度,性格が過大評価に繋がることを示したが,運転についての態度を扱った研究は少ない.本研究の50–83歳のドライバ66名の運転距離と頻度 (日/週) における自己報告と実運転の一致度は距離0.07,日数0.03であった.この一致・不一致に関わる要因を検討するために,頻度や態度を説明変数として二項ロジスティック解析を行った結果,性別と運転スタイル (運転スキルへの自信有無,運転に対する消極性,ステイタスシンボルとしての車) のオッズ比が上位であった.自己報告の過小視,過大視に因子ごとの特徴的な傾向は示されなかったため,実運転との矛盾の方向性には,ここで扱った変数とは異なる内的過程が関与する,または運転への態度によるモニタリングの経験が関与する可能性が考えられる.

  • 景山 望
    セッションID: O8-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    前庭機能の疾患によって生じる心的空間操作能力の低下は,近年前庭機能が低下する高気圧環境では生じないことが報告されている.しかし,ターゲット以外の手がかり(例.ディスプレイの外枠)がある場合,心的空間操作能力は姿勢や環境(例.無重力空間)によって変化しないことから,先行研究では外部手がかり等によって高気圧曝露の影響が減衰した可能性がある.よって,本実験では高気圧曝露が心的空間操作に及ぼす影響について,平面ディスプレイによるMental body rotation tasks (MBRT) の成績と重心動揺検査の前庭機能評価に用いるロンベルグ率によって検討した.各課題を大気圧(1気圧)と21気圧で実施した結果,ロンベルグ率は高気圧曝露によって増加したものの,MBRTは大気圧と変わらなかった.これは,ディスプレイ等の外部手がかりによって,高気圧曝露による心的空間操作への影響が減衰したことを示唆する.

  • 中山 真孝, 畑中 千紘, 河合 俊雄, 杉原 保史, 宮田 智基, 吉川 左紀子, 田中 康裕, 梅村 高太郎, 粉川 尚枝, 文山 知紗
    セッションID: O8-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    近年のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の普及によりSNSによる心理相談の可能性と必要性が高まっている。一方で、文字情報にのみ依って相談を行うという難しさもあり、必要とされる技能の理解・訓練が課題となっている。本研究ではSNS心理相談の記録を用いて、相談事例の臨床心理学的評価と担当カウンセラーの言語認知スキルの関係を分析した。まず、1083事例について言語理解のモデルとしても用いられるトピックモデルを用いて各事例のトピックを推定した。さらにそれらからlasso回帰により担当カウンセラーが事例ごとに記録した相談内容カテゴリを予測した。結果として、臨床的評価が低い事例ほどモデル予測と実際の記録のズレが大きく、低評価事例のカウンセラーは担当事例の相談内容を適切に捉えられていないことが示唆された。本研究が例証するように、心理相談といった専門技能の分析評価に認知心理学の理論や方法論は貢献しうる。

  • 西崎 友規子, 久保 克弘
    セッションID: O8-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    完全自律走行の自動運転車が普及する前段階として,当面の間,ドライバと自動運転システムとの協同作業によって走行する車が主流になると考えられる。その際,自動運転システムからドライバへの主導権交代(テイクオーバー)の方法が重要な課題となる。久保・西崎(2018)では,他者受容性の個人差が,テイクオーバー時の反応時間やステアリングの安定性に影響を及ぼすことを示した。特に音声呈示によってテイクオーバーの指示を行う条件では,他者受容性の高いドライバは低いドライバに比べ,反応時間が長くなり,車線変更時にステアリングのふらつきが大きくなることが示された。そこで本研究では,他者受容性の個人差とテイクオーバーの指示を与えるタイミングとの関係を検討し,ドライバに応じて最適なテイクオーバーの方法を明らかにすることを目指した。

  • Sung Jun Joo
    セッションID: O8-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    Skilled reading requires years of practice with learning to associate visual symbols with speech sounds. Over the course of the learning process, this association becomes automatic. We hypothesize that automatic activation of the reading circuit in response to visually presented words is a hallmark of successfully learning to read. We used magnetoencephalography to measure cortical responses to printed words while children engaged in an attention-demanding task for which the words were irrelevant. We found strong activation in the language processing regions, the superior temporal gyrus, irrespective of whether children were actively reading the words. This automatic response in this region was indicative of good reading skill: visual stimulus-driven STG responses were only present in fluent readers but not in children with dyslexia, confirming our hypothesis.

  • Yoko Okita
    セッションID: O8-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    For successful reading, differentiating very minor graphic features of a Kanji character is crucial. It is an obstacle for L2 learners from non-Chinese character areas to learn complex and similar Kanji orthography. On the other hand, context effects are well known in sentence recognition. This study examined context effects on recognition of an erroneous Kanji character. An erroneous Kanji which was not either 未 nor 末was used as a stimuli. We compared correct rates of recognizing the erroneous Kanji when it was presented solely and presented in a sentence. Participants were 19 Japanese and 44 JSL (Japanese as a second language) learners, 12 Chinese, 9 Korean and 23 JSL-NC (JSL learners from non-Chinese character areas). Fisher’s exact tests showed that context effects were found only in Japanese. Chinese participants were advanced learners. This result might suggest that it is very difficult for L2 learners to utilize context.

ポスター発表1:記憶
  • 神谷 俊次
    セッションID: P1-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,自伝的記憶の意図的想起と無意図的想起事態で類似した自伝的記憶の収集方法を用いることで,記憶を想起しようとする検索意図が想起されるエピソードの特定性(出来事がいつどこで生起したかといった時空間的情報が,ある一時点に限定されるのか否か)に差異をもたらすかどうかを検討した。手がかり語とライフイベント年表を用いて,言語刺激を手がかりとして,意図的想起データと無意図的想起データを収集した。想起されたエピソードの特定性を2種類の想起事態で比較した結果,無意図的想起事態のエピソードのほうが特定エピソードの割合が高かった。この結果から,無意図的想起事態では,情報の生成過程がなく,階層構造をした自伝的記憶知識ベース内から,個別・具体的なエピソードが直接検索されると考えられた。

  • 田中 紗枝子, 岩木 信喜, 櫻庭 裕晃, 石川 高揮, 柿沼 岬, 山本 奨
    セッションID: P1-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    学習内容をテストした場合、想起された情報がのちに想起されやすくなる現象はテストの直接効果であり、想起後の再学習が促進されることは間接効果である。これらの合成効果はワーキングメモリ容量の影響を受けない。本研究では、直接効果単独の効果とワーキングメモリ容量との関連を調べた。参加者(n = 120)ははじめに40対の無関連な単語対を1度学習した。その後、読み条件の20対は見て学習し、テスト条件の20対は手がかりの単語からターゲット語を想起することを2回繰り返した。一週間後に手がかり再生テストを実施し、テスト条件と読み条件の正答率の差をテスト効果得点とした。ワーキングメモリ容量として、カウンティングスパン、オペレーションスパン、リーディングスパンそれぞれの課題の標準得点の平均値を算出した。分析の結果、テスト効果はワーキングメモリ容量によらず発現することが分かった(r = 0.09)。

  • 三浦 大志
    セッションID: P1-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    リベレーション効果は、計算問題などの認知的課題を行った直後に再認判断を求めると「old (学習フェイズで見た)」と判断されやすいという効果である。本効果が同一の実験参加者に複数回生起するのか、また本効果の生起不生起に個人差が存在するのかは明らかでない。そこで本研究では、20代から50代の参加者12名ずつ、計48名を対象にリベレーション効果を検討する再認課題を3セット施行した。その結果、1, 2, 3セット目すべてにおいて一貫してリベレーション効果が見られた。また、リベレーション効果は40代・50代でも生起するが、若年者の方が効果が大きいことが示された。これらの結果は、本効果が幅広い年齢に複数回生起する頑健な現象であることを示唆している。年齢の分析は個人差の存在も示唆するが、セット間の相関分析を行ったところ個人差を示すような相関が見られなかったため、個人差に関しては今後の研究が期待される。

  • 柳岡 開地, 河村 悠太, 石黒 翔, 平岡 大樹, 西山 慧, 阿閉 誠, 奥野 圭祐, 齊藤 智
    セッションID: P1-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    目標無視とは, 課題目標を理解しているものの, 適切なタイミングでその遂行に失敗してしまう現象を指す。目標無視は作業中の不注意や自動車事故などと関連しており, 目標無視が起こる心理・生理機序を解明することの社会的意義は大きい。

    Kane & Engle (2003)は, ストループ課題中に色と文字の情報が一致する試行の割合を操作することで, 目標無視の心理機序を検討してきた。一方, 目標無視の生理機序はほとんど検討されていなかった。そこで, 本研究では, 認知制御に深く関わる生理指標である心拍変動(RMSSD, LF/HF) に着目し, Kane & Engle (2003) の知見を追試しつつ, 目標無視の生理機序を検討することを目的とした。

    大学生・大学院生26名を対象とした実験の結果, 一致試行を多く含む条件では目標無視がより確認され, 先行研究を追試することができた。心拍変動と目標無視との関連は見られなかったものの, 条件や試行に関わらず課題中の心拍変動が小さいと反応時間も短くなることが示された。

  • 池田 和浩, 佐藤 拓, 川﨑 弥生
    セッションID: P1-06
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/28
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、(1)メタ記憶の特性が記憶の語り直し方略に与える影響を検証し、(2)記憶の認知的特性が現在の満足感と将来への希望感に与える影響を検証した。270名の参加者は、Re-TALE尺度(ネガティブ感情制御 (α = .86), ポジティブ感情拡張 (α = .75), 認知転換 (α = .83))、一般的メタ記憶尺度(記憶に対する自信(α = .79), 既課題特性の認知(α = .72), 想起の失敗経験(α = .66))、PRMQ、日本語版Herth希望尺度 (希望的計画(α = .83),前向き思考 (α = .79),見通しの暗さ (α = .78))、人生満足感尺度 (α = .76)に回答した。その結果,ネガティブ感情制御の語り直し方略を用いることは,メタ記憶への否定的な信念に関与し,将来への希望を減衰させることが確認された。一方,認知転換を目的とした語り直しを行うことは,メタ記憶への肯定的信念に関連し,現在の満足感と将来の希望感を高めることが確認された。

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