主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
道徳的に嫌悪される人物と物理的に接触した対象は,その人物の非道徳性に感染し,嫌悪され回避されるようになる。このような道徳性嫌悪の感染では病原体感染の回避行動と同様の反応が生起するが,ヒトからヒトへの感染における詳細な特性は不明である。そこで,本研究ではヒトを介した道徳性嫌悪感染の感染力の強さと感染経路,及びそれらに対する感受性の影響を検討した。結果,感染や嫌悪に対して敏感な群は道徳的嫌悪人物にタッチされた人物との接触を拒否し,この傾向は中立的な人間を複数経由しても維持された。また,道徳的嫌悪人物と視覚的に密着して呈示された中立的人物は,離して呈示された中立的人物より有意に接触を嫌悪された。したがって,ヒトからヒトにおける道徳性嫌悪の感染は,視覚的密着が感染経路として成立し,中立的な人物を複数経由しても嫌悪や感染に敏感な個人には嫌悪感が維持されるという可能性が示唆された。