主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
ベビースキーマの特徴を持つ幼児顔は,かわいいと感じられ,接近動機づけを高めるとされる。幼児顔と接近動機づけの関係については,主観評定や注視時間に関する研究が行われてきた。本研究では,潜在的な接近-回避傾向を測定するマネキン課題を用いて,幼児顔に接近しようとする行動傾向が存在するかを検討した。40名の大学生・大学院生が,幼児顔と成人顔を用いたマネキン課題を行った。また,得られる効果が顔特有の全体処理に影響されるかを検討するため,正立顔条件に加えて倒立顔条件も実施した。実験の結果,正立顔条件では,幼児顔に対して接近傾向が,成人顔に対して回避傾向が有意に認められた。一方,倒立顔条件では,幼児顔に対する接近傾向は変わらなかったが,成人顔に対する回避傾向は有意ではなくなった。以上の結果は,幼児顔に接近しようとする潜在的な行動傾向があること,その効果は顔特有の全体処理によるものではないことを示している。