主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
自己主体感は,観察された運動が自分の行動の結果だという感覚であり,その異常は抑うつ状態をはじめとした精神疾患の症状に繋がることが指摘される。Intentional binding(IB) 課題は,意図した行動とその結果の時間間隔が短く知覚される錯覚を利用して,潜在的な自己主体感を測定するものである。抑うつ状態では意図による時間間隔の短縮が見られにくく,自己主体感が低いことが示唆されている。繊細な時間知覚を測定するIB課題をより簡便に使用することを目的としてオンライン化する。36名の一般成人を対象として,二つの音の時間間隔と,自発的なキー押しとそれに続く音の時間間隔を測定した。結果,オンラインでもIB課題での時間知覚の差が検出された一方で,抑うつ状態との相関は予想と逆の結果 (抑うつが強いほどIBが強く,自己主体感が強い) となった。課題で意図の有無を測定できていたか,実験者の不在が課題への取り組みに影響した可能性について検討が求められる。