抄録
VR空間における接触物体が手腕モデルへ衝突する際の速度変化や接触物体色が擬似触知覚にどのように影響するかを検討した.VR空間上に水平に延びる円筒型パイプの中を左から右に円柱物体が一定の速さで動き,パイプに触れている手腕モデルに衝突する場所で初速度から1/10,3/10,5/10,7/10,減速なしの5段階に変化する映像を提示した.接触物体色を暖色,寒色,灰色の3種類用意した.参加者はVR空間の手腕モデルと一致するように手腕を台の上に置き,各試行直後に,擬似触覚強度について5件法により主観評価を報告した.速度変化と接触物体色の参加者内2要因分散分析の結果,両要因における主効果が認められ,さらに,減速が大きい場合,そして寒色に比べ暖色である場合に主観的強度が大きくなった.