主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第19回大会
回次: 19
開催日: 2022/02/28 - 2022/03/01
感情表情は、中性的な感情を表す表情に比べて素早く正確に検出されることが知られるが、その認知過程の詳細は明らかでない。本研究では、中性表情の中から、怒り・幸福を表す感情表情あるいは中性的な感情と分類される逆表情を検出する視覚探索課題で得られた正答率及び反応時間データを、拡散過程モデルを用いて分析し、標的表情の検出に至るまでの認知過程に関わるパラメータを推定した。標的表情検出に関する情報蓄積過程において、逆表情より感情表情に対して、情報蓄積速度を反映するドリフト率が高く、検出の意志決定に必要な情報量を反映する閾値が大きかった。また、情報蓄積過程に先立つ注意の選択を反映する非決定時間は、逆表情に比べ感情表情で短かった。これらの結果より、他者の感情表情の素早く正確な検出には、素早く注意を引きつけることで促進された、多くの情報を加速的に収集する情報蓄積過程が関与すると考えられる。