日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第20回大会
セッションID: O-14
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口頭
書体の読みやすさは日常的な経験によって判断される?
一対比較法による読みやすさからの検討
*齋藤 岳人井上 和哉樋口 大樹小林 哲生
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抄録

書体の読みやすさは,ヒトの記憶において重要な要因とされている。しかし,読みやすさが何をもとに判断されているかは十分に検討されていない。その中で,齋藤他(2022)は,無意味文字列を用いて,書体の日常経験(接触頻度と使用頻度)が読みやすさに影響を与えることを示した。しかし,同じ参加者に両者の評定を求めたため,参加者が単に一方の評定を手がかりにもう一方の評定を行っただけである可能性も否定できない。そこで,本研究では,読みやすさのデータを別途取得し,先行研究の日常経験のデータとの関連を検討した。一対比較法で読みやすい書体の選択を求め,選択率をもとに読みやすさを算出した。その結果,読みやすさと日常経験の相関係数は,読みやすさと接触頻度で.74,読みやすさと使用頻度で.76であり,有意な正の相関が認められた。この結果は,日常的によく目にし,使用する書体ほど読みやすいと判断されることを強く示唆する。

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© 2022 日本認知心理学会
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