抄録
不安傾向の高い個人において,あいまいな状況下で,与えられた情報による信念更新傾向が変化することが知られている。しかし,そのような変化が,情報評価におけるどのような側面に起因するかについては明らかでない。この点について,ビーズ課題を用いて得られたデータに,ベイズ更新を適用することで検討した。ビーズ課題では 2色のビーズが異なる割合で入った2つのビンを呈示し,ビーズが呈示されるたび,どちらのビンから取り出されているか,主観的確信度を回答させた。解析では,現在の確信度は,一つ前の時点での確信度に,現在得られたビーズの情報を加味して得られると仮定したうえで,個人ごとに,一つ前の確信度,および現在の情報のどちらを重視する傾向が高いのかを推定した。この傾向と質問紙により得られた不安傾向の関連を検討した結果,不安傾向が高いほど,現在のビーズから得られる情報を低く評価する傾向が示された。