抄録
観察者の移動から生じるグローバルオプティックフロー(GF)と,対象の移動から生じるローカルオプティックフロー(LF)が,それぞれ視覚的探索に与える影響を検討した。課題は,画面の中心から等距離に,相互に等間隔で配置された8つの提示箇所のいずれかに表示される数字を視覚的に探索し,その数字を弁別した上で可能な限り早くボタンを押下することであった。GFの提示がある条件とない条件が設定された。いずれの条件においても, 8つの提示箇所の一つにLFが呈示され,そのLFが消失したと同時もしくは一定時間が経過した後にターゲットの数字が呈示された。LFの消失とターゲットの呈示の時間間隔は,0,1,3,5秒であった。実験の結果,反応時間において,「LFとターゲットとの距離」と「LFの消失からターゲットの呈示までの時間間隔」の交互作用が有意であった。これらの結果について取得した視線データとの関連で議論する。