日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第21回大会
セッションID: P_B12
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ポスター(思考・言語・注意)
黙読時の内声と理解の個人差‐身体性認知科学の視点から‐
*粟津 俊二
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抄録

身体性認知科学では言語理解時に知覚運動シミュレーションが発生し、理解に寄与すると考える。従来は視覚と運動シミュレーションを中心に検討されており、個人差にはほとんど着目されてこなかった。本研究では黙読時に主観的に経験される内なる声〈以下IRV)を聴覚シミュレーションととらえ、その個人差と、読解時の認知方略の個人差との関係を探索した。458名のアンケートへの回答を分析したところ、IRVを認識した文数は、論理的あるいは情緒的な事項の理解について、回答者自身が得意と認識する程度と正の相関があった。しかし、数式の理解を得意と認識する程度とは、相関がなかった。この結果は、IRVの認識しやすさに関する個人差や刺激差が、言語理解プロセスの個人差や刺激差を反映する可能性を示唆する。

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