抄録
日常生活ではさまざまなストレス負荷が生じているが,同じ経験であったとしても感情体験には個人差が生じている.感情体験における個人差および自律神経反応には,身体内部の状態の知覚である内受容感覚が関係すると考えられる.本研究ではポジティブおよびネガティブなストレス負荷がかかったときの感情評価と連続血圧の変化に,内受容感覚がどのように関わっているのかについて検討を行った.参加者は,時事問題についてのパブリックスピーチ,プライベートな話題に関するスピーチ,およびテレビゲームを行い,課題実施前後に感情状態の評定を行うとともに,連続血圧の測定を行った.内受容感覚の指標として,心拍カウント課題と,MAIAを用いた.結果として,課題の種類によって課題前後の連続血圧の変化に違いが見られており,実験操作の効果が実証された.本発表では,その傾向と内受容感覚指標および感情評価との関連について議論する.