認知リハビリテーション
Online ISSN : 2436-4223
原著
脳梁損傷および左前頭葉内側面損傷により左手の拮抗失行と右手の間欠性運動開始困難を呈した1例
― 認知リハビリテーション的アプローチの試み―
宮崎 晶子森 俊樹加藤 元一郎
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 14 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

脳梗塞後に脳梁損傷および左前頭葉内側面損傷により左手の拮抗失行と右手の間欠性運動開始困難を呈した1例について,認知リハビリテーション的アプローチを試みたので報告する。右手は無意識な動作場面では両手の協調動作が可能であっても,意図的な動作場面では動作の開始困難と停滞が認められた。同じ動作を繰り返すことによって運動開始困難が軽減するという仮説をもとに,左手の固定などにより右手の使用をうながし,特定の動作パターンを繰り返すという方法で訓練を実施した。その結果,同じ課題(すなわち特定の刺激)に対してautomatic な反応に近い状況になるまで繰り返し動作学習を行うことによって右手の運動開始困難は軽減したが,訓練を行った課題以外の動作には般化されなかった。訓練の効果について随意運動時の主体の注意と,運動の活性化・抑制との関連から考察を行った。

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© 2009 認知リハビリテーション研究会

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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