留学生交流・指導研究
Online ISSN : 2758-4909
Print ISSN : 1343-4683
オンラインでの学生交流のポテンシャル
イギリスの学生とA 大学の学生が共に取り組むプロジェクトの事例分析を基に
髙橋 美能
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2022 年 24 巻 p. 81-95

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抄録

本稿では、約1 か月間イギリスの学生とA 大学の学生合計40 名が、オンラインでプロジェク トに取り組んだ事例を取り上げ、オンラインを通じた学びと課題を分析する。プロジェクトでは、 誰もが当事者となって考えることのできる「人権」をテーマに取り上げた。課題は「参加者にとって身近な人権問題について考え、グループで話し合って問題点を絞り、解決策を考えて発表すること」であった。直接会ったことのない学生が、オンラインでプロジェクトに取り組む中で、言語の壁を経験し、時差を乗り越えて時間を調整して共に活動することは簡単ではなかった。しかし、最終発表という目標を達成することで、参加学生にプロジェクトの成果も得られた。プロジェクト終了後のアンケートから、参加学生に人権の理解や異文化・他者理解の深まり、他者と共に学ぶ力やコミュニケーション能力の向上が確認された。一方で、オンラインの活動では学生同士の交流が深まらないといった課題も残された。本事例考察を通じて、オンラインのポテンシャルを確認しつつ、今後は学生間の交流を促進させるために、教員による仕掛けの工夫とサポートの必要性が示唆された。

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© 2022 国立大学留学生指導研究協議会
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