2016 年 54 巻 2 号 p. 170-175
あと施工アンカーにおけるひび割れの影響試験は,あと施工アンカーを施工した後にコンクリート供試体にひび割れを発生させた場合,あと施工アンカーの引張耐力がどの程度影響を受けるかを確認するための試験である。日本ではあまりなじみのない試験であるが,ヨーロッパの基準(ETAG)では実施が標準となっている。今回,ヨーロッパの基準に則ったあと施工アンカーにおけるひび割れの影響試験を国内で実施したため,本稿においてその試験方法と試験結果とを報告する。ひび割れが入った場合におけるあと施工アンカーの引張耐力は,健全な場合と比べて,接着系アンカーで23~85%,金属系アンカーで39~100%となる結果を得た。