2017 年 55 巻 7 号 p. 570-577
本稿は,日本最東端に位置する南鳥島で,現地の材料(サンゴ骨材および海水)を用いて建設されたと推測される,長期間経過したコンクリート構造物に対し,コア採取を行い,各種調査を行ったものである。得られた主な知見を以下に示す。使用材料に関して,練混ぜ水は無筋コンクリートについては海水を用いた可能性が高い。コンクリートの性能に関して,鉄筋コンクリートでは30N/mm2程度の値を有していたが,無筋コンクリートの場合は10N/mm2を下回る場合もあった。ただし,超音波伝搬速度分布を測定すると,いずれのコンクリートにおいても内部と表面部でほぼ一様な値であったため,内部の性能としては初期から低下していないと推測された。