寒冷地のコンクリート構造物に生じる凍害を抑制するためには,コンクリート中に微細な独立気泡を連行することが有効である。AE剤により連行された気泡は,使用材料,配合条件および施工条件などによっては,硬化に至るまでに消失し,凍結融解抵抗性に有効な気泡が確保されない場合もある。著者らは,これまでに,アクリロニトリル系樹脂製の微細な中空球体である「中空微小球」に着目し,コンクリートの凍結融解抵抗性に関する実験的検討を行っている。本報では,中空微小球を用いたコンクリートについて,これまでに得られた知見を整理するとともに,実装に向けた施工実験により中空微小球の分散性を確認し,最終的に実構造物へ適用した結果について報告する。