2020 年 58 巻 12 号 p. 966-972
今後のISO規格の制定・改訂と国際整合化に適切に対応するためには,国土交通省が2002年に制定した「土木・建築にかかる設計の基本」を,省内の技術基準の統一だけでなく,わが国に無い包括設計規格に相応するJISとして制定することをまず提案する。そしてそのJISの制定と改正は,ユーロコードの制定・改訂を担当している欧州標準化委員会CENと共同して実施することを提案する。すなわち,ユーロコードは構造物の設計規格としてISO規格にも大きな影響を持っており,CENと日本産業標準調査会JISCの間では覚書を締結しているためである。そして,包括設計規格のJISが制定されれば,わが国の施設・構造物・材料別の基準・規格群の階層化された技術基準体系のバックボーンが形成される。併せて,日欧の共同作業が実施されれば,将来的にはユーロコードの改訂作業にわが国が参画できる可能性があるというメリットも期待されることを紹介する。